認知症で暴言が出るのはなぜ?いつまで続く?家族の関わり方と相談先を解説
認知症の家族から暴言を受け続けると「もう限界かもしれない」と感じることもあるでしょう。暴言は、脳の変化や不安、体調不良などが重なって起こる症状の1つです。
原因や背景を知ることで、気持ちが少し軽くなる場合があります。本記事では、認知症で暴言が出る理由やいつまで続くのか、関わり方のポイント、相談先までわかりやすく解説します
目次
認知症で暴言が出るのはなぜ?事例をもとに解説

認知症で暴言が出るのは、脳の働きの変化が影響しているためです。認知症になると、記憶や理解力が低下し、周りの出来事を正しく受け止められなくなります*1。たとえば、次のような場面で起こりやすくなります。
- 何気ない声かけでも責められたと感じ、怒鳴る
- 「そんな馬鹿な」などの言葉を自分が馬鹿にされたと誤解し、強い言葉で返す
- 介助しようと近づいただけで「何するんだ」と身を守る反応が出てしまう
また、時間や場所、人との関係がわからなくなる見当識障害があると不安が強くなり「帰れ」「触るな」などの暴言につながりやすくなります。
本人の内側では混乱や恐怖、恥ずかしさが大きく揺れています。気持ちをうまく表現できず、怒りの形として出てしまうのです。
暴言は確かに家族を傷つけますが、決してあなたを否定しているわけではありません。多くの場合、本人なりの精一杯の「SOS」なのです。
認知症による暴言はいつまで続く?

認知症による暴言はずっと続くわけではなく、波がみられる症状です*2。強く出る時期がある一方、生活リズムが整ったり、身体の不調が改善したりすると落ち着くケースもあります。
また、BPSD(行動・心理症状)は、認知症の進行にともなって変化し、ピークを過ぎると暴言が減ることも少なくありません*2。ひどい暴言が続くように見えても、永続する症状ではないため、ひとりで抱え込みすぎないことが大切です。
認知症による暴言の予防・改善につながる関わり方

認知症による暴言は、本人の不安や混乱、身体の不調、生活環境の乱れなどが重なったときに強く出やすいとされています*2。まずは、悪化要因を減らすことが大切です。
痛みや便秘、脱水、感染症といった身体の不調があるとBPSDが悪化しやすく、体調を確認するだけでも落ち着くきっかけになる場合があります。生活リズムを整えることや、騒音・過度な刺激を避けた環境づくりも有効です。
すぐにできる関わり方の例としては、次のような方法があります。
- ゆっくり、短く、1つずつ伝える
- 「不安だったんですね」など、気持ちを受け止める言葉を添える
- 本人が落ち着ける場所に移動する
一方、避けたほうがよい対応もあります。理解力・判断力が低下しているため、理詰めでの説明や「早くして」「何度も言ってるでしょう」などの強い口調は不安を高め、暴言につながりやすいとされています*2。
否定や叱責を避け、穏やかに距離をとるほうが、結果的に落ち着くことが多いです。できる範囲で、安心できる関わり方を続けていきましょう。
認知症の方とのコミュニケーションについては「認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例」でも具体例を解説しています。こちらもぜひ参考にご覧ください
認知症による暴言が介護者をつらくさせる理由

認知症による暴言は、介護者にとって大きな負担となる症状の1つです。厚生労働省の調査では「口汚くののしる」という暴言が「よくある」「ときどきある」と回答した介護者は、全体の21.8%に上りました*3。
暴言が続くとネガティブな感情が積み重なり、心の安定を保つことが難しくなります。実際に、介護者が「いつも腹が立つ」「よく思う」と答えた割合は約3割に達しており、日常のストレスは非常に大きいことがわかっています*3。
認知症による暴言は、単なる言葉の問題ではありません。介護者の精神的なエネルギーを奪い、介護を続ける力を弱らせてしまう症状だといえるでしょう。
認知症による暴言で悩んだときの相談先

暴言が続き心身ともに限界を感じるときは、早めに専門家への相談を検討しましょう。主な相談先は、次の3つです。
- 医療機関(かかりつけ医・もの忘れ外来など)
- 地域包括支援センター
- 家族会や認知症カフェ
医療機関では、身体の不調や薬の影響など、暴言の背景にある原因を医学的に確認できます。必要に応じて、治療やケア方法の見直しも可能です。
地域包括支援センターは介護の総合的な相談窓口で、状況を整理しながらデイサービスなどの支援策を紹介してくれます。
また、家族会や認知症カフェでは、同じ経験を持つ家族と悩みを共有できるため、孤立感の軽減にもつながるでしょう。日常生活での工夫や、利用できるサービスの情報も得られます。
認知症による暴言に悩んだら、専門家に相談しましょう
認知症による暴言は、脳の変化や不安、体調不良などさまざまな要因で起こるため、背景を理解して関わることが大切です。つらいときは一人で抱え込まず、医療機関や地域包括支援センターなどへ早めに相談しましょう。
ベルコメンバーズアプリには、介護に関する相談窓口があります。どこに相談すればよいか迷っている方は、ぜひお気軽にご活用ください。
【参考文献】
*1 厚生労働省:政策レポート.認知症を理解する.(最終閲覧日:2025年11月21日)
*2 厚生労働省:認知症ケア法ー認知症の理解.(最終閲覧日:2025年11月21日)
*3 厚生労働省:認知症の人を介護する家族等に対する効果的な支援の在り方に関する調査研究.(最終閲覧日:2025年11月21日)
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