認知症の方が食事拒否する4つの原因|対応や栄養管理の工夫も解説

認知症の方が食事拒否する4つの原因|対応や栄養管理の工夫も解説

認知症の方の介護で「急に食べなくなった」「どう対応すればいいのかわからない…」と悩むことは多いのではないでしょうか?

食事を拒否する原因は、脳の働き体の不調心理的な不安などさまざまです。

この記事では、主な原因と対応、栄養管理の工夫をわかりやすく解説します。

無理のない方法で、認知症の方が食べる喜びを取り戻すヒントを探していきましょう。

認知症の方が食事を拒否する主な4つの原因

認知症の方が食事を拒否する主な4つの原因
ここでは、認知症の方が食事を拒否する主な原因を解説します。

1.食べ物を認識できない・食べ方がわからない(失認・失行)

認知症の方は脳の機能低下によって、食べ物を見ても「これは何か?(失認)」「どう食べればいいのか?(失行)」がわからなくなることがあります*1。

たとえば、箸をうまく使えない、スプーンを口に運べないなどの行動です。

結果として、食事を拒んでいるように見えることがあります。

2.口腔トラブルや体の不調

歯の欠損や義歯の不適合、飲み込みにくさ(嚥下機能の低下)などは、高齢者に共通する低栄養の原因です*2。

口の中の痛みや飲み込みにくさがあると食事が苦痛になり、拒否につながることがあります。

とくに、認知症の方は痛さや熱さを言葉で伝えにくいため、表情やしぐさから不調を察知することが大切です。

3.味覚や嗅覚の変化

加齢や疾患による味覚・嗅覚の低下も、食欲が低下する要因です。

また、高齢者はさまざまな疾患を抱えていることから、多くの薬剤が処方されている場合があります。

副作用によっては味覚の変化や、口の中が乾きやすくなることもあります*2。

また、認知症の方の場合、味が変だったりまずいと感じたりすると、そのまま食事を拒むケースもあります。

4.不安や妄想などの心理的要因(BPSD)

「これは毒が入っている」「食べさせようとしている」といった被害的な妄想が原因で、食事を拒否することがあります。

これらは、認知症に伴ってみられる行動や気持ちの変化(BPSD)の1つです*1。

安心できる雰囲気や信頼できる人との関係性が、食事を受け入れるきっかけになることもあります。

認知症の方が食事拒否した場合の対応

認知症の方が食事拒否した場合の対応
認知症の方が食事を拒否するとき、介護する家族は焦りを感じがちです。

ここでは、食事を拒否した場合の対応を見ていきましょう。

声掛けは共感的に誘いかける

「時間がないから早く食べて」「どうして食べないの?」などの命令口調や追及は、認知症の方にとって圧迫感を与えやすく、拒否を強めてしまうことがあるため注意が必要です。

本人を焦らせるようなことは、避けなければならないとされています*3。

声かけは、次のように共感的な誘いに変えてみましょう。

  • 一緒に食べてみない?
  • このおかず、おいしそうだね
  • 温かいうちにいただきましょう

相手に安心感を与え、食べてみようという気持ちを引き出すきっかけになります。

また、認知症の方は言葉で気持ちを伝えにくいため、表情の変化やしぐさなど非言語的なサインをくみ取って支援することが重要とされています*3。

ひと口でも食べたことを褒める

食事量が減っても、ひと口でも食べられたという成功体験を積み重ねることが自信につながります。

強く促すよりも、次のような声掛けを意識してみましょう。

  • 「食べられたね」とできたことを褒める
  • 「おいしかったね」と笑顔で伝える
  • 食べた量よりも食事の時間を過ごせたことを評価する

小さな成功を積み重ねることで、次の食事への意欲が生まれやすくなります*3。

また、食事を一時的に拒否したとしても、間食や好物を少量ずつ試すなど、柔軟に対応してみましょう。

認知症の方の好みやこだわりを理解することは、ケアにおいても重要だとされています*1。

無理強いせず本人の意思を尊重する

食事拒否の裏には、身体的な不快感が隠れている場合もあります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 疲れている
  • 眠い
  • 口の中が痛い

無理に食べさせようとするよりも、食べられない理由を探ることが大切です。

本人の表情や動作をよく観察し、不快感や戸惑いに気づけるようにしましょう*3。

認知症の方は、記憶や判断力が低下しても「自分のペースで食べたい」「自分で選びたい」という気持ちは残っています。

介護者は本人ができることに注目し、主体的に関われる工夫をしてみましょう。

認知症の方への接し方については「認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例」でも詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にご覧ください。

認知症の方が食事拒否したときの栄養管理の工夫

認知症の方が食事拒否したときの栄養管理の工夫
食事拒否が続くと、低栄養や脱水のリスクが高まります。

ここでは、栄養管理の工夫について見ていきましょう。

食べやすい形態に調整する

硬さや飲み込みにくさがあると、食事を嫌がることがあります。

やわらかく煮込んだり、とろみをつけたりして調整してもよいでしょう。

好みに合わせて、プリンやヨーグルトなどを取り入れるのも1つの方法です。

また、食事中にむせたり咳き込んだりする場合は、飲み込む力が低下している可能性があります。

無理に口に入れず、医師や言語聴覚士など専門家に相談し、安全に食べられる形態を確認してみてください*4。

主治医や地域包括支援センターに相談する

体重の減少や食欲の低下などが続く場合は、まずかかりつけ医に相談し、口腔内や全身の健康状態を確認してもらいましょう。

医師の判断により、必要に応じて管理栄養士や歯科、訪問看護師などの支援が受けられる場合があります。

また、お住いの市町村に設置されている地域包括支援センターは、栄養や介護の相談窓口です。

ケアマネジャーや専門職が連携し、在宅での食事支援や訪問による栄養相談、リハビリなどをサポートしてくれます*5。

食べることは単に栄養をとるだけでなく、生活リズムや生きる意欲を支える行為です。

無理のない範囲で一緒に食べられる方法を探すことが、本人と家族の安心にもつながるでしょう。

認知症の方が食事拒否する原因を理解し、焦らず対応しましょう

認知症の方の食事拒否には、体の変化や心理的な不安など、いくつかの原因があります。

焦らず安心できる雰囲気づくりや、食べやすい工夫を重ねることが大切です。

体重減少や食欲低下が見られる場合は、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみましょう。

介護の相談先を探したいときは、ベルコメンバーズアプリのコンシェルジュサービスを活用するのもおすすめです。

コンシェルジュがご要望を伺い、専門的な相談窓口につないでくれます。

どこに相談してよいか迷っている方は、ぜひ活用してみてください。

ベルコメンバーズ

\ 無料ダウンロード /

認知機能チェックもできる、暮らしの安心アプリ

\ 無料ダウンロード /

ベルコメンバーズ

認知機能チェックもできる、
暮らしの安心アプリ

読まれている記事一覧

ベルコメンバーズ

\ 無料ダウンロード /

認知機能チェックもできる、
暮らしの安心アプリ

\ 無料ダウンロード /

ベルコメンバーズ

認知機能チェックもできる、
暮らしの安心アプリ