アルツハイマー型認知症と歯周病の関係性とは?予防ケアで守る脳の健康
「お口の健康は全身の健康につながる」という言葉を、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。近年では、虫歯や歯周病の予防だけでなく、日常の健康管理の一環としてお口の健康に目を向ける考え方も広がっています。
本記事では、アルツハイマー型認知症と歯周病について、現在知られている情報をわかりやすくお伝えするとともに、日常生活で続けやすいお口のケアについてもご紹介します。
目次
アルツハイマー型認知症と歯周病
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞の働きが障害されることで進行すると考えられています。一方、歯周病は、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こり、進行すると歯のぐらつきや歯を失うことにもつながる可能性がある病気です。
近年、歯周病とアルツハイマー型認知症の関連を調べる研究が報告されています。
2019年の九州大学の研究では、ヒトの歯周病の歯ぐきにおいて、脳内の老人斑成分であるアミロイドβが産生されていることが発見されました。これまで、アミロイドβは脳の中で作られ、蓄積するものと考えられてきましたが、この研究では、歯周病菌の原因菌であるジンジバリス菌(Pg菌)の影響を受けた歯ぐきの免疫細胞(マクロファージ)が、アミロイドβの供給源となる可能性が示唆されています。
さらに、2020年の同大学の研究では、歯周病の原因菌であるジンジバリス菌(Pg菌)を中年マウスに慢性的に投与したところ、脳の外で産生されたアミロイドβが脳内へ移行することが報告されました。
脳は血液中の炎症物質や細菌などの有害物質が入り込まないように、血液脳関門という防御機構によって守られています。しかし、全身の炎症が起きていると、血液脳関門の防御機構が弱まり、血液中の有害物質が脳内へ侵入しやすくなると考えられています。
40代から急増する歯周病のリスク

歯周病は歳をとってからなるものというイメージがあり、「まだ若いから大丈夫」と思われるかもしれません。実際にはどのくらいの人が歯周病にかかっているのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年歯科疾患実態調査」の結果によると、4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、10代後半から40代前半は20%台(40〜44歳で28.6%)で、若い人でもみられる病気です。40代後半以上では40%台(45〜49歳で41.4%)、60代前半では59.1%と40代を境に歯周病のリスクを抱える人の割合が増える傾向にあります。
歯周病はサイレント・ディジーズ(静かなる病気)と呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行する病気です。本人が気づかないうちに脳の健康にまで影響を及ぼしはじめている可能性もあります。
将来の脳の健康につながる歯周病ケア

歯周病は進行する病気のため、なってしまう前の予防が大切ですが、歯周病になったとしてもケアにより、進行の予防が可能です。歯周病の予防は、毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院でのプロの手によるケアの両方を続けることが大切です。将来の自分や大切な家族の笑顔を守るために、今日からお口の習慣を見直してみませんか?
毎日のセルフケアのポイント
歯周病の原因菌は、プラーク(歯垢)や歯石に多く潜んでいます。プラーク(歯垢)は歯ブラシの毛先が届きにくい歯の裏側や歯と歯の間、歯と歯ぐきのすき間に残りがちです。すみずみまで歯ブラシできれいに磨けるよう、次のポイントを意識しましょう。
- 歯並びに合わせて歯ブラシを歯面にしっかり当てる
- 歯の裏側まで意識して磨く
- 歯ぐきのきわも磨く
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
歯並びが凸凹していると、奥まっている歯に歯ブラシが届きにくくなるので、歯ブラシを縦に当てるなど、毛先が歯の表面にしっかり届くように工夫しましょう。歯ぐきのきわや歯の裏側は磨き残しが出やすい箇所です。歯ブラシの当て方を工夫して磨きましょう。歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシを使用してプラーク(歯垢)を取り除くことが大切です。
歯科医院で受ける定期的なプロケアの特徴
どれだけ丁寧に歯を磨いても、すべての汚れを落としきることはできません。プロのケアですみずみまできれいにしましょう。歯科医院で受ける定期的なプロのケアには以下の特徴があります。
- 専用の器具を使用したプロの手によるお口の清掃を受けられる
- 自分では気づかない小さな虫歯や歯ぐきのトラブルも見つかりやすい
- 定期的な受診で健康を保ちやすくなる
歯科医院では専用の器具を使用して、歯ブラシではとれない歯石や毛先が届きにくい箇所の汚れも取り除くことが可能です。定期受診はお口の中の汚れをとるだけではなく、虫歯や歯周病の状態のチェックも受けられます。悪化してしまう前に、早めの治療につなげるための大切なケアです。
定期受診の頻度はお口の状態によっても異なります。歯科医院で推奨された期間ごとに定期的に受診し、継続してお口の健康を保ちましょう。
歯周病ケアとともにはじめる認知機能チェック習慣
お口の健康は脳の健康を守ることにもつながります。毎日の歯みがきや定期的な歯科受診などの日々のケアを通じて、将来の健康を意識することも大切です。
「最近もの忘れが増えた気がする」「集中しにくくなった」など、生活の中でふとした変化を感じることは誰にでもあります。そのようなときは、日常の中で簡単に確認できるセルフチェックを目安にしてみるのも一つの方法です。記録を振り返ることで変化に気づきやすくなり、必要に応じて相談を考えるきっかけにもなります。
たとえば、ベルコメンバーズアプリではゲームをするような感覚で取り組める認知機能チェックを行うことが可能です。そのほか、体操の紹介や暮らしのお困りごとをコンシェルジュが専門家へつなぐ相談窓口のコンテンツもあります。アプリなどのツールも活用しながら将来の健康に意識を向けてみませんか。
【参考文献】
政府広報オンライン:知っておきたい認知症の基本
九州大学:世界初ヒト歯周病の歯ぐきで脳内老人斑成分が産生されていることが判明 〜歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与解明の新展開〜
Aravinthan Varatharaj,Ian Galea. The blood-brain barrier in systemic inflammation.Brain Behav Immun.2017:60:1-12.
厚生労働省:令和6年歯科疾患実態調査
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