若年性認知症の症状に気づいたら?早期発見と支援のポイントを解説
「最近、仕事のミスが増えた」
「気持ちの浮き沈みが激しい」
そんな変化が続くときは、もしかすると若年性認知症のサインかもしれません。
若年性認知症は、40〜50代の方にも起こりうる病気です。
早めに気づいて支援につなげることで、仕事や暮らしを守ることにつながります。
この記事では、主な症状や早期発見のポイント、職場での対応、支援制度をわかりやすく解説します。
目次
若年性認知症とは?

認知症というと高齢者の病気と思われがちですが、65歳未満で発症する場合は「若年性認知症」と呼ばれます*1。
厚生労働省によると、国内の患者数は約37,800人(平成21年3月発表)です。
平均発症年齢は51.3歳で、働き盛りの世代の方も少なくありません*1。
原因となる病気は、血管性認知症(39.8%)やアルツハイマー型、前頭側頭型、レビー小体型などさまざまです*1。
仕事や子育て、介護など日々の役割を担う年代での発症は、本人や家族の生活にも影響を及ぼします。
疲れやストレス、更年期障害と間違えられることも多く、気づかれにくい認知症とも言われています。
若年性認知症の主な症状

若年性認知症の初期症状は、さまざまです。
多くの方が仕事や家事を続けており、職場や家庭でのちょっとした変化が最初のサインになることも少なくありません*2。
1. もの忘れや段取りのミスが増える|アルツハイマー型認知症
若年性認知症の原因として最も多いアルツハイマー型認知症では、初期から記憶障害がみられます。
たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
- 同じことを何度も聞く
- 大事な予定を忘れる
- 仕事の手順がわからなくなる
いつも通りにできないことが増え、物事を順序立てて行う力や判断力が落ちるため、業務や家事に支障をきたすこともあります。
2. 感情の起伏や人づきあいの違和感|前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症では、性格の変化や感情コントロールの難しさが目立ちます。
- 今まで穏やかだった人が怒りっぽくなる
- 冗談が通じなくなる
- 場にそぐわない発言をする
人が変わったと感じられる行動が現れるため、周囲はストレスや更年期のせいと思いがちです。
本人には自覚が乏しく、注意されても理解できないことが多いのが特徴です。
3. 見え方や体の動きの変化|レビー小体型認知症
レビー小体型認知症では、以下のような変化が現れることがあります。
- 実際にはないものが見える(幻視)
- 動作が遅くなる
- 手が震える
夜間に寝言を叫んだり、夢の中で体を動かしたりするなど睡眠中の異常行動も特徴です。
症状には波があり、日によって調子が変わることもあります。
4. 体の不調や言葉が出にくい|血管性認知症
脳梗塞などが原因の血管性認知症では、以下のような症状が見られることがあります。
- 言葉が出にくい
- 手足が動かしにくい
- 注意力や意欲の低下
仕事復帰後にミスが増えたり、集中力が続かないといった形で気づかれることがあります。
脳梗塞を繰り返すと症状が進行するため、定期的に通院することが大切です。
全国調査によると、早期発症型認知症の初期症状では、職場や家庭でのミスの増加(57.2%)、意欲の低下(34.9%)、易怒性(イライラしやすい)が共通して報告されています*3。
認知症の初期症状については「認知症の初期症状はわがまま?早く対処すべき3つの理由とその対処法」でも詳しく解説しています。
こちらもぜひ参考にご覧ください。
若年性認知症の症状と高齢者の認知症との違い

高齢者の認知症の場合は、もの忘れや日常動作の低下が中心です。
しかし、若年性認知症では、仕事や家事、人間関係など社会的な場面での支障が最初に現れやすいとされています*4。
また、発症年齢が若いため受診をためらい、周囲もストレスや性格変化と誤解しやすい点が特徴です。
研究では、職場でのミスや態度の変化をきっかけに発見されるケースが多く、就労継続には職場の理解と柔軟なサポートが不可欠とされています*5。
若年性認知症の症状に気づくためのチェックポイント

若年性認知症の症状に早めに気づくことで、治療や生活の工夫につなげることが可能です。
- いつも使っている電車の乗り換えや道順を間違える
- 家電やスマートフォンの操作に戸惑うことが増えた
- 通帳や財布を探すことが多くなった
- 身だしなみに無頓着になった
- 料理中に鍋を焦がしたり、火を消し忘れることがある
- 趣味や外出への関心が薄れてきた
- 感情の浮き沈みが大きくなり、イライラしやすい
チェックポイントについては「認知症テストの種類2つ!チェックリストを使って認知症を予防しよう」でも詳しく解説しています。
こちらもぜひ参考にご覧ください。
若年性認知症の職場での対応とサポート体制

ここでは、若年性認知症の職場での対応例とサポート体制について見ていきましょう。
職場での対応例
若年性認知症と診断されても、職場の理解や工夫によって仕事を続けられるケースもあります。
得意分野を活かせるよう業務内容を調整したり、勤務時間を短縮したりすることで、本人の負担を減らせるとされています*1。
たとえば、営業職から事務職への配置転換や、メモを活用した作業手順の明確化などが効果的です。
上司や同僚が病状を正しく理解することも大切であり、医療機関・企業・地域支援機関が連携して支える多職種チームでの支援が推奨されています*1。
若年性認知症のサポート体制
まずは、通院している医療機関のソーシャルワーカーや、各市町村に設置されている地域包括支援センターに相談してみましょう。
各都道府県には、若年性認知症コールセンターや若年性認知症支援コーディネーターが配置され、医療・就労・介護・経済的支援などを総合的に調整してくれます*1。
地域によっては、多職種で構成される認知症初期集中支援チームが、受診や介護サービスの導入をサポートしています。
また、傷病手当金や障害年金、自立支援医療などの制度を活用できるほか、40歳以上であれば介護保険サービスの利用も可能です。
若年性認知症の症状を理解し、早めに相談しましょう
若年性認知症は仕事や家庭を支える世代でも発症することがあり、初期には疲れやストレスなどと見分けがつきにくい病気です。
早めに気づくことで、治療や働き方の工夫、支援制度の活用につなげられます。
不安を感じたら一人で悩まず、まずは医療機関や地域の窓口へ相談してみましょう。
ベルコメンバーズアプリでは、認知症専門医監修による簡単な認知機能チェックやサポート情報を確認できます。
早期発見のためにも、ぜひ活用してみてください。
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