認知症の初期症状は怒りっぽい?4つの原因や見分け方、対応を解説
「最近、家族が以前より怒りっぽくなった」「些細なことで強く怒るようになり心配だ」と感じていませんか。
年齢による気分の変化と考えられる場合もありますが、認知症の初期段階で感情の変化が出るケースもあります。
認知症ではもの忘れの症状が注目されやすいですが、初期症状には怒りや不安など感情の変化が先に現れることがあります。怒りっぽさの理由が分からないまま症状が強くなると、家族が対応に悩む場面も少なくありません。
本記事では、認知症の初期に怒りっぽくなる理由や見分けるポイント、家族ができる対応、医療機関受診の目安を解説します。怒りっぽくなる背景を理解したうえで適切に対処すると、本人と家族の負担を減らし、落ち着いて対応できるようになるでしょう。
目次
認知症の初期症状で怒りっぽくなることはある?

認知症の初期症状として、以前より怒りっぽくなる変化が見られる場合があります。
感情のコントロールに関わる脳の働きが低下した結果、不安や混乱をうまく処理できず、怒りとして表れやすくなるためです。加えて、周囲から理解されない状況への戸惑いや、自分の変化への不安が影響しているシーンも少なくありません。
ただし、怒りっぽさだけで認知症とは判断できないため、もの忘れや判断力の低下などほかの変化も含めて様子を確認しましょう。気になる変化が続く際は、早めに医療機関への相談も検討してみてください。
認知症の初期症状で怒りっぽくなる4つの原因

認知症の初期に怒りっぽくなる原因を解説します。
なぜ感情が昂りやすくなるのかの理由を理解すると、攻撃的な態度をとられたときも冷静に対応できるようになる可能性があります。
感情のコントロールが難しくなるため
認知症の影響により、感情のコントロールが難しくなる場合があります。
周囲の言葉遣いや表情などの刺激を過敏に受け取ってしまうほか、本人は強く怒るつもりがなくても、感情の調整が難しく表情や言葉が荒くなるなどの理由も考えられます。
怒った理由を後から説明できないケースもあり、認知症の初期症状では感情のコントロールが困難になる可能性があることを理解しておきましょう。
状況を理解しにくくなるため
認知症で周囲の状況を把握する力が低下した結果、説明を聞いても内容を整理できず、思いどおりに物事が進まないことで怒りやすくなります。
この際、予定や手順を理解できないと混乱が強くなるため、急な予定変更はできるだけ控えてください。また、家族の言葉を「責められている」「否定された」と受け取り、怒りが強くなるケースもあります。
気持ちや体調の不調をうまく伝えられないため
身体の不調や不快感を言葉で表現できないときは、苛立ちとして表れやすいです。以下の体調変化が怒りの原因になるケースもあります。
- 痛み
- 便秘
- 睡眠不足
- 空腹
- 疲労
- 室温の変化
また、質問された際にうまく説明できない状況が続き、怒りが強まるときもあるため、問い詰めるような話しかけ方は避けたほうが良いでしょう。
自尊心が傷つきやすくなるため
認知症の初期段階ではできないことが増える状況に強い戸惑いを感じ、指摘や注意を受けると恥ずかしさや悔しさが怒りに変わりやすいです。
失敗を繰り返すと自尊心が傷つき、周囲の助言が正しい内容でも受け入れにくくなるおそれがあります。論理的な説明で説得しようとすると追い詰められたように感じられ、かえって怒りが強くなるおそれがあるため、認知症の方との接し方には注意が必要です。
怒りっぽさ以外の認知症の初期症状

怒りっぽさ以外にも、認知症の初期にはさまざまな変化が見られます。認知症かどうかを見極める際の判断材料に症状を把握しておきましょう。
もの忘れが増える
認知症の初期段階では、直前の出来事を忘れるシーンが増える傾向にあります。
物の置き場所を思い出せず、探し物の時間が増える場面もよく見られます。家族が怒りっぽくなったときにもの忘れの頻度にも変化がないか注意しましょう。
認知症のもの忘れについては下記の記事で詳しく説明しているので、参考にご活用ください。
同じ話を繰り返す
認知症の初期症状では、会話のなかで同じ話題を何度も持ち出す様子が見られる場合があります。質問への答えを記憶できず、短い時間のうちに同じ質問を繰り返したり、同じ話題を繰り返したりといった変化が起きやすいです。
また、話題の繰り返しを周囲から指摘されると、不機嫌になったり怒りっぽくなったりするおそれがあります。
同じ話を繰り返すときの対処法は下記の記事で詳しく説明しているので、参考にご活用ください。
判断力が低下する
買い物や支払いなどの場面で、判断に時間がかかる場合があります。以前なら問題なかった日常の手続きでも時間がかかったり、進め方が分からなくなったりするため変化に注意が必要です。
また、認知症の初期症状で判断力が低下すると、危険を予測する力が弱くなり、転倒や事故のリスクが高まる可能性があるため、安全面への配慮も欠かせません。
意欲が低下する
外出や趣味への関心が薄れ、同じ過ごし方が続く場合は、活動意欲の低下が関係している可能性があります。
身だしなみや家事への関心が薄れ、洗顔や入浴、洗濯、掃除などの家事が後回しになるケースも増えがちです。体調の変化を自分から伝えられなくなり、具合が悪くても周囲が気づきにくい場面も見られます。
また、意欲の低下により活動量や外出頻度の低下が続くと、気分の落ち込みや不安が強くなる傾向にあります。
認知症が疑われる方が怒りっぽくなったときの対応

認知症が疑われる方が怒りっぽくなった際は、状況に合わせた対応が求められます。対応とその詳細をまとめました。
ただし、ここで紹介する方法は選択肢の1つであり、不安を感じたり対応が難しいと感じたりするときは、迷わず医療機関に相談しましょう。
怒りの感情を否定せず受け止める
怒りが強く出ている場面では、正論で説得したり本人の感情を否定したりすると、かえって状態が悪化するおそれがあるため、まずは感情を否定せず受け止めましょう。
声の大きさや表情など周囲の態度も影響するため、穏やかな口調でゆっくり話すことが大切です。接し方の工夫で安心できる雰囲気が生まれると、怒りが和らぐこともあるでしょう。
認知症の方との接し方の詳細は、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
落ち着くまで距離を取る
怒りが高まっている場面では無理に話を続けず、距離を取って落ち着くまで待ってみましょう。怒りの感情が強くなっている状態では冷静に話すことが難しく、言葉の行き違いが生じやすいためです。
また、認知症の方の怒りっぽい状態が続く際は、介護を一人で抱え込まない工夫も意識しましょう。家族で役割を分担したり、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを利用したりすると負担軽減につながります。
認知症対応型デイサービスは、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
怒りの原因を一緒に考える
怒りが強い場合は、感情が高ぶっている原因を本人と一緒に整理しましょう。なぜ怒っているのかを考える過程で、感情の原因を特定したり本人の気持ちに寄り添ったりすると落ち着くケースがあります。
本人が気持ちを言葉にしづらいときは「お腹がすいていない?」「ちょっと疲れた?」など、具体的な選択肢を示してみてください。
医療機関を受診する
怒りっぽい状態が長く続いたり、日常生活に支障が出ているときは医療機関への相談を検討しましょう。認知症の初期症状に怒りや不安が現れる場合がありますが、ほかの病気や薬の影響が関係している可能性もあるためです。
専門医は、記憶や判断力などの認知機能を確認し、症状の背景を総合的に判断することが可能です。受診時には、怒りっぽくなった時期や具体的な出来事、生活の変化などを整理して伝えると診察が進めやすくなります。
認知症の初期症状が疑われる場合の医療機関受診の目安

怒りっぽさが続き、以前と比べて性格や記憶力、行動の変化がはっきり見られるときは、医療機関への相談を検討してください。
とくに、もの忘れや判断力の低下などほかの変化が同時に見られる際は、認知機能の低下が関係している可能性があります。家族や周囲の人が違和感を覚える変化が重なっている場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
また、暴言や暴力、ひとり歩きなど安全面に不安を感じる際は、本人や家族の身を守るためにも早めの対応を心がけてください。
認知症の初期症状の怒りっぽさに関するよくある質問
認知症の初期症状の怒りっぽさに関するよくある質問を整理しました。より詳しく理解するための参考にしてください。
認知症の怒りっぽさはいつまで続きますか?
怒りっぽい状態が続く期間は個人差がありますが、一般的に認知症の初期から中期にかけて現れやすく、数年単位で続く場合もあると言われています。
特に、睡眠不足や身体の不調、環境の変化などの負担が重なると、怒りっぽい様子が長引きやすくなりがちです。
また、怒りが出る場面や頻度、きっかけを記録しておくと、原因の傾向を把握しやすくなります。変化の様子を家族が共有し、対応方法の見直しや医療機関への相談にも役立つでしょう。
認知症の薬で怒りっぽい状態は改善しますか?
認知症の治療では、強い不安や興奮などの周辺症状に対して薬物療法が開始となり、怒りっぽさが和らぐ場合があります。ただし、薬の効果には個人差があり、認知症の方の怒りが改善するとは限りません。
さらに、認知症の薬の副作用で怒りっぽさが見られるおそれもありますが、自己判断で服薬を中止せず、医師と相談しながら治療方針を検討しましょう。
認知症の周辺症状の詳細は、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
認知症で怒りっぽい人は介護施設への入所を検討すべきですか?
怒りっぽい状態が続くと家族の介護負担が大きくなりやすいため、安全確保が難しい状況や精神的な負担が限界に近いときは、介護施設の利用を検討しましょう。
すぐに入所を決める必要はなく、デイサービスやショートステイなどの在宅支援サービスから利用する方法もあります。外部の支援を取り入れると、家族の休息時間を確保しやすくなります。
本人の状態や家庭環境によって適した介護施設やサポートは異なるため、地域包括支援センターをはじめとした相談窓口の利用も検討してみてください。
家族が怒りっぽくなったら認知機能をアプリでチェックしよう
認知症の初期には、もの忘れだけでなく、怒りっぽさや不安感の強まりなどの感情の変化が見られる場合があります。
些細な出来事で怒りが強く出る背景には、不安や混乱、体調不良、状況を理解しにくい状態などが関係しているとされています。
怒りっぽさが続いたり、日常生活に影響が出たりする際は、認知症以外の病気や薬の影響が関係している可能性もあるため、医療機関への相談を検討すると安心です。
また、日常の変化が気になるときは、ベルコメンバーズアプリを活用して認知機能の変化を確認する方法もあります。
チェック結果は総合評価だけでなく、過去の結果は自動で記録され、グラフで推移を把握できるため、変化の整理や受診を検討する際の参考になります。
日常の様子を見守りながらアプリも活用し、認知機能の変化を把握したり、医療機関の受診を検討したりする際の判断材料として役立ててください。
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