認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例

認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例

「認知症の方への接し方がわからない」

「家族はどのようなポイントに気をつけて認知症の方に接したらいいの?」

このように悩んだり不安を感じたりしていませんか。

認知症の方は、脳の障害により記憶力や判断力が低下するため、さまざまな症状が現れます。

症状に対する適切な接し方がわからず、困っている方も多いでしょう。

介護者の認知症の方への接し方のポイントと具体例を紹介しています。

認知症の方との接し方で注意したいポイント

認知症の方との接し方で注意したいポイント
認知症の方に関わる際にはどのように接するのがよいのでしょうか。

注意したいポイントについて解説します。

話をよく聞く

まずは介護者が認知症の方の話をよく聞くことが重要です。

周囲から見ると、突発的な行動や言動に感じるかもしれませんが、その言動や行動には理由があります。

話をよく聞くことで、なぜそのような言動・行動に至っているのかというヒントが得られ、適切な対応がとりやすくなるでしょう。

簡潔に短文で話す

認知症になると、理解力や判断力が低下するため、一方的なペースで話すと伝わりにくいおそれがあります。

そのため、ゆっくりはっきりした口調で話すことが大切です。

できるだけ、わかりやすい言葉で簡潔に短文で話すと、落ち着いて会話しやすいでしょう。

話がかみ合わないなどのお悩みはこちらの記事で詳しく説明しています。

間違いを否定しない

認知症の方の言動や行動を「正そう」「治そう」としてはなりません。

「そうではない」「間違っている」と否定されると、混乱・興奮したりする可能性があります。

間違いを否定せずにありのままを受け入れることで、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。

尊厳を持って接する

症状が進行して性格が変わったようにみえると、接し方に戸惑うこともあるでしょう。

しかし、子どもに接するような扱いや幼児語を使った接し方は本人のプライドや自尊心を傷つける可能性があります。

自尊心を傷つけるような接し方によって、認知症の方が突然興奮したり、介護に抵抗したりする場合もあります。

接している相手を「認知症」と捉えるのではなく、一人の「人」として尊厳を持ち、気持ちに寄り添って接しましょう

認知症の方への接し方・5つの具体例

認知症の方への接し方・5つの具体例
接し方のポイントを踏まえて、日常で想定されるシチュエーションごとの接し方の具体例を紹介します。

例1:「財布を盗まれた」と言われたとき

「財布を盗まれた」と言うときは、自分のものを誰かに盗られたと疑う「もの盗られ妄想」である可能性があります。

このような場合は「だから何回も財布はどこ?って聞いたじゃない!」「なんでそんなこと言うの!」など「叱る」「否定する」言動は自尊心を傷つけます。

「一緒に探しましょうか」「それは大変ですね」と共感することが大切です。

一緒に探し、財布が見つかったら喜ぶことで「この人は私の味方だ」と安心感にもつながります。

財布や鍵の置き場所を忘れてしまうなど「忘れっぽくなった」と感じたら、次の記事も参考にしてみてください。

例2:「まだご飯を食べていない」と言われたとき

中核症状である記憶障害により、数分前や数時間前のできごとを忘れるため、ご飯を食べたにも関わらず「まだご飯を食べてない」と訴える場合があります。

「さっき食べたばかりですよ」「まだご飯の時間じゃないですよ」と伝えても、記憶では「食べていない」ので納得できないでしょう。

「おいしかったですね」と空になった食器を見せたり、軽食やおやつを出したりしましょう。

ただし、食べ過ぎが気になるときは、あらかじめ1日の食事を複数回に分けておくなどして食事量を調整しましょう。

このように先ほど行ったことを覚えていない状況についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

例3:トイレ以外の場所で排せつしたとき

中核症状による理解力や判断力の低下により、認知症の方がトイレ以外の場所で排せつしてしまうことがあります。

本人にとっても排せつの失敗は大変ショックであるため、恥じらいやプライドに配慮した声かけが大切です。

「また失敗して!」「トイレはそこじゃないでしょ」などと怒ると本人の自尊心を傷つけ、介護への抵抗感が生じる場合もあります。

トイレの場所を把握しやすいように環境を整える対策も必要です。

  • ドアに「トイレ」とプレートをつける
  • 自室からトイレまでの道順を矢印を使って示す
  • 夜間はトイレまでの順路に照明をつけ明るくする

本人の排せつのタイミングにに合わせて、時間ごとに「トイレに行きませんか?」と声をかけて、トイレに誘導するのもよいでしょう。

例4:一人で外へ出かけようとしたとき

認知症の方は、時間や場所がわからなくなる見当識障害の症状により、突然一人で外に出かけようとすることがあります。

生まれ育った家や以前勤めていた会社など、理由があって行動している場合もありますが、出かけた先で道に迷うと危険です。

このような場合は「無理に引き止めようする」「家に鍵をかけて閉じ込める」と本人の不安や怒りを掻き立てるおそれあるため、「近くまで送りますよ」「そろそろ帰りましょう」などと声をかけて、近くを一緒に散歩すると落ち着きやすくなるでしょう

また、玄関のドアを開けたら感知する機器やGPSを設置しておくと、行動や行き先が把握できます。

認知症の方がよく持ち歩く物に名前や住所を書いておくと、近所の人が見つけてくれたときに、連絡がつきやすくなるでしょう。

「近所でも迷うことが増えてきた」などがみられる場合は、こちらの記事が参考になるかもしれません。

例5:食べ物以外を口にしたとき

食べ物以外のものを口に運ぶ行為は異食と言われ、認知症の周辺症状の1つです。

認知症の症状により、食べられない物を食べ物だと認識して口に入れる場合があります。

あらかじめ、ビニールやガラス、電池など、口にすると危険なものは手の届かないところにしまっておきましょう。

異食を見つけたときは、手を入れて取り出そうとすると噛まれることがあります。

まずは本人を驚かさないように声をかけて、吐き出してもらいましょう。

万が一、窒息した場合は「背部叩打法(※1)」「腹部突き上げ法(※2)」で異物を取り除くよう試みると同時に救急搬送が必要です。

※1背部叩打法
後ろから手のひらの基部で、左右の肩甲骨の中間当たりを力強く何度も叩く方法。

※2腹部突き上げ法

  • 1.背中側に回り、ウエストに手を回す
  • 2.「へそ」の位置を確認
  • 3.一方の手で握りこぶしを作って、親指側を「へそ」の上方でみぞおちより下方に当てる
  • 4.「へそ」を確認した手で握りこぶしを作り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げる

認知症の方への接し方で大切なのは共感と理解

認知症の方と接するときは、相手の立場や状況を考え、共感し、理解することが大切です。

「認知症の方との接し方で悩んでいる」「どう介護してよいかわからない」などのお悩みがありましたら「ベルコメンバーズアプリ」を活用してみてはいかがでしょうか。

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監修者 浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

日本認知症予防学会代表理事
日本老年精神医学会理事
日本老年学会理事
日本認知症予防学会専門医

1983年鳥取大学医学部医学科卒業

1988年同大大学院博士課程修了

1990年同大脳神経内科・助手

1996年同大脳神経内科・講師

2001年同大保険学科生体制御学講座環境保健学分野の教授(2022年まで)

2016年北翔大学客員教授(併任)

2022年鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座(寄付講座)教授に就任

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