認知症の家族の会とは?参加する5つのメリットや探し方、家族の相談先を解説

認知症の家族の会とは?参加する5つのメリットや探し方、家族の相談先を解説

「認知症介護をしている方と話してみたいけど、どこに行けばいいんだろう」「家族の会って、どんな場所なんだろう」

認知症介護の精神的な負担を抱え込んでしまう方は少なくありません。

厚生労働省は、認知症施策推進大綱や認知症施策関連ガイドラインの中で、認知症の方だけでなく家族への支援も重要な課題として位置づけています。そんなときに心強い存在となるのが、同じ立場の方と悩みや経験を共有できる認知症の家族の会です。

この記事では、認知症の家族の会の内容と参加するメリット・デメリット、探し方などを解説します。認知症の介護での相談先を見つける参考にしてください。

認知症の家族の会とは?

認知症の家族の会とは?
認知症の家族の会は、認知症の方を介護する家族同士が集まり、悩みや体験を語り合う場です。専門家による支援とは異なる「同じ立場の人とのつながり」が、参加者の大きな支えになることがあります。

家族の会の目的

家族の会の主な目的は、認知症介護をする家族の孤立を防ぎ、精神的な負担を軽くすることです。

認知症介護は長期にわたることが多く、「誰にも理解してもらえない」と感じやすい状況が続きます。家族の会では、同じ経験を持つ人と話すことで、情報交換や支え合いが生まれ、介護を続けていくための心の支えが得られることがあります。

家族の会の活動内容

家族の会の活動は、茶話会や交流会など、気軽に話せる場が中心です。

たとえば、多くの家族の会では5〜20人程度が集まり、円になって座って介護の悩みや体験を自由に話し合います。

専門職による講話や勉強会を開催するところもあります。活動の内容や雰囲気は団体によって異なるため、まずは一度参加してみることで自分に合うかどうかを確認できるでしょう。

家族の会と認知症カフェとの違い

家族の会と認知症カフェは、どちらも介護する家族が利用できる場ですが、目的と雰囲気が異なります。

比較項目 家族の会 認知症カフェ
主な対象 介護する家族が中心 本人・家族・地域住民など誰でも
目的 介護体験の共有・情報交換・精神的支援 交流・居場所づくり・情報提供
雰囲気 介護の悩みを深く語り合える場 リラックスした開かれた雰囲気
専門職の有無 専門職が同席する場合もある 専門職が常駐することが多い
本人の参加 家族のみが多い 本人も参加できる
向いている人 介護の悩みをじっくり相談したい 本人も一緒に参加したい

参考:公益社団法人認知症の人と家族の会 | 認知症になっても安心して暮らせる社会、私たちの認知症カフェ|厚生労働省をもとに作成

どちらが合うかは人それぞれです。複数の場を試してみて、自分が話しやすいと感じる場を見つけていくことが大切です。

認知症の家族の会に参加する5つのメリット

認知症の家族の会に参加する5つのメリット
家族の会に参加することで、介護への向き合い方が変わることがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

家族の悩みを共有でき安心できる

同じ悩みを持つ人と話せることが、家族の会のメリットです。

「なぜ私の親だけ」「自分の苦労を誰もわかってくれない」という孤立感は、介護の中で生まれやすい感情です。

実際に、家族の会で同じ立場の人と話すことで「怒ってばかりいるのは自分だけじゃないと分かった」「介護で泣いた話を初めて人に話せた」「話しただけで肩の力が抜けた」という体験談も聞かれます。

介護するコツを知れる

他の家族の体験談から、実践的な介護の知恵を得られます。

たとえば、「同じ話を何度も繰り返されるときは、否定せずに『そうなんですね』と相槌を打つだけで落ち着いた」「食事を食べたのに『まだ食べていない』と言われたとき、言い争わずに少量の間食を出すようにした」などの工夫を聞けることが家族の会の特徴です。

「こんなときはどうしているか」を気軽に聞ける場があることが、家族の会ならではの強みと言えるでしょう。

家族の気持ちが楽になる

不安やストレスを言葉にすることで、気持ちの整理につながることがあります。

一人で抱え込んでいた悩みを話すだけでも、心が軽く感じられることは少なくありません。

また、家族の会に参加した介護者を対象とした研究では、同じ経験を持つ人との交流を通じて、自分の悩みを整理し、介護に前向きに向き合えるようになるプロセスが確認されています。そのため、家族の会は悩みを共有するだけでなく、介護に前向きに取り組む力を育む場としても期待されています。

知らなかった制度を活用できるようになる

他の家族から、介護保険サービスや相談先の情報を得られることがあります。

家族の会では、「地域包括支援センターへ相談して介護サービスにつながった」「配食サービスを利用して介護の負担が軽くなった」など、制度を利用した実際の体験談を聞けることがあります。

パンフレットだけでは分からない利用方法やメリット・注意点を知ることで、必要な支援を早めに活用しやすくなるでしょう。

家族の心の健康を守れる

介護疲れや燃え尽きの予防につながる場として、家族の会を活用できます。

アルツハイマー病の家族を介護する方を対象とした海外の研究では、約55%に抑うつ症状が認められました。介護者の心の健康を守ることは、認知症の方へのケアの質を保つうえでも大切とされています。介護を一人で抱え込まないきっかけになるでしょう。

初めて認知症の家族の会へ参加する流れ

初めて認知症の家族の会へ参加する流れ
初めて家族の会へ参加するときは、「何を話せばいいのだろう」「一人でも大丈夫かな」と不安に感じる方も少なくありません。一般的には、次のような流れで進みます。

  • 問い合わせ・予約:地域包括支援センターや自治体、「認知症の人と家族の会」などへ連絡し、開催日時や参加方法を確認
  • 受付・自己紹介:当日は受付を済ませ、名前や介護している家族との関係などを簡単に紹介
  • 交流・情報交換:参加者同士で介護の悩みや工夫を自由に話し合う
  • 終了・個別相談:終了後にスタッフへ相談したり、地域の支援サービスを紹介してもらえたりする

初めて参加する方にはスタッフが流れを説明してくれることが多く、無理に発言を求められることはほとんどありません。話を聞くだけの参加でも歓迎される家族の会もあります。

認知症の家族の会に参加するデメリット・注意点

認知症の家族の会に参加するデメリット・注意点
家族の会はすべての人に合うわけではありません。参加を検討する前に、注意点も知っておくとよいでしょう。

家族によっては合わないこともある

雰囲気や活動内容が、自分や家族に合わない場合があります。

家族の会の雰囲気は団体によって大きく異なり、自由に悩みを話し合う会もあれば、専門職による講話や勉強会が中心の会、少人数でゆっくり話せる会などさまざまです。

また、参加者の年代や介護している家族との関係、認知症の進行状況によって話題も異なります。「思っていた雰囲気と違った」「あまり話せなかった」と感じることもあるでしょう。

家族の悩みを聞いて逆につらくなる場合もある

他の介護体験を聞くことで、不安が強くなることもあります。

たとえば、自分より症状が進んでいる方の介護体験を聞き、「今後うちもこうなるのではないか」と将来への不安を感じることがあります。また、介護期間の長さや苦労話を聞いて気持ちが落ち込んでしまう方もいるでしょう。

家族の会は、必ずしも毎回参加しなければならないものではありません。参加して疲れたと感じたときは、しばらく休んだり聞くだけの参加に切り替えたりする方法もあります。

開催頻度が少ない地域もある

地域によっては家族の会が少なく、参加しづらい場合があります。

認知症の家族の会は月1回程度の開催が多く、都市部に比べて地方では開催数が限られることもあります。また、仕事や介護の都合で開催日時に参加できない方も少なくありません。

地域に家族の会がない場合でも、地域包括支援センターへ相談すると近隣の交流会や認知症カフェなどを紹介してもらえる場合があります。

認知症の家族の会の探し方

認知症の家族の会の探し方
実際に家族の会を探す場合、いくつかの方法があります。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、地域の家族の会を紹介してもらえる身近な相談窓口です。

介護サービス全般の相談に加えて、地域で開催されている家族の会や交流会の情報も教えてもらえることがあります。相談することで、自分の地域に合った情報を得やすくなるでしょう。

自治体のホームページで探す

市区町村のホームページには、認知症支援に関するイベントや交流会の情報が掲載されていることがあります。

「〇〇市 認知症 家族の会」「〇〇区 認知症 家族教室」など地域名を入れて検索することで、自治体が主催・後援する家族の会を見つけやすくなります。開催日程や会場、参加方法について確認したうえで、気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

「認知症の人と家族の会」を活用する

公益社団法人「認知症の人と家族の会」は、1980年から活動を続けている全国規模の団体で、全国47都道府県に支部があります。

会員数は全国で9,107名(2025年3月末時点)、家族の会の開催や電話相談を実施しています。初めて参加する方や、まず相談だけしてみたいという方でも利用しやすい窓口です。

認知症の家族の会への参加が難しい場合の相談先

認知症の家族の会への参加が難しい場合の相談先
家族の会への参加が難しい場合でも、相談できる場所は複数あります。

相談先 特徴
地域包括支援センター 介護について何から相談すればよいかわからない場合におすすめ。介護保険サービスの利用方法だけでなく、家族の会といった支援先も紹介してもらえる
ケアマネジャー 介護保険サービスを利用している場合は、利用しやすい。家族の負担に合わせてサービス内容を見直したり、利用できる支援を提案してもらえたりする
もの忘れ外来 認知症が疑われる症状や治療に相談したい場合に適している。家族へのアドバイスや介護について相談できる医療機関もある
かかりつけ医 認知症の初期症状にも気づきやすく、必要に応じて専門医やもの忘れ外来を紹介してもらえる
自治体の認知症相談窓口 市区町村によっては認知症の専用窓口を設置している。介護制度や地域の支援サービスについて相談できる
オンライン家族の会・電話相談 外出が難しい場合や近くに家族の会がない場合でも、自宅から相談できる。「まず話を聞いてほしい」という方にも利用しやすい

どこへ相談すればよいかわからないときは、まず地域包括支援センターへ問い合わせてみましょう。地域で開催されている家族の会や相談窓口を紹介してもらえる場合もあります。

認知症の家族の会に関するよくある質問

ここでは、認知症の家族の会に関するよく寄せられる質問にQ&A形式で回答しました。

Q1 家族の会は認知症の本人も参加できますか?

家族の会は基本的に介護する家族を対象としており、本人の参加は受けていないところが多いようです。

本人も一緒に参加できる場を希望する場合は、認知症カフェの利用を検討するとよいでしょう。

Q2 家族の会には無料で参加できますか?

多くの家族の会は無料または少額の参加費で参加できます。

ただし、団体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。「認知症の人と家族の会」への入会には年会費(5,000円)が必要ですが、見学や一時参加は無料の場合もあります。

Q3 家族の会はどれくらいの頻度で開催されますか?

月1回程度の開催が多いようです。

地域や団体によって異なるため、参加したい家族の会に事前に確認することをおすすめします。参加が難しい場合は、オンライン開催の家族の会や電話相談を活用する方法もあります。

認知症の家族の会に参加して悩みを共有するのもひとつの方法

認知症の家族の会は、同じ立場の人と悩みを分かち合い、介護のコツや制度の情報を得られる場です。参加することで気持ちが軽くなったり、一人で抱え込まない習慣が生まれたりすることがあります。

すべての人に合うわけではありませんが、合わないと感じたときは無理に続ける必要はありません。まずは地域包括支援センターや「認知症の人と家族の会」に問い合わせるところから始めてみてください。

また、認知症の基本的な知識を知っておくと、今後の介護を考える際にも役立ちます。下記の記事でわかりやすくまとめていますので、あわせてご覧ください。

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監修者 浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

日本認知症予防学会代表理事
日本老年精神医学会理事
日本老年学会理事
日本認知症予防学会専門医

1983年鳥取大学医学部医学科卒業

1988年同大大学院博士課程修了

1990年同大脳神経内科・助手

1996年同大脳神経内科・講師

2001年同大保険学科生体制御学講座環境保健学分野の教授(2022年まで)

2016年北翔大学客員教授(併任)

2022年鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座(寄付講座)教授に就任

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