認知症と暮らすストレスを減らす方法は?具体的な7つの対処法やサービスを解説
認知症介護では、意思疎通の難しさや見守りの緊張、症状の変化への対応が重なり、家族のストレスが大きくなりやすい傾向があります。負担を抱えたまま介護を続けると、心身の不調につながるケースも少なくありません。
本記事では、ストレスが大きくなりやすい理由や限界に近いときのサイン、負担を減らす対処法、介護サービスを解説します。
ストレスへの対処法や活用できるサービスを知ることで、介護時の負担を抑えつつ、認知症の方との暮らしを穏やかに過ごせるようになるでしょう。
目次
認知症の方と暮らすとストレスが大きくなりやすい理由

認知症の方との暮らしでは、介護する家族のストレスが大きくなりやすいとされています。まずはストレスが大きくなりやすい理由を見ていきましょう。
意思疎通がうまくいかないため
また、認知症の方は症状への自覚が乏しい場合があり、家族からの声かけや説明を「責められている」と感じてしまうことがあります。家族が丁寧に話しているつもりでも、反発されたり言葉の意図が伝わらなかったりすると、さらに精神的に負担を感じやすくなるでしょう。
常に気を配る必要があるため
認知症では転倒や服薬管理、火の扱いなど、日常のさまざまな場面での見守りが欠かせません。本人は普段通りに過ごしているつもりでも、判断力や注意力の低下により、思わぬ事故につながる可能性があるためです。
とくに、ひとり歩きや行方不明の不安がある場合、夜間や外出時も気が休まりにくいでしょう。自宅にいても気が抜けない状態が続くと、心身の疲れが蓄積しやすくなってしまいます。
症状の変化に対応し続ける必要があるため
本人の状態に合わせて接し方や生活環境を調整しなければならず、家族はその都度、対応を見直さなければなりません。変化の速度や表れ方には個人差があるため、先の見通しを持ちにくい点も負担につながる要因の1つです。
暴言や介護拒否などがみられるため
また、介護拒否がみられると以下の生活行動の介助もより難しくなります。
- 食事
- 入浴
- 服薬
- 排せつ
本人の衛生環境や快適さを保つためにも上記の介助は無視できないため、介護者がストレスをより溜め込みやすい状況に陥ることもあります。
認知症の暴言の理由や対応は、下記の記事で紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。
家族の生活に支障が出やすいため
自由な時間が減ると、気分転換や休養の機会が少なくなるほか、短時間でも休めない状態が続くと、疲れが抜けにくくなり、本人と接する際の余裕もなくなりやすいでしょう。
家族の生活に支障が出ているときは、すでに介護での負担が大きくなっていると考え、相談窓口や介護サービスの支援を検討したほうが良いかもしれません。
ストレスが限界に近いときのサイン

不調を見過ごさないためにも、限界に近づいているサインを押さえておきましょう。
些細なことでイライラしてしまう
睡眠不足や疲労、不安が重なると心の余裕が失われ、感情が乱れやすくなります。こうした状態は介護者が十分に休めていないサインであり、意識的に休養をとることが大切です。
怒りやイライラを感じやすくなったときは、介護者自身が休めていないサインと考え、休養をとる意識も大切です。
無気力・抑うつ状態になる
認知症介護では責任感からつらさを我慢する方も少なくありませんが、介護者自身の健康が損なわれれば、介護を継続すること自体が困難になります。
介護や私生活だけでなく、趣味や以前は楽しみにしていた事柄にも意欲が湧かない場合は、ストレスを溜め込みすぎている可能性があるため、一時的に介護から距離をとる選択も必要です。
不眠や頭痛といった身体的な症状が表れる
- 寝付けない
- 途中で目が覚める
- 頭痛が頻繁に起こる
- 胃が痛くなる
- 肩こりがひどくなる
また、夜間の見守りや介助で睡眠不足が続くと、日中の判断力や気力にも影響しやすく、介護中の事故や認知症の方との口論につながるおそれもあります。
身体の不調は、介護者の負担が大きくなっている重要なサインの1つです。心身の不調が続く場合は、介護の負担を軽減する工夫だけでなく、医療機関で心身の状態を確認することも大切です。
介護を投げ出したいと感じる
強い負担を抱えたまま介護を続けると、声かけがきつくなったり、必要な対応を考える余裕がなくなったりする場合があります。睡眠不足や孤立感が重なると、普段なら受け流せる言動にも強く反応しやすくなります。
介護を続けることに限界を感じた際は、地域包括支援センターやケアマネージャーに状況を伝え、介護サービスの利用や役割分担の見直しを相談しましょう。
認知症の方と暮らす際のストレスを減らす7つの対処法

無理を重ねずに介護を続けるための対処法を確認しておきましょう。
1. 完璧に対応しようとしない
完璧に対応しようとしすぎると、思うように進まない場面で自分を責めやすくなります。食事や入浴、声かけが予定どおりに進まない日があっても、毎回うまくやり切る必要はありません。
介護を長く続けるには、本人への配慮だけでなく介護者自身の負担にも目を向ける必要があります。できる範囲を決め、家族や介護サービスに頼る選択も取り入れると、心の余白を保ちやすくなるでしょう。
2. 1人で抱え込まない
家族内で役割を分けるだけでなく、地域包括支援センターやケアマネージャー、主治医、介護サービスにも早めにつながりましょう。相談先が増えると、利用できる制度や休息の取り方を考えやすくなります。
悩みや弱音を話せる相手がいると、孤立を防ぎながら気持ちを整理しやすくなります。家族が早い段階で支援先を増やす工夫は、介護を続ける負担を減らすためにも重要です。
3. ほかの家庭と比較しない
周囲の家庭が落ち着いて見えると、自分の介護が不十分ではないかという自己否定に陥りやすくなります。また、比較しすぎるとできている事柄にも目を向けにくくなり、さらに負担感が強まることもあるでしょう。
ほかの家族と比較しすぎず、自分の家庭の状態に合った対応や過ごし方を考える姿勢がストレスを溜め込みすぎないために重要です。
4. 介護から離れる時間を意識的につくる
具体的には、デイサービスを利用している時間や本人の就寝中などに、短時間でも休息を確保すると良いでしょう。買い物に出る、趣味に触れる、テレビを見るなどの小さな気分転換でも、張りつめた気持ちをゆるめる助けになります。
「休むことも介護のうち」と割り切る考え方が、長期的な在宅介護を支えるためには大切です。
5. 記録をつけて客観視する
記録を続けると、症状が出やすいタイミングやきっかけを把握しやすくなります。医師やケアマネージャーへ相談する際にも、口頭だけで説明するより状況が伝わりやすくなるでしょう。
6. 家族で役割分担する
介護そのものを代われない家族でも、家事や送迎、手続きの確認など可能な範囲で役割を分けておきましょう。少しでも介護する人の負担を軽減できれば、介護に臨む姿勢や時間に余裕が生まれやすくなります。
介護を続けるには、家族内でできる役割を整理し、特定の人へ集中させない工夫を心がけましょう。
7. 第三者に話を聞いてもらう
第三者に状況を伝えることで、自分では思いつかなかった対処法やサービスの利用方法が見えてくる場合があります。話したからといってすぐに解決しなくても、気持ちを言葉にするだけで負担感がやわらぐケースもあります。
認知症の方と暮らす際のストレスを減らすために活用できるサービス

本人の生活を支えながら家族の負担を減らすためにも、活用できるサービスを確認しておきましょう。
ただし、各サービスは状況によって利用できない場合があるため、ケアマネージャーへの相談も大切です。
デイサービス
介護者にとっては、本人が施設で過ごしている間に休息や家事、自分の用事を済ませる時間を確保しやすくなります。利用できる内容や回数は、本人の状態や要介護度、地域の事業所によって異なるため、事前にサービスに関する情報を集めておくと良いでしょう。
認知症対応型デイサービスは下記の記事で紹介しているので、参考にご覧ください。
ショートステイ
冠婚葬祭や仕事の都合があるときだけでなく、介護者の疲れが強いときにも利用を検討できます。ただし、施設によって空き状況や受け入れ条件が異なるため、事前の確認が欠かせません。
訪問看護や訪問介護
訪問介護はホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴や排せつ、身体介護、生活援助などをおこないます。介護の負担を軽減できるため、長期的に自宅での介護を続けるうえで有用なサービスです。
地域包括支援センター
介護で困っていても、どこに相談すればよいか分からないといった悩みを抱える方は少なくありません。地域包括支援センターでは、本人や家族の状況を聞いたうえで、適切な支援先につないでもらうことも期待できます。
認知症と暮らすストレスに関するよくある質問
認知症と暮らすストレスに関するよくある質問を整理しました。
認知症の方のわがままな言動に疲れたときはどうすべき?
対応がつらいと感じるときは、本人と少し距離を取り、家族やケアマネージャー、地域包括支援センターなどに状況を共有すると整理しやすくなります。第三者の視点が入ると、声かけや介護サービスの使い方を考えやすくなるでしょう。
疲れが強いときは、介護者自身の休息を優先する判断も必要です。家族の手やデイサービスなどを借りながら、1人で抱え込まない形に切り替えましょう。
認知症介護者の気持ちはどのように理解してもらえばよい?
食事の介助や夜間の見守り、通院同行、同じ質問への対応など、どの場面で負担が集中しているのかを整理して伝えてみてください。また、家族に頼みたい内容を「週1回の買い物」「通院の付き添い」などに分けると、協力してもらいやすくなることもあります。
もし、自分の気持ちが家族に伝わりにくい場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談する方法もあります。専門職を交えて状況を整理すると、介護者の負担を共有しやすくなるでしょう。
認知症介護で家族がうつ病になることはある?
以下の状態が続く場合は、うつ病や抑うつ状態を疑ったほうが良いかもしれません。
- 眠れない
- 気分が沈む
- 涙もろくなる
- 何をしても楽しめない
- 集中できない
介護を続けるために我慢を重ねると、相談や休息を取る判断が遅れやすくなります。つらさが続くときは、かかりつけ医や精神科、心療内科などへ相談しましょう。
認知症介護ではストレスを抱え込まないことが大切
認知症介護のストレスは家族だけで抱え込まず、デイサービスやショートステイ、訪問介護、地域包括支援センターなどを活用して、負担を分散し、自分の心身の健康も大切にしましょう。
なお、認知症についての基本的な知識を整理しておくと、本人への接し方や今後の備えを考える際にも役立ちます。下記の記事で認知症に関する基礎知識をまとめているので、参考にご覧ください。
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