SCD(主観的認知機能低下)とは?MCI・認知症との違いや対応も解説

SCD(主観的認知機能低下)とは?MCI・認知症との違いや対応も解説

「SCDは認知症の前兆なのだろうか?」と不安に感じていませんか。SCD(主観的認知機能低下)は、本人が認知機能の低下を感じていても、検査では明らかな低下が認められない状態です。

この記事では、SCDと認知症の関係、MCI・認知症との違い、気になるときの対応についてわかりやすく解説します。

SCDとは?認知症との関係をわかりやすく解説

SCDとは?認知症との関係をわかりやすく解説
まずは、SCDがどのような状態なのか、認知症との関係とあわせてみていきましょう。

SCDは本人が認知機能の低下を感じている状態

SCDは「Subjective Cognitive Decline」の略です。日本語では「主観的認知機能低下」と呼ばれます。本人が以前より認知機能が低下したと感じる状態が続いている一方、標準化された認知機能検査では明らかな低下が認められない状態です。

検査結果は、年齢・性別・教育歴を考慮しても正常範囲にあります。認知機能の低下による明らかな日常生活上の支障はみられません。

たとえば「以前より人の名前を思い出しにくくなった」などの変化を、本人が気にしている場合があります。SCDは、現在のところ国際的な診断基準における病名ではなく、本人が感じる認知機能の変化を表す概念です。

SCDがあっても認知症に進むとは限らない

海外の研究では、SCDは将来のMCI(軽度認知障害)や認知症のリスク上昇と関連する可能性が示されています。ただし、SCDのある人がすべて認知症へ進むわけではありません。

認知機能の変化の感じ方には、加齢のほか、不安や気分の落ち込み、睡眠の問題、薬の影響などが関係する場合もあります。そのため、SCDだけで今後の経過を判断できません。

気になる変化が続いているか、日常生活に影響がないかを振り返ることが大切です。

SCD・MCI・認知症の違い

SCD・MCI・認知症の違い

SCD・MCI・認知症は、検査結果や日常生活への影響などに違いがあります。

MCIは「Mild Cognitive Impairment」の略で、日本語では「軽度認知障害」と呼ばれます。認知機能の低下は認められるものの、日常生活はおおむね自立している状態です。

ここでは、それぞれの違いを表にまとめました。

項目 SCD MCI 認知症
本人や周囲の気づき 本人が低下を感じている 本人や周囲が変化に気づくことがある 本人や周囲が変化に気づくことがある
認知機能検査 明らかな低下は認められない 同年代と比べて低下が認められる 低下が認められる
日常生活への影響 明らかな支障はみられない 基本的には自立している 日常生活や社会生活に支障がみられる

SCDでは、以前よりもの忘れが増えたと感じても、認知機能の低下による明らかな日常生活上の支障はみられません。MCIでは、買い物や家事は自分で行える一方、複雑な家事や慣れない手続きなどに時間がかかる場合があります。

認知症では、服薬やお金の管理が難しくなることがあるなど、認知機能の低下による生活上の支障がみられます。

ただし、SCDからMCI、認知症へ一方向に進むとは限りません。診断や治療については、検査結果や生活状況などをもとに医師が判断します。

軽度認知障害(MCI)については「軽度認知障害(MCI)とは|認知症との違いや初期症状を解説」もあわせてご覧ください。

SCDや認知症が気になるときにできること

SCDや認知症が気になるときにできること
もの忘れが気になるときは、変化を整理し、心身の状態にも目を向けてみましょう。

もの忘れの内容や日常生活の変化を振り返る

まずは、いつ、どのような場面で困ったのかを記録してみるとよいでしょう。たとえば、次のような内容です。

  • 人の名前や話した内容を思い出すまでに時間がかかることがある
  • 予定や約束を忘れないよう、何度も確認することが多い
  • 仕事や家事の手順を考えるのに以前より時間がかかるようになった
  • 同じことを何度も尋ねていると家族に言われることが増えた
  • 薬の服用やお金の管理で戸惑うことがある

本人だけでなく、家族が気づいた変化も記録すると、受診時に状況を伝えやすくなります。

睡眠やストレスなど心身の状態を見直す

認知機能の変化の感じ方には、不安や気分の落ち込み、睡眠の問題などが関係する場合もあります。

たとえば、次のように無理なく続けられることから取り入れてみましょう。

  • 睡眠時間や眠りの状態を振り返る
  • 日中に散歩などで体を動かす
  • 家族や友人と話す時間をつくる
  • 食事の内容や栄養バランスを見直す

また、薬の種類によっては、認知機能に影響する場合があります。気になる場合があっても自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。

医療機関に相談する

もの忘れが続いたり、家事や服薬管理に支障が出たりしている場合などは、かかりつけ医やもの忘れ外来への相談を検討しましょう。受診する際は、記録した変化や服用中の薬がわかるものを持参すると、医師に状況を伝えやすくなります。

受診する医療機関については「認知症は何科の病院を受診する?診療科と状況別の選び方を解説」もあわせてご覧ください。

SCDを知り、気になる変化を振り返りましょう

SCDは、本人が認知機能の低下を感じていても、検査では明らかな低下がみられない状態です。MCIや認知症とは、検査結果や日常生活への影響などに違いがあります。

もの忘れが気になるときは、変化の内容や心身の状態を振り返り、不安が続く場合は医療機関への相談を検討しましょう。

ベルコメンバーズアプリでは、ご自宅で認知機能チェックを利用できます。診断を行うものではありませんが、現在の状態や変化を振り返る目安としてご活用ください。

【参考文献】

PubMed.The characterisation of subjective cognitive decline Jessen, F., Amariglio, R. E., Buckley, R. F., et al. (2020). The Lancet Neurology, 19(3), 271–278

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター:あたまとからだを元気にする MCIハンドブック 第2版

厚生労働省:介護予防マニュアル第4版 第6章 認知機能低下予防・支援マニュアル

厚生労働省:認知症に関する相談先

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