軽度認知障害(MCI)とは|認知症との違いや初期症状を解説

軽度認知障害(MCI)とは|認知症との違いや初期症状を解説

軽度認知障害(MCI)は、認知症の一歩手前ともいわれる状態です。しかし、すべての方が認知症を発症するわけではありません。認知症へと進行するケースもあれば、認知機能を維持できるケースもあります。

本記事では、軽度認知障害の特徴や初期症状、受診の目安について、わかりやすく解説します。

軽度認知障害(MCI)とは?認知症・加齢との違い

軽度認知障害(MCI)とは?認知症・加齢との違い
ここでは、軽度認知障害(MCI)とは何か、認知症や加齢によるもの忘れとの違いを見ていきましょう。

軽度認知障害の基本的な考え方

軽度認知障害は、認知症と健常な状態の中間にあたるとされています。記憶や注意力などに軽い低下がみられますが、日常生活はほぼ自立して送れている状態です。

厚生労働省でも、認知症ではないが健常ともいえない段階と位置づけられています。すべての方が認知症になるわけではなく、状態が維持されたり、改善がみられたりする場合もあるとされています。

認知症との違い

認知症との違いは、日常生活への影響の程度です。認知症は、記憶や判断力などの認知機能の低下により、日常生活に支障が出る状態とされています。たとえば、買い物や金銭管理、服薬の管理などに支障が出ることがあります。

一方、軽度認知障害の場合は、もの忘れがあっても日常生活に支障が出ていないことが多いとされています。たとえば、予定を忘れることがあっても、家族の声かけやカレンダー・メモなどを活用しながら確認でき、基本的な生活は保たれている状態です。

認知症の特徴については「認知症の種類と特徴を解説|改善が期待できる原因や受診の目安も紹介」も参考にご覧ください。

年齢によるもの忘れとの違い

年齢によるもの忘れとの違いは、忘れ方にあります。加齢によるもの忘れの場合、体験の一部を思い出せなくなります。たとえば、朝食の内容は忘れても、食べたこと自体は覚えていることが一般的です。

一方、軽度認知障害の場合、体験そのものを思い出しにくくなるなど、認知症にみられるような記憶障害があらわれ始めます。ただし、程度としては、まだ日常生活に大きな支障をきたしていない範囲にとどまっている状態です。

年齢によるもの忘れと認知症の初期症状との違いについては「認知症の6つの初期症状とは?加齢との違いや受診の目安も解説」でも詳しく解説しています。こちらも参考にご覧ください。

軽度認知障害(MCI)の初期症状と日常生活でみられる変化

軽度認知障害(MCI)の初期症状と日常生活でみられる変化

軽度認知障害(MCI)は基本的な日常生活は自立して送れているものの、これまでと比べて以下のような変化がみられることがあります。なお、あくまで目安であり、診断ではありません。

  • 同じことを何度も聞いたり、話したりする
  • 約束や予定を忘れることが増えた
  • 物の置き場所を忘れ、探し物が多くなった
  • 会話の途中で話の内容がわからなくなる
  • 以前よりも集中力が続かないと感じる
  • 外出や趣味への関心が薄れてきた
  • 新しい場所や機械への対応が苦手になった
  • テキパキと物事をこなすことが難しくなった

上記は一例ですが、複数当てはまる場合は注意が必要です。気になる変化がある場合は、早めに医療機関への相談を検討しましょう。

軽度認知障害(MCI)は改善することがある?放置せず確認したいこと

軽度認知障害(MCI)は改善することがある?放置せず確認したいこと
軽度認知障害(MCI)は、必ず認知症へ進行するわけではありません。適切な対応により、状態が維持・改善する可能性もあります。

認知症へ進行するケースと維持・改善するケース

厚生労働省の資料によれば、医療機関でMCIと診断された人が1年間に認知症へ移行する割合は、約5〜15%と報告されています。

MCIの状態にとどまるケースに加え、約16〜41%が健常に近い状態(年齢相応の正常レベル)に回復するとの報告もありますが、経過には個人差があります

とくに、生活習慣の見直しや適切な対応により、認知機能の低下を緩やかにできる可能性も示唆されています。

受診の目安と相談先

軽度認知障害(MCI)の段階では、日常生活に大きな支障がない場合も多く、様子を見てしまうことも少なくありません。しかし、変化に早く気づき対応することが、その後の生活の質を保つうえで大切です。

もの忘れや注意力の低下などの変化が複数みられる場合や、本人や家族が不安を感じる場合は、できるだけ早めに専門家への相談を検討しましょう。相談先としては、かかりつけ医のほか、もの忘れ外来や地域包括支援センターなどがあります。

地域包括支援センターでは、生活上の困りごとや、どこの医療機関に行けばよいかわからない場合の相談にも乗ってくれます。

軽度認知障害(MCI)に気づいたときの対処法

軽度認知障害(MCI)に気づいたときの対処法

軽度認知障害(MCI)の段階では、次のような生活習慣の見直しが重要とされています。

  • 適度な運動
  • バランスのよい食事
  • 十分な睡眠時間の確保
また、人との交流や趣味などの活動を通じて、脳に刺激を与えることも大切です。たとえば、読書や楽器演奏などの活動は、認知機能の維持に関係する可能性が報告されています。

ひとりでは三日坊主になりやすいため、地域に認知症予防教室などがあれば、参加をおすすめします。地域包括支援センターなどに確認してみてください。

心理的ストレスにならない無理のない範囲で、継続するとよいでしょう。認知症予防に交流や趣味が役立つ理由については「認知症予防におすすめの趣味|役立つ理由や無理なく続けるコツも紹介」も参考にご覧ください。

軽度認知障害(MCI)とは、早めに気づき向き合うことが大切な状態

軽度認知障害(MCI)は、健常者と認知症の中間に位置する状態です。初期の変化に気づき、生活習慣の見直しや適切な対応を行うことで、状態の維持や改善が期待できる場合もあります。

「もの忘れが気になる」「以前と少し違うかもしれない」と感じたときは、変化を見過ごさず早めに確認することが大切です。

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監修者 浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

監修者 浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

日本認知症予防学会代表理事
日本老年精神医学会理事
日本老年学会理事
日本認知症予防学会専門医

1983年鳥取大学医学部医学科卒業

1988年同大大学院博士課程修了

1990年同大脳神経内科・助手

1996年同大脳神経内科・講師

2001年同大保険学科生体制御学講座環境保健学分野の教授(2022年まで)

2016年北翔大学客員教授(併任)

2022年鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座(寄付講座)教授に就任

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