正常圧水頭症は認知症?アルツハイマー型との違いや3つの症状を解説
「親のもの忘れが増えて、歩き方も変わってきた。これは認知症なの?」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
正常圧水頭症は、脳脊髄液がたまって脳室が広がる病気です。認知機能の低下に加え、歩行障害や排尿障害がみられることがありますが、治療で症状の改善が期待できる場合もあります。
この記事では、アルツハイマー型認知症との違いや主な3つの症状、検査・治療について解説します。
目次
正常圧水頭症は認知症?アルツハイマー型認知症との違い

正常圧水頭症は、認知機能の低下を引き起こし、認知症の原因となることがある病気です。アルツハイマー型認知症とは原因や症状の現れ方などに違いがあります。
アルツハイマー型認知症とは原因や特徴が異なる
正常圧水頭症は、脳の中にある脳室に脳脊髄液がたまり、脳室が広がることで症状が現れる病気です。
正常圧水頭症には、くも膜下出血などの先行疾患に続いて起こるものと、明らかな先行疾患がないものがあります。後者は「特発性正常圧水頭症」と呼ばれます。本記事では、高齢者にみられることが多い特発性正常圧水頭症を中心に解説します。
一方、アルツハイマー病は、アミロイドβやタウというたんぱく質が脳に蓄積することを特徴とする病気です。以下に、正常圧水頭症とアルツハイマー型認知症の違いを整理しました。
| 正常圧水頭症 | アルツハイマー型認知症 | |
|---|---|---|
| 病気の主な特徴 | 脳脊髄液がたまり、脳室が広がる | アミロイドβやタウなどが脳に蓄積する |
| 認知機能の変化 | 反応の遅さや注意力・意欲低下などがみられることがある | 記憶障害が中心になることが多い |
アルツハイマー型認知症の症状については「アルツハイマー型認知症の初期症状とは?日常生活での具体例をもとに解説」もあわせてご覧ください。
アルツハイマー病を合併している場合もある
正常圧水頭症とアルツハイマー病は、どちらか一方だけが起こるとは限りません。正常圧水頭症にアルツハイマー病などが併存している場合もあります。
そのため、もの忘れや歩きにくさなどの症状だけで、原因を見分けることは困難です。気になる変化がある場合は、医療機関で相談しましょう。
正常圧水頭症の主な3つの症状

正常圧水頭症では、歩行障害・認知障害・排尿障害が代表的な症状とされています。3つがすべてそろうとは限らず、症状の現れ方には個人差があります。
1.歩幅が小さくなるなどの歩行障害
正常圧水頭症では、歩き方の変化が目立つことがあります。家族が気づきやすい変化には、次のようなものがあります。
- 歩幅が小さくなり、小刻みに歩く
- 足が上がりにくく、すり足になる
- 歩き始めに足が出にくい
- 方向転換するときに不安定になる
たとえば「以前より歩くのが遅くなった」「転びやすくなった」といった変化がみられる場合があります。
2.もの忘れや意欲低下などの認知障害
認知障害ではもの忘れだけでなく、考えたり行動したりするまでに時間がかかったり、注意力や意欲が低下したりする場合もあります。
家族から見ると「声をかけても反応が遅くなった」「以前していた家事や趣味をしなくなった」などの変化として気づくこともあるでしょう。
3.尿が間に合わないなどの排尿障害
排尿障害では、次のような症状がみられることがあります。
- トイレが近くなる
- 急に強い尿意を感じる
- 尿が間に合わない
ただし、これらは正常圧水頭症以外の病気や加齢によっても起こります。歩き方や認知機能の変化とあわせて気になる場合は、医療機関に相談してみましょう。
正常圧水頭症の検査と治療

正常圧水頭症では、治療によって歩行障害などの症状が改善する場合があります。ただし、改善の程度には個人差があります。
画像検査や歩行状態などを確認する
正常圧水頭症の診断では、CTやMRIで脳室の広がりや特徴的な画像所見などを確認します。あわせて、歩き方や認知機能、排尿の状態なども評価し、似た症状が現れるほかの病気がないかを調べます。
必要に応じて行われるのが「タップテスト」です。腰から一定量の脳脊髄液を抜き、その前後で歩き方や認知機能などに変化があるかを確認します。
検査結果をもとに、医師が正常圧水頭症の診断や治療方針を判断します。
主な治療は髄液シャント術
主な治療は「髄液シャント術」と呼ばれる手術です。細いチューブを体内に入れ、脳脊髄液を体内の別の場所へ流します。
手術によって歩行障害などの改善が期待でき、認知障害や排尿障害が改善する場合もあります。ただし、すべての症状が同じように改善するとは限りません。
年齢や全身の状態、ほかの病気の有無なども考慮しながら、手術を行うかどうかが検討されます。治療については、検査結果をもとに医師と相談することが大切です。
もの忘れだけでなく歩き方や排尿の変化にも目を向けよう
正常圧水頭症では、もの忘れだけでなく、歩きにくさや排尿の変化がみられることがあります。症状の現れ方には個人差があるため、気になる変化が続くときは医療機関へ相談することが大切です。
認知症にはさまざまな原因や症状があります。基本的な特徴や対応について知りたい方は「認知症の基礎知識|初期症状・種類・予防・もの忘れとの違いを解説」もあわせてご覧ください。
【参考文献】
日本正常圧水頭症学会:特発性正常圧水頭症(iNPH)と類似疾患との鑑別診断、および併存診断と治療、診療連携構築のための実践的手引き書 2025
国立長寿医療研究センター:認知症の原因となる正常圧水頭症
国立長寿医療研究センター:歩行障害・認知症・尿失禁があるときは…〜正常圧水頭症〜
Neurologia Medico-Chirurgica, 61(2), 63–97.et al. (2021).Guidelines for Management of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus (Third Edition): Endorsed by the Japanese Society of Normal Pressure Hydrocephalus Nakajima, M., Yamada, S., Miyajima, M.
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