認知症予防教室とは?内容やプログラム、選ぶ際の4つの注意点を解説

認知症予防教室とは?内容やプログラム、選ぶ際の4つの注意点を解説

「最近、親が家から出なくなった」「そろそろ認知症が心配だから、予防教室にでも通ってもらいたい」

そう考えて、認知症予防教室について調べている方は多いのではないでしょうか。

とはいえ、教室で何をするのか、どこで探せばよいのか、そもそも親が行きたがるのかと、疑問や不安も出てくるものです。

この記事を読めば、認知症予防教室で行われる内容や費用・対象者を理解したうえで、親が住む地域で教室を探せるようになります。本人が「行ってみようかな」と思える誘い方や、参加を嫌がった場合の代わりの取り組みまで紹介しますので、親が無理なく外に出るきっかけをつくる参考にしてください。

目次

認知症予防教室とは?

認知症予防教室とは?

認知症予防教室とは、体操や脳トレ、認知症に関する講座などを組み合わせて、高齢者の心身の機能を保つことを目的に開催されている集まりのことです。

項目 主な内容
内容 脳トレ・体操・講座など
対象 主に65歳以上。年齢や条件は自治体・教室ごとに異なる
費用 自治体の教室は無料〜1回数百円程度が目安
開催場所 公民館、地域の集会所、保健センター、カルチャースクールなど
開催頻度 週1回〜月1回程度。全10回などの期間限定コースもある
探し方 市区町村のホームページ・広報誌、地域包括支援センター、民間の教室

市区町村が介護予防事業として開催しているものが多く、公民館や地域の集会所、保健センターなどが会場になります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

認知症予防教室の内容やプログラム

認知症予防教室のプログラムは、「頭を使う活動」「体を動かす活動」「学ぶ時間」などに分けられます。

ウォーキングやダンスといった有酸素運動、筋力トレーニングの他に、簡単な計算プリント、間違い探し、トランプや麻雀といったゲームなどが取り入れられているようです。

認知症予防教室に参加できる対象者

認知症予防教室の対象は、主にその市区町村に住む高齢者です。

ただし、対象年齢や条件は教室によって異なるため、「うちの親は通えるだろうか」と迷ったら、募集要項を確認すると安心です。

自治体が開催する介護予防教室では、65歳以上を対象とするものが多く見られます。一方で、60歳以上としているところ、要支援・要介護認定を受けていない人に限定しているところ、逆に年齢を問わず誰でも参加できる集まりもあります。

教室だけで認知症予防の効果が期待できるわけではない

認知症予防教室に参加したからといって、認知症の発症を防げるわけではありません。この点は、親に勧める前にぜひ知っておいてほしいところです。

政府が2019年にまとめた認知症施策推進大綱でも、「予防」とは「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味だと説明されています。教室に通うことは、この「遅らせる」ための取り組みのひとつという位置づけです。

認知症予防教室に参加するメリット

認知症予防教室に参加するメリット

認知症予防教室に通う意義は、認知症を防ぐこと自体よりも、親の生活と家族の関わり方が変わる点にあります。ここでは、家族から見た3つのメリットを紹介します。

認知症予防について正しい知識を学べる

認知症について信頼できる情報を、専門職から得られることが挙げられます。

インターネットで検索すると「これを食べれば防げる」といった真偽のはっきりしない情報も目に入りますが、教室では保健師や管理栄養士が公的な指針に基づいて説明してくれる場合もあります。高血圧や糖尿病、喫煙、運動不足といった認知症のリスクを高める生活習慣を、本人が自分の言葉で理解できる点は大きいでしょう。

家族にとっての利点は、親と共通の前提ができることです。家族が一緒に参加できる回を設けている教室もあり、同じ話を聞いておけば「減塩したほうがいいらしいね」と自然に話題にできます。

認知機能を使う機会をつくれる

生活のなかに、「覚える」「考える」「話す」場面を定期的に組み込めることもメリットのひとつです。

一人暮らしや高齢夫婦のみの世帯では、一日中テレビを見て過ごし、誰とも話さない日が続くことも珍しくありません。教室に通えば、週に1回でもそうした時間が確保され、生活に変化がつきます。「昨日の教室で何をした」と家族に話す機会も生まれるでしょう。

ただし、脳トレを含む認知トレーニングについては、WHOが2019年に公表した認知機能低下および認知症のリスク低減に関するガイドラインで、身体活動ほど強い推奨にはなっていない点に注意が必要です。

運動や外出、交流のきっかけになる

外出の予定が生活のなかに生まれることもメリットです。家族から見て、変化を実感しやすいのがこの点かもしれません。

「火曜日は教室の日」と決まっていれば、その日は着替えて家を出ることになります。閉じこもりがちだった親にとって、この定期的な外出そのものが生活リズムをつくります。同年代の参加者と天気や孫の話をするうちに顔なじみができ、楽しんでいた趣味や地域活動に復帰するきっかけになることもあるでしょう。

参考として、神奈川県松田町でおこなわれた研究では、通いの場への参加者では、参加していなかった人と比べて、その後のもの忘れの発生リスクが44%低かったと報告されています。

認知症予防教室の探し方

認知症予防教室の探し方

認知症予防教室を探す方法は3つあります。まずは費用の負担が少ない自治体の教室から確認し、条件に合うものがなければ民間へ広げていくのが現実的な進め方です。

市区町村が開催する介護予防教室を検索する

親が住んでいる市区町村のホームページや広報誌を確認しましょう。

「◯◯市 介護予防教室」「〇〇区 通いの場」のように地域名と組み合わせて検索すると、高齢福祉課や健康推進課が案内している教室の一覧にたどり着けます。介護予防事業として開催されているものが多く、広報誌の後半に参加者募集の告知が載っていることも少なくありません。

なお、費用や開催頻度は自治体によって異なります。無料のものから1回数百円程度のものなどあるため、募集要項の細かい部分まで目を通しておくと安心です。

地域包括支援センターに相談する

ホームページだけでは分からない情報を集めたいときは、地域包括支援センターに相談する方法があります。

地域包括支援センターに問い合わせれば、地域の通いの場や住民主体の活動について情報を得られる場合があります。

担当区域が住所ごとに決まっているため、「〇〇市 地域包括支援センター」で検索し、実家の住所を管轄するセンターを確認しましょう。

民間の教室や近くのシニア体操教室を探す

自治体の教室が親の希望に合わない場合は、民間の選択肢に目を向けてみましょう。

カルチャースクールやフィットネスクラブ、民間の介護予防サービスなどにも、高齢者向けのプログラムがあります。「シニア体操教室 〇〇市」「高齢者 教室 〇〇駅」のように、地域名と組み合わせて検索してみてください。

ピアノや合唱、書道、園芸など、本人が興味を持てる活動から探す方法もあり、「認知症予防」という看板がないほうがかえって誘いやすい場合もあります。

認知症予防教室を選ぶ際の注意点

認知症予防教室を選ぶ際の注意点

認知症予防教室は、「本人が続けられるか」で選ぶことが大切です。ここでは、教室を比べるときに確認したいポイントを紹介します。

自分が興味を持てるプログラムの教室を選ぶ

本人が「やってみたい」と思える内容かどうかを確認しましょう。

教室の内容は体操、音楽、園芸、調理、手芸など多岐にわたります。昔から歌が好きな親であれば、合唱を取り入れた教室のほうが計算プリント中心の教室より長続きするでしょう。

ここで気をつけたいのが、家族が「良さそう」と感じた教室を選んでしまうことです。候補を2〜3つ挙げて本人に見せ、選んでもらう形にすると、納得感を持って通い始められるはずです。

無理なく通える場所・頻度か確認する

通うこと自体が負担にならないかを確認する必要があります。

自宅から徒歩や公共交通機関でどのくらいかかるか、坂道や階段はないか、バスの本数は十分かといった点は、募集要項だけでは分かりません。一度、実際のルートを一緒に歩いてみるとよいでしょう。

また、週2回の教室は生活のリズムをつくりやすい一方、通院や家事と重なると負担になる可能性があります。送迎の有無や、一人で行き来できる場所かどうかもあわせて確認してみてください。

一人でも安心して参加できる環境を選ぶ

一人で参加しても居心地よく過ごせる環境かどうかも、教室選びの重要なポイントです。

長く続いている教室では、参加者同士のグループができあがっていることがあります。見学の際は、一人で参加している人がいるか、初参加の人に声をかける雰囲気があるかを見ておきましょう。

スタッフが参加者の様子に目を配り、輪に入れていない人にフォローを入れているかどうかも判断材料になります。

教室終了後も継続できる仕組みがあるか見る

教室が終わったあとの受け皿についても、確認すべきポイントです。

自治体の介護予防教室には、「全10回」「3か月コース」のように期間が決まっているものが少なくありません。終了後に自主的なサークル活動や住民主体の集まりにつながる仕組みがあるか、募集要項や説明会で確認しておきましょう。

また、教室で覚えた体操や脳トレを自宅でも続けられるかという視点も持っておくと安心です。

認知症予防教室に申し込む方法

認知症予防教室に申し込む方法

認知症予防教室への申し込みは、次の3ステップで進めると迷わないでしょう。

ステップ やること 確認・注意点
1. 開催情報を確認する 市区町村のホームページ・広報誌、地域包括支援センターで募集中の教室を調べる 募集時期が年度初めや四半期ごとに限られる教室もあるため、早めに調べる
2. 詳細を問い合わせる 窓口に電話やメールで確認する 対象者、開催日時、費用と支払い方法、持ち物、締め切り、見学・体験の可否、定員と申し込み状況
3. 申し込み手続きをする 電話・窓口・はがき・電子申請などで申し込む 親が一人で手続きするのが難しい場合は家族が同席・代理も可能

家族が「行ったほうがいい」と決めるのではなく、本人が興味のある活動や通いやすさを踏まえて選べるようにすることが大切です。

家族が認知症予防教室を勧めるときのポイント

家族が認知症予防教室を勧めるときのポイント

家族が教室を勧めるときは、本人の気持ちを傷つけない伝え方が何よりも大切です。良かれと思った一言が、かえって拒否につながることもあります。

「認知症予防」を前面に出しすぎない

意識したいのは、「認知症予防のために行こう」という誘い方を避けることです。

本人からすると「自分は認知症になりかけていると思われている」というメッセージに受け取れます。「まだそんな年じゃない」「私はボケていない」と反発されてしまうと、その後どんな教室を紹介しても耳を貸してもらえなくなるでしょう。

「最近運動不足だから一緒に体を動かさない?」「面白そうな教室を見つけたんだけど」といった別の切り口で伝えてみてください。

親が興味を持てる内容から誘う

本人の趣味やこれまでの経験につながる教室を探すことも重要です。

長く裁縫をしていた人なら手芸を取り入れた教室、合唱団にいた人なら音楽のプログラムというように、過去の得意分野と結びつけると「行ってみようかな」という気持ちが生まれやすくなります。

本人が楽しめそうかどうかを優先するほうが、結果的に長く通えるものです。

無理に参加させない

本人が嫌がる場合は無理に通わせないようにしましょう。

家族としては心配のあまり説得を重ねたくなりますが、押し切って参加させても、本人が乗り気でなければ長続きしません。

まずは「なぜ嫌なのか」を聞いてみてください。「知らない人ばかりで気を遣う」「送り迎えが面倒」「大勢が苦手」など、理由が分かれば、少人数の教室に変える、自宅近くの集まりを探すといった対策も立てられます。

認知症予防教室に行けない人におすすめの取り組み

認知症予防教室に行けない人におすすめの取り組み

近くに教室がない、本人がどうしても乗り気にならないという場合でも、認知機能の低下や認知症のリスク低減につながる生活習慣に取り組むことはできます。

  • ウォーキングなどの運動を習慣にする
  • 栄養のバランスに気をつけた食事にする
  • 自宅で脳トレや知的活動に取り組む

教室に通えないからといって、あきらめる必要はありません。下記の記事でも認知症予防について詳しく解説しているため確認してみてください。

認知症予防教室に関するよくある質問

ここでは、認知症予防教室に関するよくある質問にQ&A形式で回答します。

Q1 認知症予防教室は何歳から参加できますか?

自治体が開催する介護予防教室では、65歳以上を対象としているものが多く見られます。

ただし、60歳以上としている自治体や、年齢を問わず誰でも参加できる集まりもあり、条件は地域によってさまざまです。募集要項を確認するか、地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

Q2 認知症予防教室の費用はいくらですか?

自治体の教室では無料または少額の参加費で利用できる場合があります。民間の教室は、内容や頻度によって料金が異なるため、申し込み前に確認しましょう。

Q3 一人でも参加できますか?

多くの教室は、一人での参加を前提に運営されています。

実際に一人で通っている参加者も少なくありません。不安がある場合は、見学や体験参加から始める、初回だけ家族が付き添うといった方法で、少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

Q4 家族が教室に行きたがらない場合はどうすればいいですか?

無理に参加させず、まずは理由を聞くことから始めてみてください。

「知らない人ばかりで気を遣う」「時間が合わない」など、理由が分かれば別の教室や活動に切り替えられます。教室にこだわらず、一緒に散歩をする、家で楽しめる知的活動を取り入れるといった方法でも、生活に活動と交流を増やすことは可能です。

認知症予防教室をきっかけに外出や交流を続けよう

認知症予防教室は、頭と体を使う機会と人とのつながりを、地域のなかで同時に得られる場です。通えば認知症を防げると保証されたものではありませんが、閉じこもりがちな親にとって、外出の予定ができること自体に価値があります。

大切なのは、効果がありそうな教室を探すことではなく、本人が続けられる教室を一緒に選ぶことです。まずは親が住む市区町村のホームページか、地域包括支援センターに電話をかけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

教室に参加するようになったら、「今日は教室に行った」「こんな話をしてくれた」など、小さな変化も家族で共有しておくと安心です。

離れて暮らす家族同士でこうした情報を共有する手段のひとつが、ベルコメンバーズアプリです。小さな変化を残しておくと、次に何を提案するかを考えるときの手がかりにもなるでしょう。

【参考文献】

厚生労働省:認知症施策推進大綱

令和元年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業「海外認知症予防ガイドラインの整理に関する調査研究事業」WHO ガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会:認知機能低下および認知症のリスク低減WHOガイドライン

千葉大学:通いの場参加で物忘れリスク44%減少~通いの場は地域組織参加も促す高齢者にやさしい社会環境~

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