トランプは認知症予防に効果がある?期待できる理由と高齢者向けゲーム5選を解説
「トランプは認知症予防にいいらしい」と聞いて、親と一緒に遊んでみようかと考えている方もいるのではないでしょうか。一方で、「本当に効果があるの?」「認知症が進んできた親でも楽しめる?」と、トランプを取り入れることに迷う方もいるでしょう。
この記事では、トランプそのものに認知症予防の効果が証明されているのかを整理したうえで、トランプが知的活動や人との交流を楽しむきっかけになる理由、高齢者向けゲーム5選を解説します。「認知症予防のために何か始めたいけれど、親に無理をさせたくない」という方も、親子で楽しみながら取り入れられる方法を見つけられます。
目次
トランプは認知症予防に効果がある?

トランプは、知的活動として認知症予防に役立つ可能性があると考えられています。
国立長寿医療研究センターが紹介する研究では、認知機能に問題のない高齢者469名を追跡した結果、読書や楽器演奏、ボードゲームを週2回以上おこなっていた人は、週2回未満の人と比べて、認知症を発症した割合が少なかったと報告されています。発症割合の低さは、読書で35%減、楽器演奏で69%減、ボードゲームで74%減でした。
トランプそのものに認知症予防効果があることを示す十分な研究結果はありません。ただし、トランプは記憶や注意、思考などを使う知的活動の一つであり、楽しみながら取り組める活動として取り入れることはできます。
トランプでさまざまな認知機能を使える理由

トランプは、ゲームの種類によって使う認知機能が異なります。カードの位置や数字を覚えたり、手札や相手の動きを見ながら次の行動を考えたりするため、楽しみながらさまざまな認知機能を使う機会になります。
記憶力や集中力を使う
神経衰弱では、めくったカードの数字と位置を覚えておく必要があります。どこに何のカードがあったかを思い出しながら次のカードを選ぶため、記憶力や注意力を使う活動になります。
また、七並べでも場に出ているカードや自分の手札を把握し続ける必要があり、ゲーム中は集中して状況を見ることが求められます。
計算や思考力を使う
トランプでは、ゲームによって計算したり、先の展開を考えたりする場面があります。
例えば、七並べでは手札と場のカードを見比べて、どのカードを出すかを判断します。合計10ゲームではカードの数字を組み合わせて計算するため、判断力や計算力を使う機会になります。
このように、ゲームの種類を変えることで、異なる認知機能を使いながら楽しめることがトランプの特徴です。
手を動かしながら人と交流できる
トランプは、カードを配る・めくる・並べるといった手の動作をしながら、家族や友人と会話を楽しめる活動です。
政府広報オンラインでは、音読や簡単な計算にコミュニケーションを組み合わせる「学習療法」について、前頭前野を中心に脳が活性化することが研究で確認されたと紹介されています。
トランプにも同じ効果が確認されているわけではありませんが、カードを操作しながら相手の動きを見たり、次の手を考えたり、会話したりすることで、複数の活動を楽しめることは特徴です。
そのため、トランプは認知症予防の効果が証明された方法としてではなく、頭を使う活動と人との交流を楽しむきっかけの一つとして取り入れるとよいでしょう。
認知症予防におすすめの高齢者向けトランプゲーム

ここでは、高齢者と無理なく楽しめる代表的なトランプゲームを5つ紹介します。難しいルールを覚える必要がなく、少人数からでも始められるものを選びました。
神経衰弱
- 人数:2人〜
- 準備するカード:トランプ1組(52枚)。慣れないうちは枚数を減らしてもよい
- 遊び方
- 1. カードをすべて裏向きにしてバラバラに並べる
- 2. 順番に2枚めくり、同じ数字なら自分の手札にする
- 3. 違う数字なら元の位置に戻し、次の人の番になる
- 4. すべてのカードがなくなったら、手札の多い人の勝ち
めくったカードの位置と数字を覚えておく力が必要なため、記憶力を使う代表的なゲームです。枚数を8〜10枚程度から始めると、無理なく取り組めます。
七並べ
- 人数:2〜4人程度
- 準備するカード:トランプ1組(52枚)からジョーカーを抜く
- 遊び方
- 1. 全員にカードを配る
- 2. 最初に7のカードを出した人からスタートし、7を起点に6や8など数字をつなげて出していく
- 3. 出せるカードがない場合はパスをする
- 4. 手札が最初になくなった人の勝ち
自分の手札全体を見渡しながら、次に何を出せるか考える力を使います。出せずにパスが続く場面では、他の人の手札を推測する力も求められます。
ばば抜き
- 人数:2人〜
- 準備するカード:トランプ1組にジョーカーを1枚加える
- 遊び方
- 1. カードをすべて配り、同じ数字のペアがあれば場に出す
- 2. 順番に隣の人のカードを1枚引く
- 3. 引いたカードとペアになれば場に出し、ならなければ手札に加える
- 4. 最後までジョーカーを持っていた人が負け
相手の表情や仕草から手の内を読もうとするやり取りが自然と生まれ、記憶力だけでなく人とのコミュニケーションも楽しめるゲームです。
ダウト
- 人数:2人〜
- 準備するカード:トランプ1組(52枚)
- 遊び方
- 1. カードをすべて配る
- 2. 1から順に、手札から出すカードの数字を宣言しながら場に出す(嘘をついてもよい)
- 3. 他の人は宣言が嘘だと思ったら「ダウト」と言う
- 4. 宣言通りなら指摘した人が、嘘なら出した人が場のカードをすべて引き取る
- 5. 手札が最初になくなった人の勝ち
相手の宣言が本当かどうかを見抜こうとする注意力と、駆け引きを楽しむ会話が生まれやすいゲームです。
合計10ゲームなどのアレンジ
- 人数:1人〜
- 準備するカード:1〜5の数字のカードのみを使う(慣れてきたら数字の範囲を広げる)
- 遊び方
- 1. カードを裏向きに並べる
- 2. 2枚(または3枚)めくり、合計が10になる組み合わせを探す
- 3. 合計が10になれば取り、ならなければ元に戻す
- 4. すべてのカードがなくなるまで、または一定時間で終了する
記憶力に加えて計算力も同時に使うゲームです。使う数字の範囲を狭めると、計算が苦手な方でも無理なく取り組めます。
トランプで認知症予防をするときのポイント

トランプを認知症予防に役立てるには、無理なく続けられる工夫が大切です。
難しすぎないルールから始める
最初から複雑なルールに挑戦する必要はありません。
神経衰弱ならカードの枚数を減らす、合計10ゲームなら使う数字を絞るなど簡単なところから始め、「できた」という達成感を積み重ねることが長く続けるコツです。慣れてきたら、少しずつカードの枚数やルールを増やしていくとよいでしょう。
家族や仲間と一緒に楽しむ
一人で取り組むより、家族や仲間と一緒に遊ぶほうが、交流の機会も生まれやすくなります。
勝ち負けにこだわりすぎず、会話をしながら楽しむことを優先すると、場の雰囲気も和やかになるはずです。孫や親戚など、世代を超えて一緒に遊ぶのもよい機会になるでしょう。
無理なく続けられる頻度で楽しむ
毎日でなければ意味がないわけではありません。
週に数回など、本人が無理なく続けられる頻度で楽しむことを優先しましょう。食後や午後のひとときなど生活の中で取り入れやすいタイミングを決めておくと、習慣にしやすくなります。
家族がトランプを勧めるときの注意点

家族がトランプを勧めるときは、本人の気持ちを尊重する関わり方が大切です。
勝ち負けや間違いを責めない
カードの出し方を間違えたり、ルールを忘れてしまったりしても、指摘しすぎないようにしましょう。
「さっきも同じこと言ったよね」「なんで忘れちゃうの」といった言葉は、本人の自尊心を傷つけてしまうことがあります。正解や勝敗よりも、取り組んでいること自体を大切にする関わり方が望ましいです。
本人のペースを尊重する
気が向かないときに無理にやらせる必要はありません。
「今日はやりたくない」という日があっても、それを責めずに見守ることが大切です。楽しめる範囲、楽しめるタイミングで取り組んでもらうことを優先しましょう。
一緒に楽しむ姿勢を大切にする
「やらせる」のではなく「一緒に遊ぶ」という姿勢で関わることが、続けやすさにつながります。
家族も一緒に楽しむことで、本人にとっても心地よい時間になりやすくなるでしょう。認知症予防を意識しすぎず、まずは一緒に過ごす時間として捉えることが、長く続けるコツです。
トランプ以外にも取り入れたい認知症予防

トランプに加えて、運動・食事・睡眠といった生活習慣を整えることも、認知症予防では大切なポイントです。WHOのガイドラインでも推奨レベルが高いとされています。
- 身体を動かす運動は気軽に始められるものから取り入れる
- 栄養バランスのよい食事を心がける
- 高血圧や糖尿病などを管理する
今からできる認知症予防については、以下の記事でも詳しく解説しているため参考にしてみてください。
トランプと認知症予防に関するよくある質問
トランプと認知症予防についてのよくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q1 一人でもできるトランプゲームはありますか?
ソリティア(ペイシェンス)など、一人で取り組めるゲームもあります。相手がいなくても記憶力や思考力を使う活動になり、自分のペースで取り組めるという利点があります。
Q2 トランプを毎日やったほうがいいですか?
トランプを毎日行う必要があるとは言えません。
トランプそのものについて、認知症予防に効果的な頻度が確立されているわけではないため、本人が無理なく楽しめる頻度で続けることを大切にしましょう。
Q3 認知症になってからでもトランプは楽しめますか?
症状の進み具合に合わせて、ルールを簡単にしたゲームを選べば楽しめる場合があります。勝ち負けよりも、本人が心地よく過ごせることを優先して取り組むとよいでしょう。
Q4 スマホアプリのトランプでも効果はありますか?
考えながら操作すれば、脳を使う活動のひとつにはなるでしょう。
ただし、対面で遊ぶ場合に比べると、人との交流が生まれにくい面があります。アプリと、家族と対面で遊ぶ機会を組み合わせるとよいかもしれません。
トランプを楽しみながら認知症予防を続けよう
トランプは、記憶力や計算力、指先の動き、そして人との交流を同時に使える身近な知的活動です。
「絶対に効く」「効果がある」と保証されたものではありませんが、親と過ごす時間を楽しみながら、無理のない形で取り入れられる選択肢のひとつと言えるでしょう。
まずは神経衰弱や七並べなど、簡単なゲームから一緒に始めてみてはいかがでしょうか。トランプで一緒に過ごす時間が増えたら、その様子や認知機能の変化を、ベルコメンバーズアプリであわせて見守っていくのもおすすめです。
【参考文献】
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター:日常的な活動と認知症予防
政府広報オンライン:脳を活性化して認知症を予防、改善する「学習療法」
令和元年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業「海外認知症予防ガイドラインの整理に関する調査研究事業」WHO ガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会:認知機能低下および認知症のリスク低減WHOガイドライン


