認知症予防におすすめの体操5選|自宅でできる簡単な運動も紹介
「認知症予防には、運動した方がいいとは思っているけど、何から始めればいいかわからない」「体が弱くなってきた親に、無理なくできる体操を教えたい」
そんな方に向けて、認知症予防におすすめの体操を紹介します。長寿科学振興財団の研究では、運動習慣がある高齢者は運動しなかった高齢者と比べて、認知症になる危険度が減少したというデータがあります。
激しい運動でなくても、軽い体操で認知機能の向上が確認されたという研究もあるため、無理なく続けることが大切です。
この記事では、ウォーキングから椅子に座ったままできる体操まで幅広いレベルに対応した体操と続け方のコツを解説します。今日から始められるものが見つかるはずです。
目次
認知症予防に体操がおすすめな理由

体操や運動が、認知症予防に役立つとされる理由を解説します。
運動は認知機能の維持に役立つと考えられている
運動習慣と認知症予防の関連は、複数の研究で報告されています。
認知機能障害のない1,740名の高齢者を平均6.2年間追跡した調査では、週3回以上の運動習慣を持っていた人は、3回未満の人に比べて認知症リスクが約38%低かったとされています。
また、ウォーキング・サイクリング・水泳・ゴルフなど複数の運動を組み合わせて行うほうが、予防効果が高いことも明らかになっているのが事実です。
体を動かすことが、脳の健康にも影響を与える可能性があるという認識は、現在の認知症予防の取り組みの根拠と言えます。
無理なく続けられる体操を選ぶことが大切である
軽い体操でも、継続することで認知機能への効果が期待できるとされています。
研究では、10分間の軽運動でも実行機能の成績が向上することや、音楽体操が視空間認知の改善につながることが報告されています。
ウォーキングや筋トレのような本格的な運動でなくても、椅子に座ったままできる指回し体操やリズムに合わせた手の体操なども、脳への刺激として期待できるでしょう。「続けられること」を優先にして、自分に合った体操を選ぶことが重要です。
運動と脳トレを組み合わせるとさらに効果が期待できる
体を動かしながら頭も同時に使う「二重課題(デュアルタスク)」の取り組みは、認知症予防において効果が期待できるとされています。
運動だけ、脳トレだけよりも、両方を同時に組み合わせることで脳の複数の部位を刺激できる点が特徴です。
日常生活の中でも、料理をしながら献立を考える、散歩しながら会話するなど、二重課題は身近な場面に多く存在します。
認知症予防におすすめの体操5選
自宅でも続けやすい体操を、難易度が低いものから順に紹介します。
ウォーキング
- <やり方>
- 歩幅を少し広げて歩く
- 腕を大きく振る
- 少し息が弾む速さで10~30分歩く
週3〜5回のウォーキングは、認知症予防の基本の運動です。
英国バイオバンクの大規模研究(78,430人・約6.9年追跡)では、1日9,800歩程度の歩行で認知症リスクが最大51%低下しました。1日3,800歩でも25%低下しており、少し歩くだけでも効果が期待できます。
まずは、3,000〜4,000歩程度から始め、慣れてきたら9,000〜10,000歩を目標にすると続けやすいでしょう。
外出が難しい日は室内での踏み台昇降に替えることもでき、段差があれば足踏みと同様の有酸素運動効果が期待できます。
ラジオ体操
- <やり方>
- 腕や脚を大きく動かす
- 呼吸を止めずにリズムよく行う
- 無理のない範囲で最後まで続ける
ラジオ体操は、全身をバランスよく動かせる代表的な体操です。
約3分間で行うため、有酸素運動・筋力運動・ストレッチの要素を効率よく取り入れられます。実際に、帝京大学の研究では、ラジオ体操を継続することで認知症のリスクが18%低下したことが報告されています。
体力に自信がない方でも、自分のペースで取り組みやすいことが特徴です。まずは週3回程度を目標に始め、慣れてきたら毎日の習慣として続けるとよいでしょう。
指回し体操
- <やり方>
- 指先だけを合わせてドーム状にする
- 親指から順番に前後へ10回ずつ回す
- 小指まで繰り返す
指回し体操は、椅子に座ったままでも取り組める手指の体操です。手や指を意識して動かすことで脳へ刺激を与え、認知機能の維持につながることが期待されています。手遊びレクリエーションとしてデイサービスでも取り入れられています。
両手の指先を合わせてドーム状に構え、親指から小指まで順番に前後へ10回ずつ回しましょう。
コグニサイズ
- <やり方>
- 足踏みを始める
- 3の倍数で手をたたく
- 3〜5分続ける
体と脳を同時に使うコグニサイズは、国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防プログラムです。例えば、「足踏みしながら3の倍数で手をたたく」「歩きながらしりとり」「足踏みしながら昨日の食事を思い出す」など組み合わせましょう。
複合的な運動プログラムを40週間継続したグループで認知機能の改善が認められており、運動だけ・脳トレだけよりも効果が現れる可能性があります。
ベルコのまいにち体操
- <やり方>
- 椅子に浅く座って背筋を伸ばす
- 動画に合わせて腕・脚・体幹を大きく動かす
- 声を出したり数を数えたりしながら5〜10分程度行う
ベルコが高齢者向けに紹介している「まいにち体操」は、自宅で短時間から取り組める認知症予防の体操です。頭と体を同時に使う動きを取り入れており、毎日の運動習慣をつくりたい方の入り口として活用できます。
椅子に座ったままできる運動もあり、体力に合わせて毎日5〜10分程度から始められます。詳しい内容は、以下の記事にて動画つきで紹介しているため、ぜひ確認してみてください。
認知症予防で簡単に体操を続けるコツ

体操の効果を引き出すために大切なのは、続けることです。
家族や友人と一緒に散歩や体操をする
家族や友人と一緒に取り組むことで、継続しやすくなります。
「今日も一緒に歩こう」という声かけが、外出のきっかけになったり、会話が増えることで社会的な交流にもつながったりするでしょう。お互いの体調を気にかけながら続けることで、介護する側の健康維持にも役立ちます。
楽しみながら取り組める工夫をする
好きな音楽をかけながら体操をしたり、ベルコのまいにち体操のようにゲーム感覚で取り組んだりすることで、継続しやすくなります。
「しりとりで負けたら体操を追加する」「曲が終わるまで歩く」など、自分なりのルールをつくってみることも効果的です。孫や友人と一緒に取り組むと、笑いが生まれて続けやすくなるでしょう。
本人の意思を尊重し無理に勧めない
体操を家族に勧める場合、本人が「やってみよう」と感じることが大切です。
「認知症予防のためにやってほしい」と伝えると、本人が気分を害したり、やる気をなくしてしまったりする恐れがあります。
「一緒に散歩しない?」「この体操、テレビでやってたんだけど一緒にやってみようよ!」など、自然に誘う方法を試してみてください。疲れた日は休んでも問題ありません。短時間から始め、続けることを優先にしましょう。
体操だけでは認知症は予防できない

体操は認知症予防の重要な要素ですが、生活習慣を整えることがより効果的とされています。
食事にも気を配る
魚に含まれるDHA・EPAや野菜・果物の抗酸化成分は、認知機能との関連が報告されています。色々な食品を摂取することで認知機能低下のリスクが44%減少するという研究データもあります。
特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜をバランスよくそろえることが基本です。「1日1回は青魚を摂る」「毎食に野菜を1品加える」といった小さな積み重ねが習慣化につながります。食事だけに頼らず、体操や睡眠などと組み合わせることが大切です。
質のよい睡眠を心がける
十分な睡眠は、認知機能を維持するうえで欠かせない要素です。
睡眠時間が5時間未満または8時間以上の人は、6〜7時間の人と比べて認知症を発症する割合が高くなる傾向があります。また、睡眠時無呼吸症候群(寝ているときに大きないびきをかく・呼吸が止まるなどの症状)のある人は、ない人と比べて認知症リスクが約2.4倍になるとも報告されています。
いびきや日中の強い眠気が気になる場合は早めに医療機関へ相談しましょう。就寝前のスマートフォンを控えたり、起床後に日光を浴びたりすることも、睡眠の質を整えるうえで効果的とされています。
過度な飲酒を控える
飲酒量と認知症の関係は、多くの研究で報告されています。週に276g以上(500ml缶・約10本)のアルコールを摂取すると認知症を発症する危険が高くなるとされています。
飲酒習慣がある方は「週に何本まで」というルールを決め、休肝日を設けるなどの工夫をしてみましょう。飲酒以外にも、生活習慣を見直すことが認知症予防につながります。具体的な方法は以下の記事で詳しく解説しています。
認知症予防の体操に関するよくある質問
認知症予防の体操について、よく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q1 毎日体操をした方がいいですか?
毎日続けることが理想ですが、週3回以上を目安にすることで認知症リスクの低減が報告されています。
疲れた日は軽い散歩や椅子での指回し体操など、短時間の軽い活動に切り替えることで続けられるようになります。
Q2 認知症予防に脳トレーニングは効果がありますか?
脳トレーニング単独よりも、運動と組み合わせることで効果が期待できるとされています。
ベルコのまいにち体操のように体を動かしながら頭を使う取り組みが、認知機能の維持に役立つ可能性があります。
Q3 椅子に座ったままでも効果はありますか?
あります。
座位での指回し体操や、座ったままの足踏み・軽いストレッチなど、座位でできる体操でも脳への刺激になります。体力に自信がない方や、立って行うのが難しい方の取り組みやすい選択肢です。
Q4「もしもしかめよ」の体操は効果がありますか?
「もしもしかめよ」に合わせてグー・チョキ・パーを使う手の体操は、リズムに乗りながら手指を動かすため、脳への刺激になるとされています。
三重大学とヤマハ音楽振興会による共同研究では、65歳以上の健常高齢者を対象に1年間のプログラムを実施した結果、音楽と運動を組み合わせた体操群は、音楽なしの体操群と比べて視空間認知や全般性知能など複数の項目で効果が高いことが確認されています。なじみのある曲に合わせることで楽しく続けやすい点も利点です。
認知症予防は毎日の体操から始めよう
ウォーキングや指回し体操、ベルコのまいにち体操など、自宅でできる体操が認知症予防の第一歩になります。完璧にこなすことよりも、少しずつ続けることが大切です。今日から10分の散歩を始めるだけでも、十分な一歩になります。
日々の認知機能の変化を確認するには、定期的なセルフチェックも役立ちます。ベルコメンバーズアプリでは、15問の簡単なテストで認知機能を手軽に確認でき、過去10回分の結果をグラフで振り返ることもできます。体操の習慣と合わせてぜひ活用してみてください。
【参考文献】
公益財団法人長寿科学振興財団:第4章 認知症の予防 4.運動の視点から
公益財団法人日本理学療法士協会:「運動」が「認知症予防」に効果的なこと
帝京大学:ラジオ体操で認知症リスクが18%低下
厚生労働省:あたまとからだを元気にするMCIハンドブック


