認知症と睡眠の関係とは?家族が気をつけたい変化や受診の目安も解説

認知症と睡眠の関係とは?家族が気をつけたい変化や受診の目安も解説

「親が夜中に何度も起きるようになった」「一日中寝てばかりいる」
こうした変化を、年のせいと思っていませんか?

実は、睡眠のリズムが崩れる背景には、脳の小さなサインが隠れていることがあります。ここでは、認知症と睡眠の関係性や家族が気をつけたい睡眠の変化、受診の目安と日常生活でできる対応についてわかりやすく解説します。

認知症と睡眠はなぜ関係しているのか?

認知症と睡眠はなぜ関係しているのか?

認知症と睡眠は、一見関係がないように思われがちです。しかし、睡眠の状態や変化は、脳の働きに起きている変化を読み取る手がかりになることがわかっています。

睡眠は脳の健康状態を映すバロメーター

睡眠は、脳の健康状態を映す指標の1つです。多くの研究では、睡眠時間が短すぎるだけでなく長すぎることも、認知症やアルツハイマー病の発症リスクと関連する可能性が報告されています*1。

睡眠の状態や変化は、脳の働きに起きている変化を間接的に示す目安です。認知症を考えるうえで、重要なバロメーターといえるでしょう。

睡眠不足だけでなく眠り方の変化が重要

認知症と睡眠の関係を考えるうえで重要なのは、睡眠時間の長さだけではありません。今まで問題なく眠れていたのに、家族から見て次のような変化が起こった場合は、注意が必要です。

  • 夜中に目が覚める回数が増える/li>
  • 昼間に強い眠気が出る/li>
  • 寝付くまでに時間がかかるようになる

加齢による一時的な変化も考えられますが、脳の働きに生じた変化を反映している可能性もあります。睡眠の長さだけでなく、これまでとの違いに目を向けることが認知症の早期発見のきっかけになります

認知症のサイン?家族が気をつけたい睡眠の変化

認知症のサイン?家族が気をつけたい睡眠の変化

認知症の初期には、睡眠の様子に今までとは違う変化が現れることがあります。

1.夜中に何度も目が覚める・昼夜逆転が起こる

睡眠リズムの乱れは、アルツハイマー病でよくみられる変化の1つです。具体的には、次のような状態が挙げられます。

  • 睡眠が細切れになる/li>
  • 朝早くに目が覚める/li>
  • 夕方から夜にかけて活動的になる

アルツハイマー病では、睡眠と覚醒のリズムを調整する体内時計の働きが障害されやすくなります*2。結果的に、夜間の中途覚醒や昼夜逆転が起こりやすくなると考えられています。

以前は規則正しく眠れていたのに、こうした変化が続けてみられる場合は、脳の病的変化が関係している可能性もあります。

2.昼間に強い眠気がある・寝てばかりいる

日中に強い眠気があり、活動時間が減って寝て過ごすことが増えている場合も、気をつけたい睡眠の変化です。研究では、日中の過度な睡眠や居眠りは、軽度から中等度のアルツハイマー病患者の25〜40%にみられると報告されました*3。

アルツハイマー病では、覚醒を保つ役割をもつ脳の神経の働きが低下しやすく、日中の眠気や意欲低下として現れることがあります。以前と比べて明らかに変化している場合は、認知機能の低下に先立って現れるサインである可能性もあると考えられます。

寝てばかりいる場合の原因について、詳しく知りたい方は「高齢の親が寝てばかりいるのは認知症の初期症状が原因?家族ができる対処法3選」も参考にご覧ください。

3.就寝中に大声を出す・暴れる(レム睡眠行動障害)

夢の内容を体で表すような行動がみられる場合、レム睡眠行動障害(RBD)の可能性が考えられます。RBDは、本来レム睡眠中に働くはずの体の動きを抑える仕組みがうまく機能しないことがあります。

たとえば、次のような行動です。

  • 大声で叫ぶ、うめき声をあげる/li>
  • 手足を振り回す、蹴る/li>
  • 夢の内容に合わせて動く

RBDはレビー小体型認知症やパーキンソン病と関連が深く、一部のケースでは、認知症の症状が現れる数年前からみられることがあると報告されています*4。本人は自覚しにくく、家族が気づきやすい重要なサインの1つです。

受診を検討したい睡眠の変化と日常生活でできる対応

受診を検討したい睡眠の変化と日常生活でできる対応

睡眠の変化に気づいた段階で、受診の目安と日常生活でできる対応を知っておくことは、認知症の早期発見のきっかけになります。

受診を検討すべき睡眠の変化

睡眠の変化がみられた場合、いくつか注意したいサインがあります。夜間覚醒や昼夜逆転、日中の強い眠気、就寝中の異常な行動などが以前より明らかに増え、日常生活に影響が出ている場合は、医療機関の受診を検討してください。

また、環境の変化や一時的な体調不良が原因と考えられる場合でも、改善がみられないときや不安が続くときは、早めに医師へ相談しましょう。受診の際は、いつごろからどのような変化があるのかをメモしておくとスムーズです。

日常生活でできる対応

睡眠の乱れが気になる場合は、まず日常生活の環境を整えることが大切です。次のように、無理なくできる工夫を取り入れてみましょう。

  • 朝の光を浴びる:起床後にカーテンを開け、体内時計を整える/li>
  • 昼間の活動量を保つ:散歩や家事など、できる範囲で体を動かす/li>
  • 夜間の環境を整える:照明を暗めにし、テレビやスマートフォンを控える

運動習慣がない場合は、ウォーキングが認知症予防に役立つためおすすめです。詳しくは「認知症予防にウォーキング?歩き方のポイントと続けるためのコツ」をご覧ください。

睡眠の変化に気づき、認知症の早期発見につなげましょう

睡眠の変化は加齢によるものだけでなく、認知症の早期サインとして現れることがあります。重要なのは睡眠時間の長さだけでなく、これまでとの違いに気づくことです。

また、同時に以前よりもの忘れが増えていないかを確認することが大切です。ベルコメンバーズアプリでは、手軽に認知機能をチェックできます。家族の小さな変化を見逃さず、早めの気づきにつなげましょう。

【参考文献】

*1 Spira, A. P., et al. (2024). Sleep duration and subsequent risk of dementia: a systematic review. Sleep Medicine Reviews.

*2 Musiek, E. S., Xiong, D. D., & Holtzman, D. M. (2015). Sleep, circadian rhythms, and the pathogenesis of Alzheimer disease. Experimental & Molecular Medicine.

*3 Ju, Y. E. S., Lucey, B. P., & Holtzman, D. M. (2014). Sleep and Alzheimer disease pathology—a bidirectional relationship. Nature Reviews Neurology, 10(2), 115–119.

*4 Postuma, R. B., et al. (2019). Prodromal Parkinson disease: The decade past, the decade to come.Movement Disorders.

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