認知症予防に水分補給は効果があるの?不足しやすい原因や目安、飲み方の工夫を解説

認知症予防に水分補給は効果があるの?不足しやすい原因や目安、飲み方の工夫を解説
高齢の家族があまり水分をとっていないと「認知症予防のために水分補給を意識したほうがよいのだろうか」と感じる方は多いのではないでしょうか。

高齢者は加齢の影響で体内の水分量が少なくなりやすく、のどの渇きにも気付きにくくなるとされています。また、水分不足の状態が続くと、さまざまな不調につながる場合があるため、水分を日常的に補う意識が大切です。

本記事では、認知症予防と水分補給の関係、高齢者が水分不足になりやすい主な原因、水分量の目安、飲み方の工夫や注意点を解説します。

水分の摂り方を見直すことで、体調管理の一環として認知症予防にも取り組みやすくなるでしょう。

認知症予防で水分補給は効果があるの?

認知症予防で水分補給は効果があるの?

水分補給だけで認知症を防げるとは断定できませんが、体に必要な水分が不足すると、注意力や判断力が落ちたり、ぼんやりしたりする場合があります。

とくに高齢者は加齢の影響で体内の水分量が少なくなりやすく、少し不足しただけでも体調に変化が出やすいため、水分補給を意識的にする必要があります。

また、水分は体温調節や栄養の運搬、老廃物の排出にも欠かせません。

脳を含む全身の働きを保つうえでも水分は重要なため、認知症予防を意識する際は生活習慣の改善の一環として、水分補給にも目を向けたいところです。

高齢者が水分不足になりやすい主な原因

高齢者が水分不足になりやすい背景には、加齢による体の変化や生活習慣の影響があります。

水分が不足しやすくなる主な原因を見ていきましょう。

のどの渇きを感じにくくなるため

高齢者は加齢の影響で、のどの渇きに気付きにくくなる傾向にあります。汗をかいた日や室温が高い日でも、自分から「飲みたい」と感じにくいため、水分不足になりがちです。

さらに、認知機能が低下している方は、水分が必要な状態を自覚しにくく、コップを手にとること自体を忘れてしまう場面もあります。

一見元気そうに見えて、実際には水分が足りていないケースも考えられるため、1日にどれくらいの水を飲んでいるかを把握することが大切です。

筋肉量が低下しやすいため

高齢者は加齢に伴って筋肉量が減りやすく、体内に保てる水分量も少なくなりやすいとされています。

体に蓄えられる水分量が少なくなると、少し汗をかいたときや水分補給がおろそかになっただけでも、水分不足の状態に陥りやすいです。

のどの渇きを感じにくいだけでなく、体に保持できる水分量が少なくなる点も、高齢者が水分不足になりやすい要因の1つと考えられます。

なお、筋肉量の維持を目指すうえで取り入れやすい運動は下記の記事で説明しているのでご活用ください。

腎機能が低下しやすいため

高齢者が水分不足になりやすい理由の1つに腎機能の低下が考えられます。

腎臓には適度な水分を体に残しながら、余分な水分や老廃物を尿として出す役割があり、腎機能が低下すると体の中の水分や塩分のバランスを整える働きが弱まる可能性があります。

また、心臓や腎臓に持病がある方では、水分を摂りすぎるとかえって体に負担をかけるケースもあるため医師に相談しながら判断しましょう。

水分補給が不足しているときに考えられるリスク

水分補給が不足しているときに考えられるリスク

水分が足りない状態では体の不調だけでなく、日常生活に影響する変化が出る場合があります。

不足したときに起こりやすいリスクについて確認していきましょう。

脱水や便秘になりやすくなる

水分が足りない状態では、脱水を起こしやすくなり、体温調節や全身の状態に影響が出やすくなります。また、腸の動きには水分がかかわっているとされ、水分不足が続くと便が硬くなり、便秘につながるおそれがあります。

加えて、尿の量が減ると、尿路感染症のリスクが高まる場合もあります。排便回数の変化や尿の色、口の乾きなどをあわせて見ておくと、水分不足のサインに気付きやすくなるでしょう。

ふらつきや転倒のリスクが高まる

水分不足では血圧が下がりやすくなり、立ちくらみやだるさが出るケースがあります。歩行時の安定感が落ちるとふらつきや転倒のリスクが高まるため、安全面のリスクも無視できません

高齢者は軽い脱水でも体調が崩れやすく、少しの段差や立ち上がる動作でもバランスを崩すおそれがあります。転倒は骨折や入院にもつながりやすいため、日頃の水分補給を軽く見ないことが大切です。

ぼんやりしやすくなる

水分が不足すると、以下の変化が見られることもあるとされています。

  • 意識がはっきりしない
  • 会話への反応が鈍い
  • 集中しにくい
認知機能の低下が気になる方では、こうした変化が普段のもの忘れと見分けにくく、年齢のせいと受け止められやすい点にも注意が必要です。急にぼんやりした様子が目立つときは、食事や睡眠だけでなく、水分補給の状況も確認してみましょう。

混乱や幻視などの「せん妄」を引き起こすおそれがある

水分不足は、急な混乱や落ち着きのなさ、幻視(実際にはないものが見える状態)などを伴う「せん妄」の一因になる場合があります。急に時間や場所が分からなくなったり、見えないものを気にしたりする様子が出ると、家族も戸惑いやすいでしょう。

認知症の症状と区別しにくいため、もともと認知機能の低下がある方では発見が遅れやすい傾向にあります。受け答えに違和感がある、急に興奮しやすくなったと感じた際は、水分不足が原因かもしれません。
せん妄は脱水だけでなく、発熱や感染症、薬の影響などでも起こる可能性があるため、様子の変化がみられるときは早めに専門家に相談しましょう。

認知症予防に取り組む高齢者が飲む水分量の目安

認知症予防に取り組む高齢者が飲む水分量の目安

高齢者が1日に飲む水分量の目安は、以下のとおりです。

男性(65歳以上) 女性(65歳以上)
総水分量 2.5L 2.0L
飲み物の量 2.0L 1.6L

参考:「Hydration Status in Older Adults: Current Knowledge and Future Challenges」PMC

ただし、適切な水分量は体格や活動量、季節、発熱の有無、食事量などによって変わります。食欲が落ちている時期や汗をかきやすい季節は、普段より不足しやすくなるため、数字だけではなく体調の変化もあわせて確認することが大切です。

1回でまとめて飲むのではなく、食後や起床後、入浴前後などのタイミングで少しずつ水分を補うと、無理なく続けやすいでしょう。

認知症予防を意識した水分補給の工夫

認知症予防を意識した水分補給の工夫

水分補給を続けるには、量だけでなく、無理なく取り組みやすい工夫も重要です。

毎日の生活の中で実践しやすい方法を見ていきましょう。

本人が飲みやすい飲み物を選ぶ

水やお茶だけでなく、本人が飲みやすいと感じる味や温度、口当たりのものを選ぶと続けやすくなります。冷たいのが苦手な方もいれば、温かいほうが受け入れやすい方もいるでしょう。

「水で補うべき」と決めつけず、本人が続けやすい手段かどうかが重要です。好みに合うものが見つかると、水分補給への抵抗感が減りやすくなります。

手の届く場所に飲み物を置く

飲み物を手の届く場所に用意しておくとすぐに手にとることができ、水分補給を続けやすくなる場合があります。

また、認知機能の低下がある方では自分で水を用意して飲むといった行動が難しくなることがあります。よく座る場所の周囲や食卓、ベッドまわりなど、普段過ごす場所に水を置いておくと、自然と手が伸びやすくなるでしょう。

飲む時間を決めて習慣化する

水分補給を続けやすくするには、飲む時間を決めて習慣にしましょう。時間を決めずにいると飲み忘れが起こりやすくなりますが、水分補給を生活の流れに組み込むことで無理なく続けやすくなります。

たとえば、起床後や食後、入浴の前後、服薬のタイミングに合わせて飲むようにすると、水分補給を生活の一部に組み込みやすくなります。また、家族が声をかけるときも、毎回ばらばらの時間より、タイミングをそろえるほうが受け入れられやすいでしょう。

飲んだ回数を記録したり、家族同士で時間を共有したりすると、抜け漏れにも気付きやすくなるので、習慣化の参考にしてください。

ゼリーやスープも活用する

飲むだけで十分な量をとりにくいときは、ゼリーや寒天、果物、スープなど、食べ物で水分を補う方法もあります。食欲が低い日や、まとまった量を飲みにくい方には適した方法です。

汁物を1品加える、間食に果物やゼリーを取り入れるなどの取り組みでも、水分摂取の助けになります。飲み物にこだわらず、食事からも摂れると選択肢が広がるため、本人の好みや体調に合わせた水分の摂り方を考えてみましょう。

認知症予防を意識した水分補給の注意点

認知症予防を意識した水分補給の注意点

水分の摂取は大切ですが、飲み方や体の状態によっては注意したい点もあります。

認知症予防を意識して水分補給をおこなう際の注意点を確認していきましょう。

一度にたくさん飲ませない

一度に水分を多く飲ませると、苦しさが出たり、トイレの負担が増えたりして、かえって水分補給を嫌がる場合があります。少量をこまめに飲むほうが続けやすい傾向にあり、体への負担も少ないとされています。

また、持病がある方には無理やり水を飲ませようとせず、医師に相談しながら飲む量や飲み方を決めることも重要です。

むせやすい場合は飲み方や形状を工夫する

むせやすい方に水やお茶を飲ませようとすると、飲み物が気道に入りやすくなり危険です。とくに、急いで飲むとせき込みやすくなるため、上体を起こして座り、ゆっくり口に運ぶなどの配慮も欠かせません。

また、とろみをつける、ゼリー状にするなど、形状の調整によって、飲みやすくなることもあります。誤嚥(食べ物や飲み物が気管に入ること)のリスクにも注意しながら、本人が無理なく摂取できる方法を検討しましょう。

気になる変化があるときは医療機関に相談する

急な混乱や反応の低下、食欲不振、発熱などが見られるときは、水分不足だけでなく別の不調や病気がかかわっている可能性があります。

また、以下の情報を記録しておくと、相談時にスムーズに状態を伝えられます。

  • 水分摂取量
  • 尿の量
  • 食事量
  • 気になる変化の具体例

脱水時の変化は認知症の症状と似た変化がみられるケースもあるため、自己判断せず専門家への相談を検討しましょう。

認知症予防と水分補給に関するよくある質問

認知症予防と水分補給に関するよくある質問を整理しました。理解を深めたい方は、参考にしてください。

なぜ水を飲むことが認知機能の維持に関係するといわれるのか?

水分は脳を含む全身の働きを保つために欠かせないためです。高齢者は水分不足になると、認知機能の低下や認知症のリスクが高まる可能性があると考えられています。

ただし、水を飲むだけで認知症を防げるわけではなく、食事や運動をはじめとした生活習慣全体を整えることが大切とされています。

高齢者の水分不足は認知症の悪化につながることがある?

水分不足の状態が続くとぼんやりする、混乱する、落ち着きがなくなるなどの変化が起こり、認知症が進んだように見えるときがあります。

ただし、水分不足だけが認知症の症状に関連するわけではなく、感染症など別の不調がかかわるケースもあります。気になる変化が数日続くようであれば、まずはかかりつけ医に状況を伝えてみましょう。

水分補給とあわせて意識したい生活習慣は?

認知症予防を意識する際、栄養バランスのとれた食事や無理のない運動、社会との交流なども重要とされています。また、高血圧や糖尿病など認知症との関連が考えられている持病の治療も進めましょう。

本人の取り組みだけでなく、家族が普段の様子を継続して見守り、変化に早く気付けるようにすることも重要です。

認知症予防に役立つ生活習慣は、下記の記事で紹介しているので参考にご覧ください。

水分補給を意識しつつ認知機能をアプリでチェックしよう

認知症予防を意識するうえで、水分補給は毎日の生活の中で見直したい習慣の1つです。とくに高齢者は加齢の影響で水分不足になりやすく、さまざまな不調につながる場合もあるため、無理のない範囲でこまめな水分の摂取を心がけましょう。

ベルコメンバーズアプリを活用して、普段の状態を振り返る方法もあります。

チェック結果は総合評価だけでなく、各チェック項目の数値やコメントも確認でき、グラフで過去の結果の推移を把握できます。気になる変化があったときや、かかりつけ医に相談するタイミングを判断する際の参考としてお役立てください。

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