認知症になりやすい人の特徴とは?今日から意識したい3つのポイントも紹介
「自分や家族は認知症になりやすいのだろうか…」と不安を感じる方は少なくありません。
認知症の発症リスクには、生活習慣や環境などさまざまな要因が関わっています。こうした要因の一部は、日々の工夫でリスクを軽減できる可能性があることもわかっています。
この記事では、認知症になりやすい人の主な特徴、特に注意したい要因、今日から無理なく始められる予防対策をわかりやすく紹介します。
目次
認知症になりやすい人の主な特徴とは?

認知症の発症は年齢だけでなく、日頃の生活習慣や環境が大きく影響すると報告されています。
国際的な研究では、運動不足や肥満、睡眠の質の低下といった生活習慣が主な要因とされています。加えて、社会的なつながりの少なさ、難聴、糖尿病・高血圧などの慢性疾患がリスク要因として挙げられていました*1。
また、ストレスを抱えやすい性格傾向や家族歴、遺伝的要因も関連し、互いに影響し合うことが多いとされています。生活習慣や社会参加といった変えられる部分への取り組みが、予防に重要と考えられています。
【特に注意】認知症になりやすい人の3つの要因

認知症になりやすい要因の中でも、社会的孤立、運動不足、難聴は、日常生活の中で意識的に改善でき、家族もサポートしやすいことが特徴です。
1.社会的孤立
人と話す機会が少なくなると脳への刺激が減り、認知機能の低下につながりやすいと報告されています。退職後や一人暮らしの高齢者では、日常の会話量そのものが少なくなる傾向があります。
イギリスで行われた46万人規模の研究によれば、社会的に孤立している人は、認知症の発症リスクが約1.26倍高まると報告されました。また、脳の画像検査では、孤立している人ほど記憶や思考を担う脳の領域が萎縮していることがわかっています*2。
たとえば、社会的孤立のサインとして、以下が挙げられます。
- 会話の回数が明らかに減っている
- 地域活動に参加しなくなった
- 誰とも話していない日が増えている
さらに、体力の衰えが重なると外出が減り、交流の機会がさらに少なくなる点にも注意が必要です。
2.運動不足
身体を動かす習慣が少ない人は、脳の血流が低下しやすく、神経の働きにも影響が生じます。
デンマークで約11万人を最大43年間追跡した研究では、余暇にほとんど運動しない人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが約1.6倍高いことが示されました*3。
年齢とともに外出機会が減ったり、歩く距離が短くなったりすることなどは、誰にでも起こりうる変化です。運動不足が疑われるサインとしては、以下が挙げられます。
- 外出の回数が減った
- 立ち座りや歩行動作が億劫になっている
- 家の中で何もせずに過ごす時間が増える
また、運動不足は筋力低下や転倒リスクにもつながり、生活全体に影響します。
3.難聴
難聴は、国際的にも認知症の重要なリスク因子とされています。聞こえにくさがあると会話が減り、社会的孤立と結びつきやすくなるからです。
また、聞き取ろうとする努力が続くと、脳に余分な負担がかかることも指摘されています。
約72万人を対象とした世界規模の研究では、難聴のある人は認知症を発症するリスクが約1.6倍、アルツハイマー型認知症では約2倍高いことが報告されました*4。
次のような変化がある場合は、難聴のサインかもしれません。
- テレビの音量が以前より大きくなった
- 会話で聞き返しが増えた
- 呼びかけに気づきにくい
変化は徐々に進むため、本人より家族のほうが気づきやすいケースも多いといわれています。
今日から始められる3つの認知症予防対策

ここでは、今日から始められる具体的な認知症の予防対策を見ていきましょう。
1.意識して会話の回数を増やす
人と話す時間を少し意識して増やすだけでも、脳への刺激になり、認知機能の維持に役立つといわれています。たとえば、以下のような小さな工夫から始めるのがポイントです。
- スーパーのレジでお礼をいう
- 宅配や郵便配達の人に軽くあいさつする
- 家族に今日の出来事を一言だけ話す
無理なく続けられる小さな会話が、日々の刺激につながります。
人とのコミュニケーションの重要性については「認知症の予防にはコミュニケーションが効果的!4つの方法も紹介」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
2.10分間の散歩を習慣にする
外を歩くことは気分転換になるだけでなく、脳の血流を保ち認知症予防にも役立つといわれています。まずは、10分程度の短い散歩から始めると続けやすいでしょう。
悪天候の日や寒い冬のあいだは無理をせず、家の中で足踏みをしたり、廊下をゆっくり往復したりするだけでも十分です。テレビを見ながら腕を振って歩くなど、できる範囲の動きを生活に取り入れてみてください。
習慣化するコツや歩き方のポイントを詳しく知りたい方は「認知症予防にウォーキング?歩き方のポイントと続けるためのコツ」をご覧ください。
3.聞こえにくさを感じたら早めにチェックする
聞こえにくさを放置すると、周囲とのやりとりが負担になり、交流の機会が減ってしまいます。まずは、家族に音量や聞き取りの変化をさりげなく聞いてみたり、アプリなどの簡易チェックを試したりするだけでもよいでしょう。
必要に応じて耳鼻科で聴力を調べてもらえるため、自分の状態を知ることから始めてみてください。
難聴と認知症に関係について詳しく知りたい方は、「難聴と認知症の関係とは?リスクが高まる理由と今日からできる対応」をご覧ください。
認知症になりやすい人の特徴を理解し、予防対策しましょう
認知症の発症リスクには、日々の習慣や環境などが関わっています。できる範囲の小さな工夫や積み重ねが、将来の備えにつながります。
認知機能に心配がある場合は、ベルコメンバーズアプリの認知機能チェックが便利です。簡単な質問に回答することで、日々の変化を振り返る目安として活用できます。現在のご自身やご家族の様子が気になっている方は、ぜひご活用ください。
【参考文献】
*1 Livingston, G., Huntley, J., Sommerlad, A., et al. (2020). Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. The Lancet, 396(10248), 413–446.
*2 Shen, C., Rolls, E., Cheng, W., Kang, J., Dong, G., Xie, C., Zhao, X.-M., Sahakian, B., & Feng, J. (2022). Associations of social isolation and loneliness with later dementia. Neurology, 99(3), e164–e175.
*3 Rasmussen, I. J., Rasmussen, K., Thomassen, J., Nordestgaard, B. G., Schnohr, P., Tybjærg‐Hansen, A., & Frikke-Schmidt, R. (2022). Physical activity in leisure time and at work and risk of dementia: A prospective cohort study of 117,616 individuals. Atherosclerosis.
*4 Liang, Z., Li, A., Xu, Y., Qian, X., & Gao, X. (2021). Hearing Loss and Dementia: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Frontiers in Aging Neuroscience, 13, 695117.
監修者
浦上 克哉 教授
監修者
浦上 克哉 教授
日本老年精神医学会理事
日本老年学会理事
日本認知症予防学会専門医
1983年鳥取大学医学部医学科卒業
1988年同大大学院博士課程修了
1990年同大脳神経内科・助手
1996年同大脳神経内科・講師
2001年同大保険学科生体制御学講座環境保健学分野の教授(2022年まで)
2016年北翔大学客員教授(併任)
2022年鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座(寄付講座)教授に就任
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