MCIスクリーニング検査とは?検査内容や費用、受けるメリットなどを解説
「もの忘れが増えた気がするけど、検査で分かるの?」「認知症になる前にリスクを知る方法はある?」
そんな方に向けて、MCIスクリーニング検査について解説します。MCI(軽度認知機能障害)は健常な状態と認知症の中間の状態です。1年で約5~15%の人が認知症に移行するとされていますが、MCIの段階で生活習慣を見直すことで認知機能の低下を抑えられる可能性があります。
この記事では、MCIスクリーニング検査の内容と流れ、受けられる医療機関などを紹介します。自分や家族が検査を検討すべきかどうかが見えてくるでしょう。
目次
MCIスクリーニング検査とは?

MCIスクリーニング検査は、血液中の認知症に関連する物質を調べ、MCIのリスクを評価する血液検査です。
アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβ(ベータ)の蓄積に関連する、血液中の3つのタンパク質を測定します。その結果をもとに、MCIのリスクをA〜Dの4段階で判定し、Aに近いほどMCIのリスクが低く、Dに近いほどリスクが高い傾向を示します。
ただし、この検査だけでMCIや認知症を診断できるわけではありません。あくまで将来的なリスクを把握するための検査であり、結果に応じて生活習慣の見直しや医療機関への相談を検討するきっかけになります。
すでにもの忘れなどの症状があり、診断を希望する場合は、医師による問診や認知機能検査(HDS-R・MMSE・MoCA-Jなど)、画像検査などを受けることが一般的です。
MCIスクリーニング検査の必要性

MCIスクリーニング検査が注目されるのは、症状が出る前の段階でリスクに気づける点にあります。
アミロイドβは症状が現れる20年ほど前から蓄積する可能性がある
認知症の原因物質であるアミロイドβは、症状が現れる前から脳にたまり始めるとされています。
発症の20年ほど前から脳内に少しずつ蓄積し始めるため、自覚症状が出たときには、すでに脳の変化が長い時間をかけて進んでいる可能性があります。症状が出る前の段階でリスクを把握できることが、この検査の意義と言えるでしょう。
認知症は早期発見・早期対応が重要とされている
2026年時点で、認知症の進行を完全に止める治療法は確立されていません。一方で、早期段階から生活習慣改善や適切な治療につなげることで、認知機能低下への対応が期待されています。
認知機能障害の進行を緩やかにするためには、運動や認知トレーニングなどの取り組みが重要です。また、日常生活機能の維持や生活の質の向上にもつながるとされています。
だからこそ、リスクを早く知り、生活習慣の改善など予防に取り組む必要があります。
定期的に受けることで変化に早く気づける
定期的にMCIのスクリーニング検査を受けることで自分の状態の変化を把握しやすくなります。
健康診断のように継続して受けることで、リスクの推移を確認できます。生活習慣の改善に取り組んだ結果を数値で振り返る目安にもなり、予防のモチベーション維持にもつながるでしょう。
MCIスクリーニング検査を受けるまでの流れ

MCIスクリーニング検査は、採血のみで完了する負担の少ない検査です。
予約・受診する
まずは、検査を実施している医療機関に予約をします。
「MCIスクリーニング検査 〇〇市」などで検索すると、検査を実施している医療機関を見つけやすくなります。この検査は、健康診断や人間ドックのオプションとして受けられる場合もありますが、すでに認知症と診断されている場合は、検査の対象となるか医療機関へ確認しておきましょう。
採血を受ける
検査当日は、医療機関で採血を受けます。
通常の血液検査と同じように採血するだけのため、体への負担は少なくて済むでしょう。所要時間も短く、他の健診と一緒に受けられることもあります。
結果を受け取る
医師から結果の説明を受けます。結果が判明するまでの期間は医療機関や検査内容によって異なりますが、採血後2〜3週間程度かかる場合があります。
リスクが高いと判定された場合は、専門医のいる医療機関で認知機能検査などの二次検査を受けることがすすめられるでしょう。
MCIスクリーニング検査を実施している医療機関

MCIスクリーニング検査や、その後の精密検査は、いくつかの診療科で受けられます。
もの忘れ外来
MCIや認知症を詳しく調べたい場合に、まず候補となるのがもの忘れ外来です。
認知症・MCIを診療しており、認知機能検査から画像検査まで一貫して受けられます。医療機関によっては紹介状が必要な場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
脳神経内科
MCIについて幅広く調べたい場合には、脳神経内科が適しています。
症状に応じて検査・診断を受けられるほか、認知症以外の脳の病気との鑑別も可能です。脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)のほか、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、治療によって改善が期待できる病気が原因で症状が現れている場合もあります。
こうした病気を見分けられる点も、脳神経内科を受診するメリットです。
精神科・心療内科
気分の落ち込みや不安が強く、それにともなってもの忘れなどの症状が気になる場合は、精神科・心療内科への相談が向いています。
高齢期のうつ病は、もの忘れや意欲の低下などMCIと似た症状が現れることがあり、認知機能の低下がうつ病によるものかどうかを評価できます。
MCIやうつ病が疑われる場合に、専門的な評価を受けられる相談先です。
家族がMCIスクリーニング検査を勧めたほうがよいサイン

本人は変化を自覚しにくいため、家族が気づいたサインが受診のきっかけになります。ここでは、注意したい変化の例を紹介します。
同じ話を何度も繰り返すようになった
同じ質問や会話が増えたと感じたら、注意して見守るサインのひとつです。
本人は繰り返している自覚がないことが多く、指摘されると気分を害してしまうことも少なくありません。加齢によるもの忘れでは日常生活への影響が少ない一方、MCIでは記憶や判断力の低下によって生活上の困りごとが増えることがあります。
約束や予定を忘れることが増えた
約束や通院を忘れることが増えてきた場合も、受診を検討するサインです。
カレンダーやメモで補っていたのに、それでも予定を管理しきれなくなってきたときは、日常生活への影響が出始めている可能性があります。金銭管理や服薬の管理が難しくなってきた場合も同様です。
家族がおかしいと感じる変化があった
家事のミスが増えた、性格や判断力が変わったなど、家族が違和感を覚える変化があれば医療機関への相談を検討しましょう。
「なんとなく最近様子が違う」という家族の感覚は、早期発見において重要な手がかりになります。「年齢のせい」「気のせい」と決めつけず、気になる場合はかかりつけ医や専門外来に相談することが大切です。
MCIと診断されたら家族ができること

MCIと診断されても、適切な対応によって進行を防いだり遅らせたりできる可能性があります。
運動や食事など生活習慣を見直す
認知機能の維持や低下を抑えるために生活習慣の見直しは重要です。
ウォーキングやラジオ体操などの適度な運動を習慣にし、魚や野菜を取り入れたバランスのよい食事を心がけましょう。睡眠時間を十分に確保したり、過度な飲酒を控えたりすることも認知機能の維持に役立つとされています。
本人が一人で抱え込まず、家族も一緒に散歩や食事改善に取り組むと、続けやすくなるうえに本人の変化にも気づきやすくなります。
本人を責めずに見守る
忘れたことを責めず、本人の不安に寄り添う姿勢が大切です。
MCIの段階では、本人も「最近様子がおかしい」と不安を感じていることが少なくありません。そこで「なんで忘れたの」「さっきも言ったでしょう」と責めると、自信や意欲を失い、外出や人との交流を避けるようになってしまうことがあります。
「一緒にやろう」という姿勢で関わることが、本人の安心と意欲の維持につながります。
定期的に受診し経過を確認する
MCIと診断された後は、定期的に受診して経過を確認することが重要です。
MCIは、健常な状態に戻る人もいれば、認知症へ進行する人もいる不安定な段階です。そのため、医師の指示に沿って定期的に受診し、状態の変化を確認していく必要があります。
その際、「同じ話が増えた」「料理の手順を間違えるようになった」など家族が日常で気づいた変化をメモして医師へ伝えると、診察の参考になります。
必要に応じて、地域包括支援センターへの相談や介護保険サービスの利用も検討していくとよいでしょう。
MCIスクリーニング検査に関するよくある質問
ここでは、MCIスクリーニング検査に関して、よく寄せられる質問にQ&A形式で回答します。
Q1 MCIは健康診断でも分かりますか?
一般的な健康診断の項目だけでは、MCIのリスクは分かりません。
ただし、健康診断や人間ドックのオプションとしてMCIスクリーニング検査を追加できる場合があります。気になる方は、受診先の医療機関に確認してみましょう。
Q2 MCIスクリーニング検査が意味ないと言われる理由は何ですか?
MCIスクリーニング検査は「診断」ではなく、「リスクの程度」を調べるものです。この点が「意味ない」と言われる一因です。
ただし、無症状の段階でリスクを知り、生活習慣を見直すきっかけになるという点では有用とされています。
Q3 MCIスクリーニング検査は保険適用ですか?
MCIスクリーニング検査は予防目的の検査であるため、健康保険は適用されず、全額自己負担となる可能性があります。
一方、すでに症状があり、診断のために受ける認知機能検査や画像検査は、保険が適用される場合があります。
Q4 MCIスクリーニング検査の費用の目安はどのくらいですか?
医療機関によって異なりますが、2万円前後が目安です。
自由診療のため医療機関ごとに料金設定が異なります。受診前に、検査を実施している医療機関へ確認することをおすすめします。
MCIは家族が早めに気づき検査につなげることが大切
MCIスクリーニング検査は、少量の採血でMCIのリスクを調べられる検査です。本人は変化を自覚しにくいため、家族が日常の小さな変化に気づき、早めに検査へつなげることが重要です。
MCIは早期に対策すれば、認知症への進行を抑えたり、進行を遅らせたりできる可能性があります。気になる変化があれば、「年齢のせい」と決めつけず、かかりつけ医や専門外来に相談してみてください。
日々の認知機能の変化に気づくためには、定期的なセルフチェックも役立ちます。ベルコメンバーズアプリでは、簡単なテストで認知機能を手軽に確認でき、過去の結果を振り返ることもできます。検査の検討と合わせて、ぜひ活用してみてください。


