認知症の見当識障害とは?もの忘れとの違いや接し方のポイントを解説

認知症の見当識障害とは?もの忘れとの違いや接し方のポイントを解説

親や配偶者が日付を間違える、慣れた場所で迷うなどの変化に気づくと「もしかして認知症ではないか?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。見当識障害は、時間・場所・人の認識がわかりにくくなる症状です。

ここでは、認知症との関係や加齢によるもの忘れとの違い、接し方のポイントをわかりやすく解説します。

認知症の見当識障害とは?時間・場所・人がわかりにくくなる症状

認知症の見当識障害とは?時間・場所・人がわかりにくくなる症状

見当識障害とは、今の時間や場所、人との関係がわかりにくくなる症状です。見当識障害は認知症そのものを指す言葉ではなく、認知症でみられる症状の1つです。

見当識とは、現在の年月や時刻、自分がいる場所、周囲の人との関係などを把握する力を指します。認知症では、記憶障害や判断力の低下などとともに、見当識障害が初期からみられることがあります。

1.時間の見当識

時間の見当識とは、日付や時間帯、季節などを把握する力です。

時間の感覚があいまいになると、予定に合わせて準備することが難しくなる場合があります。たとえば、何度も今日の日付をたずねたり、季節に合わない服を選んだりすることもあります。

2.場所の見当識

場所の見当識とは、今いる場所や目的地、帰り道などを把握する力です。

場所がわかりにくくなると、慣れた道で迷うことがあります。症状が進むと、自宅の中でトイレの場所がわからなくなる場合もあるとされています。

3.人の見当識

人の見当識とは、相手が誰なのか、自分とどのような関係なのかを理解する力です。人との関係がわかりにくくなると、家族を別の人と間違えることもあります。

人の見当識の障害は、時間や場所の障害よりあとに目立つことがあるとされています。ただし、見当識障害の現れ方や進み方には個人差があります。

認知症になると見当識障害が起こるのはなぜ?もの忘れとの違い

認知症になると見当識障害が起こるのはなぜ?もの忘れとの違い

認知症では記憶だけでなく、状況を理解する力や判断する力にも影響が出ることがあります。見当識障害は、記憶障害と並んで早くから現れやすい障害とされています。

日付や時間、場所などは、記憶や周囲の情報をもとに把握しています。そのため、認知症によって脳の働きが低下すると、今がいつなのか、どこにいるのかを理解しにくくなることがあります。

以下に、加齢によるもの忘れと、認知症でみられる見当識障害の違いをまとめました。

項目 加齢によるもの忘れ 認知症でみられる見当識障害
特徴 体験の一部を忘れても、日付や場所の感覚は保たれやすい 今の時間や場所など、自分が置かれている状況がわかりにくくなる
具体例 買い物に来た目的を一時的に忘れるが、店にいることは理解している 慣れている店や近所で、帰り道がわかりにくくなる

たとえば、約束したことを忘れるだけでなく、約束の時間や場所を理解しにくくなる場合は、見当識障害が関係している可能性があります。

ただし、症状の原因を家族だけで判断することは難しいものです。気になる変化が続くときは、かかりつけ医に相談しましょう。

かかりつけ医がいない場合や、受診先に迷う場合は「認知症は何科の病院を受診する?診療科と状況別の選び方を解説」も参考にご覧ください。

見当識障害がある家族に接するときのポイント

見当識障害がある家族に接するときのポイント
見当識障害があると本人も状況がわからず、不安を感じていることがあります。日付や場所を間違えるのは、性格や努力不足によるものではありません。

責めずに安心できる声かけをする

間違いを強く否定したり、何度も訂正したりすると、本人が混乱する場合があります。たとえば、次のように声をかけるとよいでしょう。

  • 大丈夫ですよ
  • 一緒に確認しましょう
  • 今はお昼ごはんの時間ですよ

本人が「忘れていない」と強く否定する場合も、不安から自分を守ろうとしている可能性があります。まずは気持ちを受け止め、必要な部分をさりげなくサポートしましょう。

短く具体的に伝える

見当識障害があると、一度に多くの情報を理解しにくいことがあります。声をかけるときは、短く具体的に伝えるとよいでしょう。

  • 「暖かい格好をして」ではなく「セーターを着ましょう」と伝える
  • 「出かける準備をして」ではなく「まずコートを着ましょう」と伝える

また、急がせず、本人のペースを尊重することも大切です。接し方の具体例を知りたい方は「認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例」も参考にご覧ください。

認知症の見当識障害を理解し、家族の変化に気づきましょう

見当識障害は、今がいつか、ここがどこか、相手が誰かといった認識があいまいになる症状です。認知症では記憶障害とともにみられることがあり、生活の困りごとにつながる場合があります。

本人を責めず、安心できる声かけや具体的なサポートを心がけましょう。認知症全体の症状や、もの忘れとの違いを知りたい方は「認知症の基礎知識|初期症状・種類・予防・もの忘れとの違いを解説」も参考にしてみてください。

【参考文献】

厚生労働省:認知症を理解する

日本神経学会:認知症疾患診療ガイドライン2017.第1章 認知症全般:疫学,定義,用語

公益財団法人長寿科学振興財団:認知症の中核症状

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