一人暮らしは認知症になりやすい?理由と今日から始められる予防法5選
「一人暮らしだと、認知症になりやすいって本当?」「離れて暮らす親が心配だけど、何かできることはある?」
内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしの割合は男性15.0%・女性22.1%(2020年時点)にのぼり、今後さらに増加が見込まれている現状です。一人暮らしでは生活リズムが乱れたり、家族が本人の変化に気づきにくかったりするなど、認知症の発症や早期発見を妨げる要因が重なりやすいと考えられています。
この記事では、一人暮らしで認知症になりやすい理由と、今日から実践できる5つの予防法を解説します。一人でも続けやすい予防法と、離れて暮らす家族が今日からできるサポート方法が分かるようになるでしょう。
目次
一人暮らしは認知症になりやすいといわれる理由

生活環境によっては認知症のリスクを高めることが重なりやすいため、普段の生活習慣を見直すことが大切です。以下のような生活を送っていませんか。
- 外出するのは買い物くらいになっている
- 誰とも話さない日がある
- 食事はコンビニや冷凍食品だけで済ませることが増えた
- 趣味や外出の機会が減った
- 昼夜逆転ぎみで生活リズムが乱れている
- 「最近面倒だから」と運動をしなくなった
3つ以上に該当する場合は、生活習慣を考えるきっかけになるかもしれません。一人暮らしで認知症リスクが高まりやすい背景には、いくつかの共通した課題があります。
生活習慣が乱れやすい
食事・運動・睡眠のすべてを自分で管理しなければならないことが、生活習慣の乱れにつながりやすくなります。
たとえば、誰かと食卓を囲む機会がないと「今日は冷凍食品だけでいいか」「コンビニで簡単に済ませよう」と食事が偏り、外出するきっかけも少なくなりがちです。
生活リズムが乱れると睡眠の質も低下しやすく、こうした悪循環が認知機能の低下につながる可能性があるとされています。
家族が異変に気づきにくい
早期発見が遅れやすいことも、一人暮らしの認知症リスクを高める要因のひとつです。
毎日顔を合わせる家族がいない環境では、「最近、同じ話を何度もするようになった」「冷蔵庫に同じ食材が何個も入っている」といった変化に気づかないまま、時間が経過してしまうことも少なくありません。
認知症は早期発見・早期対応が重要とされており、異変に気づくのが遅れると、その後の対応の選択肢が狭まるリスクがあります。
日中に刺激を受ける機会が減りやすい
一人暮らしでは、日中に刺激を受ける機会が減りやすい傾向があります。
社会的孤立と認知症との関連については、研究によって結果が異なり、現時点ではエビデンスが確立されているとは言えません。一方で、同居人以外との交流が月1〜数回以下の高齢者は、毎日交流している人と比べて認知症や要介護状態になるリスクが約1.4倍になるという報告もあります。
「今日も誰とも話さなかった」という日が続くと、運動不足や生活の活気の低下など他のリスク要因と重なりやすくなる可能性があります。
今日から始められる一人暮らしの認知症予防5選

一人暮らしでも取り組める認知症予防の方法を5つ紹介します。
毎日体を動かす
週3回以上の運動習慣を持つ高齢者は、そうでない人と比べて認知症リスクが約38%低いとされています。
一人でも取り組みやすいウォーキングは特におすすめです。海外の研究(78,430人・約6.9年追跡)では、1日3,800歩でも認知症リスクが25%低下することが報告されており、無理なく始められる歩数から取り組めます。雨の日は室内での踏み台昇降や椅子に座ったままの足踏みでも代替できます。
バランスの良い食事を心がける
色々な食品を摂取することで認知機能低下のリスクが減少するというデータもあります。
一人暮らしでは食事が単調になりやすいため、「1週間のうち1回は青魚を食べる」「毎食に野菜を1品加える」など、ルールを決めておくと習慣化しやすくなります。
主食・主菜・副菜のバランスを意識することが基本です。
趣味を続ける
好きな活動を続けることは、脳への刺激と生活の張り合いをもたらします。
たとえば、読書・手芸・音楽・家庭菜園・囲碁など頭や手を使う趣味は脳への刺激になるとされています。「やらなければ」というプレッシャーではなく、楽しみながら続けられる活動を選ぶことが長続きのコツです。
良質な睡眠をとる
睡眠時間が5時間未満または8時間以上の人は、6〜7時間の人と比べて認知症を発症する割合が高くなる傾向があります。
就寝前のスマートフォンを控え、起床後に日光を浴びる習慣が睡眠リズムを整えるうえで効果的とされています。いびきや日中の強い眠気が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。
ベルコのまいにち体操を実施する
ベルコが高齢者向けに紹介している「まいにち体操」は、頭と体を同時に使う動きを取り入れた体操で、自宅で短時間から取り組めます。
椅子に座ったままできる運動も含まれており、体力に自信がない方でも始めやすい内容です。詳しい方法は以下の記事で動画つきで解説しています。
関連ページ:体操で認知症予防!頭も身体も一緒にリフレッシュ
一人暮らしでも認知症予防を続けるコツ

認知症予防を長続きさせるために、取り組み方の工夫も大切です。
完璧を目指さない
「週3回できればOK」「今日は10分だけ」という基準を設けておくことが、長続きのコツです。
「毎日やらなければ」と気負いすぎると、できない日が続いたときに続けることが嫌になってしまいます。疲れた日でも「これくらいならできる」と取り組みやすくなり、できたことに目を向ける姿勢が継続には必要です。
毎日の生活に組み込む
すでにある日常の習慣とセットにして取り組むことで、無理なく続けやすくなります。体操のために特別な時間をつくるのではなく、以下のように生活に組み込むとよいでしょう。
- 「買い物から帰るときに少し遠回りして歩く」
- 「朝のコーヒーを待つ間に指回し体操をする」
- 「テレビのCM中に足踏みをする」
すでにある行動に1つだけ追加するイメージを持つことが継続のコツになります。
自分が楽しめる方法を選ぶ
義務感で続けるより、楽しいと感じる方が長続きします。
音楽が好きな方は音楽に合わせた体操を、出歩くことが好きな方は散歩を中心に据えるなど、自分の好みや生活スタイルに合った予防法を選ぶことが大切です。
楽しめる方法を見つけることが、認知症予防に取り組み続けるためには欠かせません。
離れて暮らす家族ができる認知症予防のサポート

一人暮らしの家族の認知症予防を支えるために、離れて暮らしていてもできることがあります。
定期的に電話やビデオ通話をする
週に1〜2回、曜日と時間を決めて電話することが、会話の機会を確保する方法です。
具体的には、毎週日曜に10分電話すると決めておき、会話の中で「今日のご飯は何だった?」「どこに出かけた?」と聞くことで、体調の変化を確認できます。
「同じ話を何度も繰り返す」「話の筋が通りにくくなった」といった変化に気づけることもあります。
一緒に外出する機会をつくる
帰省や面会の際は、一緒に外へ出る予定を入れておくこともおすすめです。
「行きたいお店があるから一緒に行こう」「近くに新しい公園ができたらしいよ」など、興味を持ちやすい理由で誘うと本人が抵抗感を抱きにくくなります。
小さな変化を見逃さない
電話や帰省のときに、3つの変化を意識して確認することが認知症の早期発見につながります。
- 同じ話を繰り返すようになったか
- 冷蔵庫に同じ食材が何個も入っていないか
- 郵便物や公共料金の支払いが滞っていないか
「なんとなく変かもしれない」という感覚を大切にし、気になることがあればかかりつけ医や地域包括支援センターへ早めに相談しましょう。
見守りサービスや配食サービスを活用する
地域包括支援センターに電話したり、担当のケアマネジャーに相談したりすると、地域で使えるサービスを紹介してもらえる可能性があります。
多くの自治体では、高齢者向けの訪問配食サービスを提供しています。料金や内容は自治体によって異なりますが、食事の提供と同時に訪問による安否確認の役割も果たすため、離れて暮らす家族にとって安心できるサービスです。利用できるサービスの詳細は、お住まいの市区町村の窓口か地域包括支援センターで確認できます。
また、小型の見守りGPSや専用のシューズに内蔵できる機器、家の電気の使用状況で安否を確認するサービスなど選択肢も増えています。家族の生活スタイルに合わせて試してみてください。
一人暮らしの家族に認知症が疑われるときに知っておきたいこと

日頃から認知症予防に取り組んでいても、認知症が疑われる変化が見られることもあります。一人暮らしが難しくなるサインや利用できる介護サービス、身寄りがない場合の相談先をあらかじめ知っておくと、必要な支援につなげやすくなるでしょう。
一人暮らしの限界が近づいているサイン
以下のような変化が見られた場合は、一人暮らしを見直すタイミングかもしれません。
- お金の管理:同じ請求書を何度も払ってしまう、公共料金の支払いが滞る
- 服薬:飲み忘れや飲みすぎが続く、薬が大量に余っている
- 食事:冷蔵庫の中身が腐っている、体重が急激に減っている
- 安全面:火をつけたまま忘れることが増えた、外出先で道に迷う
気になることがあれば、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
利用できる支援・介護サービス
認知症が疑われる場合は、状態に応じて利用できる支援や介護サービスがあります。
- 受診・診断の段階:かかりつけ医に相談し、認知症専門外来(もの忘れ外来)を紹介してもらう
- 在宅で生活を続けたい場合:介護認定を受けたうえで訪問介護やデイサービスを組み合わせる
- サービスのコーディネート:ケアマネジャーが本人の状態や希望に合わせてケアプランを作成し、必要なサービスを調整する
見守りサービスや配食サービスと組み合わせることで、一人暮らしでも安心して生活を続けやすくなります。
身寄りがない場合の相談先
身寄りがない場合でも、公的なサポートを受けながら生活を続けられる仕組みがあります。
認知症や判断能力の低下により、一人で財産管理や契約手続きを行うことが難しくなった場合に活用できるのが成年後見制度です。
最高裁判所の調査によると、成年後見制度の開始原因として認知症が最も多く全体の約61.9%を占めています。「預貯金等の管理・解約」「身上保護」「介護保険契約」などが主な申し立て内容です。
また、市区町村の日常生活自立支援事業を利用して、金銭管理や福祉サービス利用の手続きを手伝ってもらうことも可能です。
一人暮らしの認知症予防に関するよくある質問
一人暮らしでの認知症予防について、多くの方から寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。気になる疑問の解消にぜひ活用してみてください。
Q1 一人暮らしでも認知症は予防できますか?
予防に取り組むことは可能です。
ウォーキングや体操、食事・睡眠の改善など一人でもできることが多くあります。家族が支えながら生活に組み込んでいく工夫が長く続けるために大切です。
Q2 一人でもできる運動はありますか?
ウォーキング・ラジオ体操・椅子に座ったままの指回し体操など、一人でも取り組める運動や体操は多くあります。
ベルコのまいにち体操は動画に合わせて行えるため、自分のペースでおこなえるでしょう。
Q3 家族はどのくらい見守ればよいですか?
週に1〜2回の電話など、定期的に連絡することが重要です。
帰省の際は、生活環境の様子や会話の変化に目を向け、気になることがあれば早めにかかりつけ医や地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。
一人暮らしでも認知症予防は今日から始められる
運動・食事・睡眠などの生活習慣を整えることが、一人暮らしの認知症予防の基本です。まずは、10分のウォーキングやベルコのまいにち体操など、取り組みやすいものから始めてみましょう。
認知症予防は、「続けること」と「変化に気づくこと」が大切です。ただし、生活習慣を見直していても、自分では認知機能の変化に気づきにくい場合も少なくありません。そのため、定期的にセルフチェックを行い、自分の状態を確認する習慣も取り入れることをおすすめします。
定期的に認知機能を確認したい方は、ベルコメンバーズアプリのセルフチェックも活用できます。日々の体操や生活習慣とあわせて継続的に確認することで、小さな変化にも気づきやすくなるでしょう。
【参考文献】
内閣府:令和8年版高齢社会白書
公益財団法人長寿科学振興財団:人との交流と健康長寿との関連
厚生労働省:あたまとからだを元気にするMCIハンドブック
厚生労働省:ご本人・家族・地域のみなさまへ 成年後見制度とは
最高裁判所事務総局家庭局:成年後見関係事件の概況―令和6年1月~12月―
厚生労働省:日常生活自立支援事業



