認知症の家族にはどう対応するべき?接し方や相談先を解説
「同じ話を何度も繰り返すようになった」「ささいなことで怒りっぽくなった」そんな家族の変化に、不安や戸惑いを感じていませんか。
認知症ではもの忘れが注目されやすいものの、実際には感情や行動の変化が先に現れ、家族関係に影響が出るケースも少なくありません。
本記事では、家族に認知症の疑いを感じたときの対応の流れや、日常生活での接し方、相談先、支える際の注意点を整理して解説します。
言動の変化の背景を理解することで、過度な不安や誤解を減らし、家族や本人にとって負担の少ない関わり方が見えてくるでしょう。
目次
家族が認知症かもしれないときはどう対応するべき?

家族が認知症かもしれないと感じたときは、言動や態度の変化だけで結論を出さず、冷静に状況を整理することが重要です。
家族の様子から認知症が疑われる場合の対応を、順を追って説明します。
まず認知症への理解を深める
認知症は、加齢によるもの忘れとは異なり、脳の機能低下によって生活に支障が生じる状態です。記憶障害だけでなく、以下の変化が現れる場合があります。
- 判断力の低下
- 感情の起伏
- 行動の変化
認知症で起こり得る症状や、通常のもの忘れとの違いを把握しておくと、うまく対応できるようになります。
また、国立長寿医療研究センターの調査では、家族との同居や地域活動への参加など他者とのコミュニケーションの機会が多い方は、認知症の発症リスクが低いことが報告されました。
家族が認知症かもしれないと感じた際は、無理のない範囲で積極的に本人とコミュニケーションをとる意識も大切です。
認知症による症状かどうかを簡単にチェックする
同じ質問や話を繰り返す、約束を忘れるなど、認知症に見られる症状が表れていないか、本人の様子がこれまでと変わりがないか確認しましょう。日時や場所が分からなくなる、金銭管理が難しくなるなどの変化が複数重なっていないかも重要です。
体調不良や強いストレスでも一時的に似た状態が見られる場合があります。短期間ではなく、一定期間継続しているかどうかを意識して観察しましょう。
認知症が疑われる場合のチェック方法は、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
医療機関に相談する
早めに医療機関へ相談すると、認知症かどうかの判断や、関連する疾患の見極めにつながります。本人が不安を感じにくいよう、体調確認やもの忘れの相談などの伝え方を工夫すると受診につなげやすいです。
診断後は医師の説明をもとに、今後の生活や支援の方向性を検討します。早期の受診は、認知症の早めのケアや対応の選択肢を広げるために重要です。
認知症と診断されたときの対策の詳細は、下記のページで解説しているので、参考にご覧ください。
認知症の家族と暮らすときの接し方

認知症の家族と暮らす場合、日常の関わり方が本人の安心感に大きく影響します。
認知症の方との接し方のポイントを整理し、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
ゆっくりと優しい口調で話す
早口や強い口調は、混乱や不安を強めがちです。目を見て、落ち着いた声で話すことで安心感を持ってもらえるようになります。
意図が伝わらない場面が続くと、語気が強くなりやすいため、意識的に話す速度や声の大きさを調整しましょう。
否定せず共感する
本人の発言や行動を否定せず、気持ちに目を向けて、まずは共感を重視してください。
間違っているから「正さないといけない」「それは違う」などと言われると、認知症の方は不安に感じ、混乱する可能性があるためです。
肯定的な表現を心がけることで、穏やかな気持ちでのコミュニケーションにつながりやすくなります。
焦らず相手のペースに合わせる
認知症の方と話すときは、相手のペースに合わせることが大切です。会話を急かすと、認知症の方が混乱したり、話を聞いてくれないと感じて怒ったりする原因になり得ます。
とくに、思うように言葉が出ないときや伝えたいことが分からないときは、焦って発言を遮ってしまいがちですが、落ち着いてまずは話を聞くことを意識してみてください。
落ち着いて関わることは、介護する側の精神的な負担を軽減する面でも効果的です。
簡潔に伝える
簡潔に情報を伝えることが、よりスムーズなコミュニケーションにつながります。認知症の方に一度に多くの情報を伝えると、理解が難しくなるためです。
短い言葉で1つずつ伝えることや、はっきりとした口調で話すことも大切です。また、「はい」「いいえ」で答えられる質問を意識すると、双方の負担を抑えられます。
スキンシップをとる
軽く手に触れる、肩に触れるなどのスキンシップは、認知症の方の安心感につながる場合があります。言葉だけでは伝わりにくい気持ちを補う方法として、スキンシップを取り入れるのも1つの選択肢です。
ただし、触れられることに抵抗を感じる方もいるため、反応を見ながら無理のない範囲で行うよう注意してください。
認知症の方との適切な接し方は、下記の記事で詳しく説明しているので、参考にご活用ください。
認知症の家族がいるときに活用できる相談先

認知症の家族がいるときは、抱えている不安や悩みを一人で抱え込まず、適切な相談先の活用が大切です。
2つの相談先のそれぞれの役割や特徴を見ていきましょう。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、介護が必要な高齢者やその家族を支援するために設置された公的な相談窓口です。認知症に関する悩みだけでなく、介護保険の申請方法や利用できるサービスの相談も可能です。
家族の生活状況や困っている場面を具体的に伝えることで、適切な助言を受けられます。必要に応じて、ケアマネジャーや医療機関、介護サービス事業者にも相談できるため、悩みを解決できるでしょう。
自治体の相談窓口
市区町村には、高齢者福祉や介護に関する相談窓口が設けられています。認知症の家族を支える制度や助成、地域の支援事業の案内を受けられる場合があります。
地域によっては、認知症初期集中支援チームや家族向け相談会を実施している場合もあるので、積極的に活用してみてください。
認知症の家族を支える際の注意点

認知症の家族を支える際は、本人への配慮だけでなく、介護する側の心身の負担にも目を向けることが大切です。
認知症の家族との生活や介護に関する注意点を把握しておきましょう。
家族だけで抱え込まない
認知症の介護は長期に及ぶことが多く、家族のみで対応を続けると心身の疲労が蓄積しやすくなります。負担を一人で背負う状況は、家庭内の人間関係にも影響を及ぼします。
支援機関や介護サービスの活用で、介護にかかる心身の負担を分散できます。家族全員が無理のない形で関わる体制づくりを意識しましょう。
適度に休息をとる
介護者自身の体調管理は、安定した介護を続けるうえで欠かせません。睡眠不足や慢性的な疲労が続くと、感情のコントロールが難しくなりやすいです。
短時間でも意識的に休息をとることで、気持ちに余裕を持ちやすくなります。必要に応じて、外部のサービスを活用する、家事やプライベートのことを完璧にしすぎないようにするなど、自身の負担を軽くする工夫を取り入れましょう。
介護サービスを積極的に活用する
訪問介護やデイサービス、福祉用具の貸与など、利用できる介護サービスは多岐にわたります。これらのサービスは、認知症の家族だけでなく、介護する側の生活を守る役割もあります。
認知症が進行し、日常生活の見守りが必要になるほど、介護サービスの重要性は高まりやすいです。状況に応じて柔軟にサービスを組み合わせて、介護者本人の負担軽減と介護の質の向上を目指しましょう。
介護サービスの詳細は、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。
認知症の家族に関するよくある質問
認知症の家族に関するよくある質問をまとめました。本人との接し方や医療機関受診の参考にしてください。
認知症の診断はどの診療科を受診すべき?
もの忘れ外来や精神科、神経内科などが主な相談先です。まずは、かかりつけ医に相談して専門医を紹介してもらう方法もあります。
受診時は、日常生活での具体的な変化をメモしておくと、診察がスムーズに進みやすいです。繰り返されるもの忘れや言動の違和感などで「家族が認知症かもしれない」と感じた場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
認知症の家族にイライラしてしまったらどうすべき?
介護の中でイライラを感じることは、決して珍しいことではありません。
感情が高ぶったときは、介護サービスの活用で一時的に距離を取って気持ちをリセットしましょう。
また、信頼できる友人や知人に気持ちを話すと、感情を整理しやすくなります。
家族の認知機能を簡単にチェックする方法はある?
まずは、以下の5つの症状がみられるかどうかをチェックしてみてください。
- もの忘れがひどくなる
- 時間や場所が分からなくなる
- 判断力や理解力が低下する
- 身の回りのことができなくなる
- 感情の起伏が激しくなる
会話の内容や生活行動の変化を記録しておくと、受診時にスムーズに説明できます。
また「ベルコメンバーズアプリ」をはじめとした、認知機能を確認できるアプリも便利です。スマートフォンで簡単に認知機能をチェックできるので、家族の状態を調べる際に役立ちます。
認知症予防に役立つアプリの詳細は、下記の記事で解説しているので、参考にしてください。
家族が認知症かも…と思ったらアプリで認知機能をチェック!
認知症が疑われる変化の中には、せん妄やうつ状態、内科的な疾患など、治療によって改善が期待できる原因が含まれる場合があります。早い段階での変化の把握が重要です。
なお、ベルコメンバーズアプリでは、スマートフォンで認知機能を簡単に確認できます。
総合的な認知機能の結果だけでなく、診断項目ごとの結果や専門医のコメントも記載されるため、より詳しく認知機能を確かめられます。また、過去のチェック結果の推移をグラフで確認できるので、認知機能の推移を把握できる点も特徴です。
家族に認知症の疑いがある際、早めの受診や相談につなげるためのきっかけに活用してください。
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