アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることはできる?治療法や生活習慣を解説
家族がアルツハイマー型認知症と診断されて、「何かしてあげたいけど、何が正しいのか分からない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
アルツハイマー型認知症は完治が難しいとされる病気であり、診断されたばかりの頃は不安や戸惑いを感じる方も少なくありません。しかし、薬の服用や日々の過ごし方の工夫によって、症状の進行を遅らせることにつながる場合があります。
本記事では、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせるためにおこなわれる主な治療や生活習慣、進行を早めるおそれがある要因、家族が意識したいかかわり方を解説します。
本人の状態に合った対応を早めに取り入れることで、日々の生活を少しでも安定させやすくなるでしょう。
目次
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることはできる?

本人が安心して生活しやすい状態を保ちながら、できる活動を少しでも長く続けられるよう支えていくことが重要です。
また、家族がもの忘れに加えて、料理や買い物、着替えなどの様子に変化がみられるときは、医療や介護の支援につなげることも大切とされています。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる主な治療

おもにどのような治療がおこなわれるのか、順番に確認していきましょう。
薬による治療で進行を緩やかにする方法
服薬の際は自己判断での断薬や用量を増減しないように注意しましょう。飲み忘れや副作用が気になる場合でも、家族だけで対応を決めるのではなく、受診時に具体的な状況を医師へ伝える必要があります。
薬を使わないケア・リハビリテーション
以下は、認知機能や生活機能、気分の安定に配慮しながら取り入れられる方法として知られています。
- 認知刺激|会話や計算で脳に刺激を与える
- リアリティ・オリエンテーション|日付や場所を確認する
- 回想法|思い出を語って記憶をうながす
- 音楽療法|音楽で気分転換を図る
- 園芸|植物を育てて楽しむ
- 運動療法|体を動かして身体機能を保つ
認知症の音楽療法の詳細は下記の記事で説明しているので、参考にご活用ください。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる生活習慣

日常の中で意識したい習慣の例を紹介します。
ただし、ここで紹介する方法は対応の一例であり、症状に不安がある場合は、必要に応じて医療機関への相談を検討しましょう。
脳への血流維持に役立つとされる有酸素運動
ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、脳への血流維持に役立つと考えられています。
体を動かす習慣は、筋力や体力の低下を防ぎやすくなり、外出や日中活動の機会も保ちやすくなるとされる方法の1つです。認知機能だけでなく、睡眠や気分への影響も踏まえて取り入れられるケースもあります。
運動する際は「毎日1時間歩く」という強い負荷をかけるよりも、「近所のコンビニまで歩く」「朝の日光浴を兼ねて10分散歩する」など、本人が楽しめるよう適度な運動の習慣化を心がけましょう。短時間の散歩や軽い体操でも、生活の流れに組み込めれば継続しやすくなります。
脳の健康に良いとされる食事の摂り方
とくに、野菜、果物、魚、ナッツ類などを含むバランスの良い食事は、日々の食習慣を見直す際の例として挙げられます。
反対に塩分や糖分の多い食事や偏った食生活は、生活習慣病の悪化にもつながりやすく、脳の健康を考えるうえでも注意が必要です。
食事の見直しは、以下のような小さな工夫でも積み重ねることが重要とされています。
- 魚を食べる回数を増やす
- 野菜を1品足す
- 甘い飲み物を減らす
なお、認知症の方に食欲低下がみられるときや調理の負担を感じるときは、家族だけで抱えず、医療機関への相談や介護サービスの利用も検討してみましょう。
認知機能の維持に役立つ可能性がある脳のトレーニング
以下の活動は、脳への刺激を保つ手段として取り入れられるときがあります。
- パズル
- 読書
- 計算
- 楽器演奏
また、会話をしながらのゲームや地域活動、デイサービスでの集団活動などを組み合わせると、刺激の幅を広げることにつながりやすいです。
脳トレを意識した手遊びは下記の記事で紹介しているので、参考にご覧ください。
昼夜逆転を防ぐための生活リズムの調整
生活リズムを整えるには、早朝の日光浴や日中の軽い運動を意識してみましょう。なお、夕方以降に長時間眠ってしまうと、夜の睡眠が浅くなりやすいため、昼寝や仮眠をとるタイミングにも注意が必要です。
社会との積極的な交流
会話や共同作業の機会があると記憶力、注意力、理解力などの能力を自然に使う場面が増えやすいです。
また、孤立が続くと気分の落ち込みや意欲低下にもつながりやすいため、交流の機会を保つことは生活習慣の見直しでも注目したいポイントといえます。
社会との交流を意識する際は、以下の日常的な工夫から取り組んでみましょう。
- 近所の人とのあいさつを習慣にする
- 家族との食事や会話を意識的に作る
- 買い物や散歩に一緒に出かける
本人が無理なく参加できる範囲で、社会との交流を生活に組み込んでみてください。
持病の治療
認知症だけでなく全身の状態に目を向けて、以下も意識しましょう。
- 定期的な受診
- 服薬管理
- 血圧や血糖の把握
あわせて、禁煙や節酒、食事と運動の見直しも検討してみてください。本人だけで管理が難しい場合は、医療機関や介護サービスの支援も選択肢の1つです。
アルツハイマー型認知症の方が注意したい生活上の変化

進行を早める可能性がある要因について、確認していきましょう。
思考する機会の減少
また、聞き取りづらい状態を放置すると、刺激の減少につながる点にも注意が必要です。会話がしづらくなると、人とかかわる機会そのものが減りやすく、外出や活動の意欲低下につながると考えられているためです。
「最近反応が鈍い」「聞き返しが増えた」と感じる場合は、聴力の変化も確認してみましょう。
急激な生活環境の変化
以下の急な生活環境の変化は、本人の混乱や不安を招くおそれがあります。
- 入院
- 施設入所
- 引っ越し
- 同居開始
使い慣れた家具や写真を持ち込む、生活環境の変化について説明を丁寧に繰り返す、家族が付き添う時間を確保するなども工夫の例です。
生活習慣の乱れ
昼夜逆転や睡眠不足、活動量の低下が続くと、心身の不調が重なりかねません。偏った食生活や運動不足は持病の悪化につながるリスクもあるため、生活習慣全体の見直しも検討しましょう。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせるために家族が注意すべきポイント

加えて、本人ができる活動を取り上げすぎないような配慮も求められます。着替えや食事など、本人に危険が及ばない範囲で生活行動を任せる意識が重要です。
なお、急な変化がみられる場合や異変を感じた場合は、必要に応じて医療機関や介護サービスへの相談も検討しましょう。
アルツハイマー型認知症の進行に関するよくある質問
アルツハイマー型認知症の進行に関するよくある質問を整理しました。理解を深めたい方は、参考にしてください。
アルツハイマー型認知症の進行速度の平均はどれくらいですか?
年齢や体調、持病、生活環境、周囲の支援状況なども進行速度に影響するとされる要因です。
進行速度には個人差があるため、本人の状態や生活環境に目を向けることや必要に応じて医療機関への相談が大切です。
認知症の進行を遅らせるグッズは役立ちますか?
以下のグッズは、日常生活を支える補助として使われるときがあります。
- カレンダー
- 服薬管理用品
- 補聴器
また、使いにくさを感じる道具は、かえって生活での負担につながるおそれがあるため、本人の理解力や生活環境との相性の確認を意識しましょう。
認知症が急激に進む原因には何がありますか?
以下が原因で一時的に混乱が強くなる場合も考えられます。
- 発熱
- 脱水
- 便秘
- 感染症
- 薬の影響
認知症が急に進むように見える原因は、下記のページで解説しているので参考にご覧ください。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせるためには早期の対応が大切
ただし、急に症状が強くなった場合や普段と違う変化がみられた場合は、認知症の進行だけでなく別の病気や体調不良が影響しているおそれがあるため、医療機関への相談を検討しましょう。
また、進行を遅らせるための対応は家族だけで抱え込まず、必要に応じて医療機関や地域包括支援センター、介護サービスを活用しながら、本人に合った支援の継続が大切です。
認知症についての基本的な知識を整理しておくと、今後の備えや家族の接し方を考える際の参考になります。下記の記事でわかりやすくまとめているので、あわせてご覧ください。
【参考文献】
PubMed.Effective pharmacologic management of Alzheimer’s disease
PubMed.Nonpharmacological therapies in Alzheimer’s disease: a systematic review of efficacy
厚生労働省:認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン
PMC.Treatment of Sleep Disorders in Dementia.
PubMed.The Diagnosis of Delirium Superimposed on Dementia
PubMed.Rate of progression differs in frontotemporal dementia and Alzheimer disease
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