若年性認知症とは?主な原因や初期症状、相談先を解説
家族のもの忘れや様子の変化が増えて「若年性認知症ではないか」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
若年性認知症は高齢者以外に起こる認知症のため、仕事や家計、家族の生活に影響が出やすいとされています。
本記事では、若年性認知症の主な原因や初期症状、疑いがある際のチェックリスト、予防を意識する際のポイント、相談先などを解説
します。
若年性認知症への理解を深めることで、早めの医療機関への相談や適切な対処につながりやすくなるでしょう。
目次
若年性認知症とは?

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症を指します。認知症は高齢者に多い病気として知られていますが、働き盛りの世代にも発症するリスクがある病気です。
若年性認知症は仕事や家計、子育て、親の介護などにかかわる年代で起こるため、本人だけでなく家族の生活にも影響が広がりやすい点が特徴です。
また、若年性認知症は、疲労やストレス、うつ状態、更年期障害などと見分けがつきにくい場合がある点にも注意が必要です。
若年性認知症の主な原因

若年性認知症の原因は1つではなく、以下の複数の病気が関係すると考えられています。
- アルツハイマー型認知症
- 血管性認知症
- 前頭側頭型認知症
- レビー小体型認知症
また、認知症以外にも頭部外傷や脳腫瘍、感染症、アルコールの影響などが関係するケースもあります。
主な認知症の種類とその特徴は下記の記事で紹介しているので、参考にご覧ください。
若年性認知症に見られる初期症状

若年性認知症の初期症状は、もの忘れだけでなく仕事や会話、行動の変化にも現れる場合があります。
様子の変化に早めに気づけるよう、若年性認知症の初期症状を把握しておきましょう。
もの忘れが増える
若年性認知症では、約束や予定を忘れる、同じ話を繰り返す、置き忘れや探し物が増えるなど、もの忘れをはじめとした記憶に関する変化が目立つケースがあります。
加齢によるもの忘れでは、忘れた内容を後から思い出せるときもありますが、認知症では出来事そのものを思い出しにくくなる傾向にある点が特徴的です。
本人に忘れた自覚が薄い場合、家族が指摘しても忘れたことを認めないケースが多々あります。若年性認知症では、家族や職場の人が本人の様子の変化に気づくこともあります。
仕事のミスが増える
働き盛りの世代では、以下のような仕事上のミスから若年性認知症に気づく場合があります。
- 書類の処理に時間がかかる
- 予定を忘れる
- 会議の内容を把握しにくい
- 連絡事項を抜かしてしまう
本人は責任感から無理を続けてしまう、あるいは疲労やストレスが原因だと自己判断してしまうといった理由で、医療機関への相談や対処が遅れるおそれもあります。
言葉が出にくくなる
会話の途中で言葉が出てこない、物の名前を思い出せない、相手の話を理解するまで時間がかかるなどの変化も、若年性認知症の初期に見られる症状です。
言い間違いや聞き返しが増えると会話への苦手意識を抱きやすくなり、会話を避けるようになる場合もあるでしょう。
ただし、言葉が出にくくなる、スムーズに会話できないといった変化は、疲労や緊張でも起こり得るため、ほかの症状と併せた観察が欠かせません。
判断力が低下する
若年性認知症では、買い物や金銭の管理、仕事などでの判断に時間がかかる場合があります。以前なら短時間で決められた内容でも迷うことが増えたり、手続きの手順がわからなくなったりするといった変化が起こりやすいとされています。
判断力が低下しているときは、本人が自身の悩みを隠そうとするケースもあるため、家族は本人の様子を注意深く観察することが重要です。
性格や行動が変化する
若年性認知症の初期症状として、性格や行動の変化が挙げられます。
- 怒りっぽくなる
- 意欲が低下する
- 身だしなみに気を配らなくなる
- こだわりが強くなる
周囲から見ると、性格の変化やわがままに見えるときがありますが、以前とは明らかに違う行動が増えているときは、病気による影響も検討したほうが良いでしょう。
認知症で怒りっぽくなるときの原因や対応は、下記の記事で紹介しているので参考にご覧ください。
道に迷いやすくなる
若年性認知症では、通い慣れた場所で迷う、目的地までの道順がわからなくなる、予定していた時間に戻れないといった変化が見られるケースがあります。
とくに、若年性認知症の背景とされるアルツハイマー病に関する研究では、自分の居場所を認識する能力の障害が発症初期に見られやすい症状とされています。
道に迷いやすくなった場合は、行方不明や交通事故のリスクも高まるため、早めに医療機関や専門の窓口への相談を検討しましょう。
若年性認知症の疑いがある場合のチェックリスト

若年性認知症が疑われるときは、以前と比べて生活や行動に変化がないかの確認が重要です。
若年性認知症の疑いがあるかどうかを確認する際のチェックリストを以下に整理しました。
- 同じ質問や確認を何度も繰り返す
- 伝言を頼んでも、内容が相手に正しく伝わらない
- バスや電車で、乗る場所や降りる場所がわからなくなる
- 通い慣れた道やよく知っている場所で迷う
- 財布や印鑑、通帳などの大切なものをなくす
- なくしたものについて、家族や周囲の人に盗られたと思い込む
- 同じ服ばかり着るようになり、着替えを嫌がる
- 家電製品の操作方法がわからなくなる
- テレビや新聞、ニュースなどに関心を示さなくなった
- 入浴を面倒がったり、風呂に入りたがらなくなったりする
- 以前は楽しんでいた趣味や活動をしなくなった
- ガスの火を消し忘れたり、鍋を焦がしたりする
- 水道の水を出しっぱなしにする
- 外出を嫌がり、自宅にいる
上記のチェックリストに該当しても若年性認知症とは断定できませんが、気になる項目が複数あり、生活での違和感や仕事に支障がある場合は医師に相談したほうが良いでしょう。
若年性認知症の予防を意識する際の3つのポイント

若年性認知症の予防を意識する上で、脳や全身の健康を保つ生活習慣は重要とされています。
日々の生活で無理なく取り組みやすい3つのポイントを確認しておきましょう。
生活習慣を改善する
十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動は、脳や全身の健康維持にかかわることから、認知症の予防を意識する際に重要とされています。
生活習慣を整える際は無理な運動や極端な食事制限ではなく、続けやすい方法を選ぶことが大切です。散歩を増やす、食事の栄養バランスを意識する、飲酒量を見直すなど、日常生活の中で取り組める改善から始めると継続しやすくなるでしょう。
認知症予防を意識する際の生活習慣の具体的なポイントは、下記の記事でまとめているので参考にご覧ください。
脳トレを取り入れる
計算やパズル、読書などの脳トレは、認知症の予防を意識する際に取り入れられる方法の1つです。脳トレは1人でおこなうものだけでなく、会話や音楽の鑑賞・演奏、料理など生活の中でも実践できます。
ただし、脳トレだけでなく、適度な運動やバランスの良い食事、積極的な社会との交流などと組み合わせることが認知症の予防を意識する上で重要とされています。
なお、取り組みやすい脳トレの手遊びを下記の記事で紹介しているので、参考にご覧ください。
持病の治療に取り組む
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は認知症との関連が知られています。生活習慣病の予防や適切な治療は、将来の健康維持に関係する要素の1つです。
体重管理や減塩の意識に加え、定期的な健康診断や医療機関での管理によって、身体の状態の把握や適切な対応につながるでしょう。
若年性認知症の治療方法

若年性認知症では、原因疾患や症状、生活状況に応じた以下の治療が検討されます。
- 薬を用いた治療
- リハビリテーション
生活環境の調整、家族への支援などを組み合わせながら、本人ができるだけ安心して生活できる状態を目指す方法が一般的です。
若年性認知症では、医師と相談しながら本人の希望や日常生活の状況に合わせて、治療の方針を検討します。
若年性認知症が疑われるときに家族ができる対応

家族が若年性認知症を疑ったときは、本人を強く責めたり否定したりせず、困っている場面を一緒に整理しましょう。
本人が自身の変化に不安や悩みを抱えていても、病気だと認めたくない気持ちから受診を拒むケースも少なくありません。
家族が若年性認知症かもしれないと感じたときは、1人で抱え込まず医療機関や地域の相談窓口などへの早めの相談も大切です。
若年性認知症が疑われる場合の受診・相談先

若年性認知症が疑われる際の受診先には以下が挙げられます。
- もの忘れ外来
- 精神科
- 脳神経外科
どの診療科に足を運べば良いかわからないときは、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医療機関を紹介してもらう方法もあります。
なお、生活面の不安は、地域包括支援センターや若年性認知症支援コーディネーターにも相談できます。診断前でも相談できる窓口があるため、受診を迷っている段階での利用も可能です。
認知症に関する相談先は、下記の記事で紹介しているので参考にご覧ください。
若年性認知症に関するよくある質問
若年性認知症に関するよくある質問を整理しました。
Q1.若年性認知症になりやすい人の特徴は?
若年性認知症になりやすい人の特徴は明らかになっていませんが、一般的に認知症になりやすい人の特徴として以下の3点が挙げられます。
- 社会的孤立
- 運動不足
- 難聴
ただし、上記の特徴に当てはまるケースでも認知症を発症するとは限りません。
若年性認知症は誰にでも起こり得る病気のため、もの忘れをはじめとした様子の変化や違和感がないかを注意深く観察しておくことが大切です。
Q2.若年性認知症の診断テストは自宅でできる?
自宅でできるチェックリストや認知機能テストは、受診を検討する目安として活用できます。質問に答える形式のサービスやツールは、もの忘れや判断力の変化に気づくきっかけになりますが、若年性認知症とは断定できないため注意が必要です。
チェック結果が気になる際は、医療機関でより詳しく状態を確認しましょう。
Q3.若年性認知症の余命はどのくらい?
若年性認知症の余命は、原因疾患、発症年齢、合併症、生活環境、受けられる支援によって異なります。そのため、余命の断定は難しく、診断後も医療や福祉の支援を受けながら生活を続ける人もいます。
余命を意識しすぎるのではなく、主治医や相談窓口と連携しながら、今後の生活を整えていくことが大切です。
Q4.若年性認知症とスマホ認知症の違いは?
若年性認知症とスマホ認知症は、もの忘れをはじめとした似た変化が見られるケースがありますが、医学的な扱いに違いがあります。
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症を指す一方で、スマホ認知症はスマートフォンの使い過ぎをはじめとした要因による認知機能の低下を表す状態を指し、医学的な診断名ではありません。
ただし、スマホ認知症と若年性認知症を症状から判断することは医師でなければ難しいため、様子の変化が続くときは、医療機関に足を運び、原因を調べたほうが良いでしょう。
若年性認知症の疑いがある場合は早めの対応が大切
若年性認知症が疑われる際は、もの忘れや仕事のミスを加齢や疲労が原因と自己判断せず、早めに医療機関に相談しましょう。
若年性認知症への対応は家族だけで抱え込まず、必要に応じてかかりつけ医やもの忘れ外来、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターなどを活用して、本人と家族の負担を抑えることが重要です。
また、認知症についての基本的な知識を整理しておくと、受診や今後の生活を考える際にも役立ちます。下記の記事でわかりやすくまとめていますので、あわせてご覧ください。
【参考文献】
厚生労働省:若年性認知症ハンドブック
PubMed.Young-onset dementia diagnosis, management and care: a narrative review
PubMed.Cognitive and noncognitive neurological features of young-onset dementia
PMC.Neuroanatomical profiles of personality change in frontotemporal lobar degeneration
PMC.Spatial Disorientation in Alzheimer’s Disease: The Missing Path From Virtual Reality to Real World




