アルツハイマー型認知症の初期症状とは?日常生活での具体例をもとに解説

アルツハイマー型認知症の初期症状とは?日常生活での具体例をもとに解説

親のもの忘れが増えてきたと感じたとき「年齢による変化?それとも認知症なの?」と不安になる方は少なくありません。変化の目安を知っておくことで、慌てず落ち着いて向き合いやすくなります。

ここでは、アルツハイマー型認知症の初期症状、進行により見られやすい変化、相談の目安などをわかりやすく解説します。

アルツハイマー型認知症の症状とは?知っておきたい基礎知識

アルツハイマー型認知症の症状とは?知っておきたい基礎知識

アルツハイマー型認知症は、何らかの原因で脳の神経細胞の働きが悪くなり、脳に変化が起こることで記憶や判断力に影響をきたすとされています。体験した出来事そのものを忘れてしまうことがあるのが特徴です。

一方、加齢によるもの忘れは、出来事の一部を忘れてもヒントがあれば思い出せる場合が多いとされています。たとえば、食事の内容を忘れるのはもの忘れ、食事をしたこと自体を忘れる場合は認知症の可能性があるといわれています。

以下に、加齢によるもの忘れとアルツハイマー型認知症の違いをまとめました。

項目 加齢によるもの忘れ アルツハイマー型認知症
忘れる範囲 出来事の一部を忘れる 出来事そのものを忘れる
ヒントの影響 ヒントがあれば思い出せる ヒントがあっても思い出せない
日常生活 生活に大きな支障はない 家事や買い物で困る場面が増える
自覚 忘れたことを自覚している 忘れた自覚がないことが多い

認知症ともの忘れを見分ける方法について、詳しく知りたい方は「認知症ともの忘れを見分ける方法とは?もの忘れがひどいときのチェック方法」も参考にご覧ください。

アルツハイマー型認知症の初期症状【日常生活での具体例】

アルツハイマー型認知症の初期症状【日常生活での具体例】

アルツハイマー型認知症の症状には、記憶力の低下など脳の働きによる変化(中核症状)と、不安・怒りっぽさなど気持ちの揺れや行動面の変化(行動・心理症状)があります。

1.会話で見られる変化

  • さっき答えたことを、数分後にもう一度聞いてくる
  • 電話したことを忘れて、同じ内容の電話をかけ直す
  • 「あれ」「それ」など物の名前を忘れる
  • 話の途中で何を話していたか忘れてしまう
  • 身近な親戚の名前を間違える

2.買い物・家事での変化

  • 買ったことを忘れ、同じ食品を何度も購入する
  • 計算が難しく、お札ばかりで支払う
  • 鍋に火をかけたことを忘れ、焦がしてしまう
  • 水道の蛇口を締め忘れる

3.時間・場所の感覚の混乱

  • 何度も日時を聞くようになる
  • 習い事やデイサービスの曜日を何回も確認する
  • よく知っている場所なのに、久しぶりで道順がわからなくなる
  • 待ち合わせの時間や場所を間違える
  • 外出先で自分がどこにいるのかわからなくなる

上記は一例であり、変化には個人差があります。なお、認知症とよく似た状態として、うつやせん妄などがあります。

また、甲状腺の病気など体の不調が原因で、もの忘れのような症状が出る場合もあります。気になる変化が続くときは、早めに医療機関の受診を検討しましょう。

認知症の初期症状について詳しく知りたい方は「認知症の6つの初期症状とは?加齢との違いや受診の目安も解説」も参考にご覧ください。

アルツハイマー型認知症の症状が進むと見られやすい変化

アルツハイマー型認知症の症状が進むと見られやすい変化

アルツハイマー型認知症の進み方や現れ方には、個人差があります。ここでは、症状が進んだときに見られやすい変化の目安を紹介します。

中期に見られやすい変化

アルツハイマー型認知症の中期(中等度)は、もの忘れだけでなく日常生活の困りごとが増えていく段階です。たとえば、次のような変化が見られることがあります。

  • 薬の飲み忘れや管理が難しくなる
  • 季節に合った服を選べなくなる
  • お風呂に入る習慣を忘れる
  • トイレの水を流し忘れる
  • 家事の手順に迷うことが増える

また、気持ちの不安定さが目立つのも、中期の特徴です。自分の気持ちをうまく伝えられないもどかしさから、些細なことで怒りっぽくなることがあります。

また、失敗が増えることで自信をなくし、意欲が低下したり孤立感を感じたりすることがあります。

後期に見られやすい変化

アルツハイマー型認知症の後期(高度)になると、日常生活の多くの場面でサポートが必要です。進行すると、歩行や飲み込みに手助けが必要になる場合もあります。

記憶や判断の力の低下も進み、身の回りのことを行うのが難しくなる段階です。たとえば、次のような変化が見られることがあります。

  • 同居している家族の名前を忘れる
  • 自宅のトイレの場所がわからなくなる
  • 自分から会話しなくなる
  • 動くことが少なくなる
  • 食べることを忘れる

一方、喜びや安心といった基本的な感情や「見る・聞く・味わう・触る」などの感覚は強く残っているとされています。

認知症の進行段階について詳しく知りたい方は「認知症の「初期・中期・後期」とは?進行段階ごとの特徴とケアのポイント」も参考にご覧ください。

家族ができる対応と相談の目安

家族ができる対応と相談の目安

親のもの忘れが気になると、つい強く指摘したくなるときもあるでしょう。

しかし、本人も不安を感じている場合があるため、ゆっくり話を聞いたり、できたことを認めたりする関わりが安心につながります。たとえば、さりげなく予定を一緒に確認するだけでも、本人の負担は軽くなります。

「何かおかしいな?」と感じたり、日常生活に支障が出たりしている場合は、医療機関や地域包括支援センターへの相談を検討してみてください。

接し方のポイントについては「認知症の方への適切な接し方!ポイントと5つの具体例」でも詳しく解説しています。

アルツハイマー型認知症の初期症状を理解し、早期対応につなげましょう

アルツハイマー型認知症はもの忘れだけでなく、会話や家事、時間や場所の感覚など日常生活のさまざまな場面に変化が現れることがあります。進み方には個人差があるため、早めに目安を知っておくことで落ち着いて対応しやすくなります

認知症の仕組みや、早期対応のポイントについては「認知症の基礎知識― 大切な人の「気になる変化」に、やさしく寄り添うために」もあわせてご覧ください。

【参考文献】

政府広報オンライン:知っておきたい認知症の基本.

厚生労働省:認知症ケア法-認知症の理解.

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監修者 浦上 克哉 教授

監修者
浦上 克哉 教授

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浦上 克哉 教授

日本認知症予防学会代表理事
日本老年精神医学会理事
日本老年学会理事
日本認知症予防学会専門医

1983年鳥取大学医学部医学科卒業

1988年同大大学院博士課程修了

1990年同大脳神経内科・助手

1996年同大脳神経内科・講師

2001年同大保険学科生体制御学講座環境保健学分野の教授(2022年まで)

2016年北翔大学客員教授(併任)

2022年鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座(寄付講座)教授に就任

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