認知症の詐欺対策|家族が気づきたい被害のサインと電話・訪問販売への備え

認知症の詐欺対策|家族が気づきたい被害のサインと電話・訪問販売への備え

認知症の親が、電話勧誘や訪問販売、特殊詐欺などの被害にあわないか不安に感じる方もいるでしょう。

認知症では、記憶力や判断力の低下によって、契約内容を十分に理解できない場合があります。家族が詐欺のサインや対策について知っておくことは、被害に気づくための日頃の備えの一つです。

この記事では、認知症の方が詐欺に巻き込まれやすい背景から、家族ができる対策、被害が疑われるときの相談先まで紹介します。

認知症の方が詐欺や悪質商法に巻き込まれやすい背景

認知症の方が詐欺や悪質商法に巻き込まれやすい背景

認知症の方は、記憶力や判断力の低下などにより、契約内容を十分に理解できないことがあります。また、電話や訪問での勧誘に対応するなかで、相手の話を断れず、そのまま契約や購入をしてしまう場合もあります。

ここでは、認知症の方が詐欺や悪質商法に巻き込まれやすい背景について説明します。

記憶や判断力の低下で契約内容を十分に理解できない

認知症の種類や進行の程度によって現れ方は異なりますが、記憶力や理解力、判断力といった認知機能の低下は、認知症でみられる特徴の一つです。

記憶力や理解力等の低下は、契約内容の十分な理解や、商品・サービスの必要性を判断する場面で影響する場合があります。

投資や保険、定期購入など、複雑な契約は、記憶力や注意力への負担が大きくなりやすい場面です。MCI(軽度認知障害)や軽度認知症の方が電話や訪問販売での勧誘を断りきれず、そのまま契約してしまうケースもみられています。

電話や訪問販売で話を聞いてしまう

認知機能が低下してきても、会話ができなくなるわけではありません。突然の電話勧誘や訪問販売に対応できる場合があります。

アルツハイマー型認知症では、会話を相手に合わせる「取り繕い」が見られることがあります。本人が自然に会話しているように見えても、契約内容や金額、支払い方法、解約条件などを十分に理解できているとは限りません

認知機能が低下している場合、話の内容を整理したり、必要性を判断したりすることが難しく、契約や購入に進んでしまうことがあります。

認知症の詐欺被害を疑うときに家族が気づきたいサイン

認知症の詐欺被害を疑うときに家族が気づきたいサイン
認知症の場合、自分が詐欺の被害にあっていることに気づいていないこともあります。身の回りやお金の使い方などの変化は、家族が確認したいポイントの一つです。

見慣れない契約書や商品、お金の動きを確認する

家の中に見覚えのない契約書や請求書があったり、同じ商品がいくつも届いていたりといった変化は、消費者トラブルが疑われるサインとして挙げられます。

「通帳から高額なお金が引き出されている」「ATMに行く回数が増えている」など、お金に関する本人の行動や反応も、確認しておきたい点です。

家族が被害に気づくきっかけとして以下のような状況が挙げられます。

  • 郵便物や請求書に異変がある
  • 通帳に入っている預金残高が減っている
  • 自宅内に健康食品や寝具などの物が以前より増えている

本人が契約について覚えていない場合もあるため、気になるものがある場合は、ほかの契約や支払いの有無も確認しておきたい項目です。

電話や人間関係の変化も見逃さない

身の回りの物やお金だけでなく、電話や人との関わり方の変化を見ることも大切です。
以下は、確認しておきたい、電話や人間関係の変化となります。

  • 知らない人からの電話が明らかに増えた
  • 特定の業者が何度も家を訪ねてくる
  • これまで聞いたことのない人や業者の話をするようになった

「高齢者の認知機能障害に応じた消費トラブルと対応策の検討に関する研究」では、認知機能に障害のある高齢者の被害として、訪問・電話勧誘や訪問販売などが報告されています。また、被害は本人の自己申告よりも、家族や医療・福祉関係者などが日常生活の違和感に気づいたことで発見されるケースが多いと記されています。

認知症の親を詐欺から守るために家族ができる対策

認知症の親を詐欺から守るために家族ができる対策

認知症の方が詐欺や悪質商法に巻き込まれないためにも、本人に「気をつけて」と伝えるだけでなく、怪しい相手と接触しにくい環境の調整が対応を考えるうえで大切です。

本人の生活や気持ちを尊重しながら、認知機能の状態に応じて、家族が確認できる対策にはさまざまな方法があります。

電話や訪問販売への対策をしておく

以下は、電話や訪問販売への対策の一例です。

  • 留守番電話や迷惑電話防止機能を活用する
  • 必要に応じて知らない番号からの着信を制限する
  • インターホンや防犯カメラなどで訪問者を確認する
  • 地域の支援者とも連携し、日常的に見守れる体制を整える

認知症では、一度伝えた注意事項を忘れてしまったり、その場で適切に判断することが難しかったりする場合があります。「知らない電話には出ない」「その場で契約しない」と本人に伝えるだけでなく、本人が一人で対応しなくて済む仕組みを作ることも、対策の考え方の一つです。

お金や契約を家族で確認する

認知機能の低下がみられる場合は、本人だけにお金や契約の管理を任せず、本人のお金や契約の状況について、家族や周囲の人が確認する方法もあります。

  • 家族が請求書や利用明細、契約書などを定期的に確認する
  • 不審な引き出しや高額な支払いがないか、お金の動きを確認する
  • 自宅に見慣れない商品や契約書が増えていないか確認する
  • 必要に応じてケアマネジャーや地域包括支援センターなどと連携し、見守り体制を整える

家族だけで対応するのが難しいときは、周囲の支援者とも連携しながら、認知症の方以外が定期的に状況を確認する体制について検討する方法もあります。

認知症の親が詐欺にあったときの相談先

認知症の親が詐欺にあったときの相談先
以下の窓口は、認知症の親が詐欺や悪質商法の被害にあった場合の相談先です。

  • 消費者ホットライン「188」
    訪問販売や電話勧誘による契約など、消費者トラブルについて相談できる番号です。最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。
  • 警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署
    特殊詐欺など、犯罪の可能性がある場合の相談先です。緊急の事件や事故の場合は110番となります。
  • 金融機関
    詐欺の相手にお金を振り込んでしまった場合は、警察と振込先の金融機関へ口座や振り込み内容の情報を伝えます。
  • 地域包括支援センター
    今後も被害にあわないか心配な場合や、家族だけで本人の生活を見守ることが難しい場合などの相談先です。必要に応じて、本人の状態に合った支援や関係機関との連携も行っています。
  • 法テラス
    詐欺や契約トラブルについて法的な対応が必要な場合や、どこに相談すればよいかわからない場合に、利用できる法制度や相談窓口について案内を受けられる機関です。

契約書や請求書、相手とのメールやメッセージ、振込履歴などは、相談時に状況を確認するための資料となります。

認知症の方を詐欺から守るために家族で備えよう

認知症の方は、記憶力や判断力の低下により、詐欺や悪質商法の被害に気づけないことがあります。

詐欺被害への対策では、本人を厳しく管理するのではなく、生活状況や症状に合った方法を考えることが大切です。具体的には、家族や周囲の人による見守り、お金の管理、契約状況の確認などが挙げられます。また、被害が疑われる場合は、消費生活センターや警察などが相談先になります。

本人に合った備えを考えるには、認知症による判断力の低下や日常生活への影響を知っておくことも役立ちます。

認知症について全体像を知りたい方は、基礎知識ページもご参照ください。

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