認知症と診断されたら運転免許証はどうなる?リスクや家族の関わり方を解説

認知症と診断されたら運転免許証はどうなる?リスクや家族の関わり方を解説

認知症と診断された家族が車を運転していると「免許はすぐに取り消されるのか」「運転をやめない場合、どう対応すればいいの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

認知症と診断された場合、運転免許は取消しや停止の対象になりますが、一定の手続きを経て判断されます。本記事では、認知症と運転免許証の関係や、本人が運転をやめないときの家族の関わり方を解説します。

認知症と診断されたら、運転免許証は取消し・停止の対象となる

認知症と診断されたら、運転免許証は取消し・停止の対象となる

認知症と診断された場合、運転免許は取消しまたは停止の対象になるとされています。ただし、診断時にすぐ免許証を取り上げられるわけではありません。

たとえば、75歳以上の方が免許を更新する際は、認知機能検査を受けます。その結果によっては、医師の診断が必要になることがあります。

主な流れは、次のとおりです。

  • 1. 認知機能検査を受ける
  • 2. 「認知症のおそれがある」と判定される
  • 3. 医師の診断を受ける、または診断書を提出する
  • 4. 認知症と診断された場合、聴聞などの手続きが行われる
  • 5. 公安委員会が免許の取消しや停止を判断する

認知機能検査は、記憶力や判断力の状態を確認するための検査です。ただし、認知症かどうかを診断する検査ではありません。認知症の診断は、医師が診察・検査に基づいて判断します。

認知症の検査については「認知症検査の流れ5ステップ|種類・費用・受診先の選び方をわかりやすく解説」も参考にご覧ください。

認知症の診断後も運転を続けるリスク

認知症の診断後も運転を続けるリスク

認知症の症状や進行の程度には個人差がありますが、記憶力だけでなく、注意力や判断力が低下することがあります。

警察庁の「認知機能と安全運転の関係に関する調査研究(平成31年3月)」では、認知症の進行に伴い、運転リスクが高まるとされています。実際に認知症と診断された人は、75歳以上の免許保有者全体と比べて、1人当たりの事故・違反件数が多い傾向があると報告されました。

運転中には、次のような変化がみられることもあります。

  • いつもの道で迷う
  • 車庫入れで車をこする
  • 標識や信号を見落とす
  • ブレーキやアクセルの操作を間違える

日本老年医学会でも、アルツハイマー型認知症では迷子運転や車庫入れでの接触事故、血管性認知症では、操作ミスや速度維持の難しさが報告されています。

認知症の種類について詳しく知りたい方は「認知症の種類と特徴を解説|改善が期待できる原因や受診の目安も紹介」もあわせてご覧ください。

本人が運転をやめないとき家族はどう関わる?

本人が運転をやめないとき家族はどう関わる?
認知症と診断された後も運転を続けたがる場合、本人の不安や生活への影響に配慮しながら、安全を守るための対応を考えていきましょう。

本人の気持ちを否定せず、困りごとを話し合う

運転は通院や買い物だけでなく、本人の自立や生活の楽しみに関わる手段です。そのため、家族が一方的に「危ないからやめて」と伝えると本人が戸惑いを感じ、話し合いが進みにくくなることもあります。

次のような点を聞きながら、本人の不安や希望を確認しましょう。

  • 運転できなくなると何に困るか
  • どこへ行くために車が必要か
  • 代わりの移動手段で不便に感じそうなことは何か

そのうえで、最近の運転で気になる変化を具体的に伝えることが重要です。

認知症の方の運転には、本人や周囲の安全に関わるリスクがあります。運転時の危険性については「認知症になったら車の運転はできる?危険性や免許のルール、やめさせたいときのコツ5つを解説」もあわせてご覧ください。

医師や警察の相談窓口など第三者に相談する

家族だけで本人を説得しようとすると、話し合いがこじれることもあります。かかりつけ医や警察の相談窓口など、第三者への相談も検討するとよいでしょう。

警察庁では、運転に不安のある高齢ドライバーや家族が相談できる窓口を設けています。全国統一の専用相談ダイヤル「#8080(シャープはればれ)」に電話すると、地域の安全運転相談窓口につながります。

安全運転に必要な助言や、自主返納制度、自主返納後の支援施策について相談可能です。

代わりの移動手段を一緒に考える

運転をやめる場合は、代わりの移動手段も一緒に考えることが大切です。家族の送迎だけに頼ると、本人も家族も負担を感じやすくなります。

たとえば、次のような代替案を組み合わせる方法もあります。

  • 通院:介護タクシー、通院付き添いサービス
  • 買い物:宅配サービス、ネットスーパー
  • 外出:地域の高齢者向け移動支援

安心して外出できる方法を一緒に探すという姿勢で関わると、本人も受け入れやすくなる可能性があります。

認知症と運転免許証に関するよくある質問

認知症になったら免許返納は強制ですか?

認知症と診断された場合、運転免許は取消しまたは停止の対象になります。本人が自分の意思で免許証を返す「自主返納」とは異なり、医師の診断結果などをもとに公安委員会が判断する行政処分です。

そのため、診断後も運転を続けられるとは限りません。運転を続けてよいかは自己判断せず、早めに医師や公安委員会の手続きに沿って確認することが大切です。

認知症の家族が事故を起こしたら、家族にも責任がありますか?

認知症の家族が自動車事故を起こした場合、家族の関わり方や事故の状況によっては、対応が問われる可能性があります。たとえば、運転に危険があるとわかっていながら、適切な対応を取らずに放置していた場合などです。

ただし、法的責任が生じるかどうかは、個別の事情によって異なります。運転に不安を感じた時点で、事故を防ぐための対応を家族で検討しておくことが大切です。

認知症と診断されたら、運転免許証について早めに相談しましょう

認知症と診断された場合、運転免許証はすぐに取り上げられるわけではありません。ただし、医師の診断や聴聞などの手続きを経て、取消しまたは停止の対象になります。

本人が運転をやめたがらないときは、気持ちを否定せず、医師や警察の相談窓口など第三者の力も借りながら対応しましょう。認知症のしくみや症状については「認知症の基礎知識|初期症状・種類・予防・もの忘れとの違いを解説」もあわせてご覧ください。

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