「介護保険でおむつ代は助成されないの?」と、毎月のおむつ代を負担に感じて、助成制度はないのかと悩んでいる方もいるでしょう。
介護保険は、介護サービスを受けた際に費用負担を軽減できる制度であり、おむつ代は対象となりません。
ただし、自治体によって、紙おむつの現物支給や購入費用を助成してもらえる制度を利用できる場合があります。
この記事では、介護保険でおむつ代は助成されるのか、費用や負担を軽減する制度について詳しく解説します。
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介護保険でおむつ代は助成される?
結論からお伝えすると、介護保険でおむつ代は助成されません。
介護保険は、介護サービスを利用した際に費用負担を軽減できる制度であり、消耗品である紙おむつは対象ではないからです。
介護保険の給付対象となる介護サービスとして、訪問介護や通所介護(デイサービス)、デイケア、福祉用具の貸与や購入などが挙げられます。
紙おむつは日常的に使用する消耗品であり、食費や光熱費と同様に公的制度の助成対象にはなりにくいと考えておきましょう。
介護保険サービスの内容や自己負担額について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
『【一覧表あり】介護保険サービスとは?サービス内容や自己負担額について』
⇒ ご参照ください。
排泄支援に役立つ福祉用具の購入は介護保険で助成される
おむつ代は助成対象ではないものの、排泄支援に役立つ福祉用具の貸与・購入は、介護保険で助成されます。
「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」として、費用の1〜3割負担でレンタルや購入が可能です。
排泄支援に役立つ福祉用具の例は、以下の通りです。
- 腰掛便座
- 排泄予測支援機器
- 自動排泄処理装置
年間10万円までの購入が助成対象となります。
おむつ代の負担を軽減するための自治体独自の制度がある
介護保険ではおむつ代の助成がされないものの、自治体によって紙おむつの現物支給や購入費用の助成など、負担を軽減する制度があります。
所得制限や要介護認定など、制度を利用するための条件を設けている自治体も多々あるため、詳細はお住まいの市区町村窓口に問い合わせてみましょう。
紙おむつ助成制度とは?申請から利用開始までの流れ
紙おむつ助成制度とは、おむつの現物支給や購入費用の助成、給付券の交付など、自治体独自で展開している制度です。
紙おむつ助成制度について、以下の表では「7つ」の市区町村を例に紹介します。
市区町村名 | 制度名 | 内容 |
---|---|---|
大阪市 | 介護用品の給付 | 給付対象となる介護用品と交換できる給付券の交付(1ヶ月6,500円) |
神戸市 | 紙おむつ支給事業 |
・紙おむつ利用券の交付(年額25,000円から100,000円分) ・要介護4以上 ・世帯全員の市民税が非課税など指定の条件あり |
福岡市 | おむつサービス |
・おむつの現物支給と費用の助成 ・要介護3〜5 ※助成率は市独自に定めた所得段階によって異なる |
札幌市 | おむつサービス |
・おむつの現物支給(1ヶ月6,500円)と費用の助成 ・在宅の40歳以上で要介護認定を受けた方など指定の条件あり |
川崎市 | 高齢者-介護保険外サービス |
・介護用品の給付(1ヶ月5,000円) ・65歳以上で要介護3〜5 |
横浜市 | 高齢者紙おむつ給付事業 |
・おむつの現物支給と費用の助成 ・要介護4〜5 ・市民税非課税世帯 ※要介護1〜3:各区福祉保健センター長が必要と認めた場合のみ |
さいたま市 | 重度要介護高齢者紙おむつ等支給事業 |
・利用券の支給(1ヶ月6,000円) ・要介護3〜5 ・介護保険施設に入所していないなど指定の条件あり |
※2025年8月現在
各自治体によって利用できる条件が細かく決められています。
また、市が提携している業者からおむつを購入しないと助成対象にならないケースもあるため、お住まいの市区町村窓口で確認しましょう。
申請から利用開始までの流れ
紙おむつ助成制度を利用するために、まずは制度の対象となるか、市区町村窓口やホームページで確認してください。
対象となる場合は、市区町村が指定する書類へ必要事項を記入し、本人確認書類や要介護認定の情報などを含めて福祉担当窓口に提出します。
自治体の審査によって申請が承認されたら、制度の利用を始めましょう。
制度によって、おむつの現物支給や利用券の給付、助成金の口座振込など給付方法は異なります。
紙おむつ助成制度の申請をする際に、自治体の職員に制度の詳細をよく確認することが大切です。
紙おむつ助成制度と医療費控除の違い
自治体が制定している紙おむつ助成制度と、医療費控除の違いは以下の通りです。
紙おむつ助成制度 | 介護医療費控除の必要度 | |
---|---|---|
支給・控除方法 |
・おむつの現物支給 ・利用券の交付 ・購入費用の助成 |
・確定申告後、所得税、住民税から控除 |
申請窓口 | 市区町村の福祉担当窓口 | 税務署 |
対象者 |
・要介護認定を受けた高齢者 ・該当の市区町村に住民票を有する ・一定の所得以下など自治体によって条件が異なる |
・寝たきり状態が6ヶ月以上続いている ・医師が紙おむつの必要性を認めている ・世帯における医療費が年間10万円を超える など |
それぞれの制度の違いについて、順に解説します。
【紙おむつ助成制度】実際の負担を直接的に軽減する
紙おむつ助成制度は、各自治体が紙おむつを使用している人や世帯を対象に、現物支給や購入費用の助成を通じて負担を軽減する制度です。
市区町村の窓口で申請し、承認後はすぐに利用を開始できるため、おむつ代の負担を感じている世帯にとって助成の恩恵を感じやすいサポートでもあります。
要介護度や所得など、自治体ごとに利用条件を設けているため、まずは制度の対象になるか市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してみましょう。
【医療費控除】税金の一部が還付される
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が基準額を超える場合に、税金の一部が還付される制度です。
税務署に確定申告をすることで医療費控除を受けられます。
ただし、おむつ代が医療費控除の対象となるには、以下の条件を満たす必要があります。
- おむつ使用証明書を所持している
- 寝たきりの状態が6ヶ月以上続いている
- 主治医の治療を受けている
1年間で支払う医療費が基準額を超え、かつ上記の条件を満たす世帯は限られています。
おむつ代の負担を軽減したい方は、お住まいの市区町村で紙おむつ助成制度の活用を検討するといいでしょう。
なお、おむつ代以外に老人ホームの費用が医療費控除の対象になるか気になる方は、以下の記事も参考にしてください。
『老人ホームの費用は医療費控除の対象?対象となる費用を紹介』
⇒ ご参照ください。
助成制度を活用しておむつ代の負担を軽減しよう
介護保険は、介護サービスを受けた際に費用を軽減できる制度で、おむつ代は対象になりません。
排泄支援に役立つ福祉用具の貸与、購入については助成対象となるため、おむつとの併用を検討してみるのもひとつの手段です。
おむつ代の負担を直接的にサポートする制度として、各自治体が独自に設けている「紙おむつ助成制度」があります。
要介護度や所得制限など一定の条件を満たすと利用できるため、住民票を構える市区町村に制度があるか確認してみましょう。
なお、在宅介護が大変で老人ホームへの入居を検討している方は、「あなたらしく」を活用してみるのがおすすめです。
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