「介護タクシーに介護保険は適用されるの?」
「介護タクシーって誰でも使えるの?」
このように、介護タクシーの利用を検討しているものの、介護保険の適用有無や条件が気になって一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
介護タクシーは訪問介護における「通院等乗降介助」を担う福祉車両を指し、一定の条件を満たすことで介護保険の適用が可能です。
この記事では、介護タクシーの料金は介護保険の適用となるのか、条件や注意点についてくわしく解説します。
適用外の福祉タクシーも紹介しているため、通院や外出にともなう移動が大変でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
介護タクシーに介護保険を適用するための条件
介護タクシーの料金に介護保険を適用するためには、以下「5つの条件」を満たす必要があります。
- 1. 要介護1〜5の認定を受けている
- 2. ケアプランに乗降介助が必要と記載されている
- 3. ひとりで電車やバスに乗れない状態である
- 4. 家族が付き添えない状態である
- 5. 日常生活で必要な行為にともなう外出である
すべての条件を満たさなければ、介護保険を適用できません。
それぞれの条件について、順に解説します。
①要介護1〜5の認定を受けている
介護タクシーの料金が介護保険の適用となるために、要介護認定で「要介護1〜5」と認められている必要があります。
要介護認定とは、どの程度の介護サービスが必要なのかを客観的に示した指標です。
自立・要支援1〜2・要介護1〜5の8段階に区分され、このうち要支援・要介護と認められることで介護保険サービスを利用できます。
介護保険適用の介護タクシーを利用する前提として、要介護1〜5と認定されていなければならないことを把握しておきましょう。
②ケアプランに乗降介助が必要と記載されている
介護タクシーの料金が介護保険の適用となるためには、ケアプランに「乗降介助が必要」と記載されていなければなりません。
基本的に、ケアプランに記載されている介護保険サービスしか受けられません。
そのため、現状のケアプランに乗降介助の必要可否が明記されていない場合、担当のケアマネージャーに介護タクシーを利用したい旨を相談しましょう。
③ひとりで電車やバスに乗れない状態である
ひとりで電車やバスに乗れない状態であるかどうかも、介護タクシーに介護保険を適用するための条件のひとつです。
介護タクシーは、移動の際に介助を必要とする人のためのサービスであり、ひとりで公共交通機関を使って移動できる場合は利用できません。
認知機能が低下し、切符の購入や目的地に応じた路線への乗車など、複雑な動作を困難とする方であれば、ほかの条件を満たすことで介護タクシーの利用が可能です。
④家族が付き添えない状態である
介護タクシーの料金に介護保険を適用する条件として、家族が外出に付き添えない状態であるかも挙げられます。
移動における介助が必要な要介護1〜5の方でも、家族が付き添える状態であれば介護タクシーは利用できません。
⑤日常生活で必要な行為にともなう外出である
日常生活で必要な行為にともなう外出で介護タクシーを利用しなければ、ほかの条件を満たしていても介護保険の適用外となります。
介護タクシーは訪問介護における「通院等乗降介助」を担う福祉車両であり、観光や旅行に行くための移動手段ではないからです。
日常生活で必要な行為の例は、以下の通りです。
- 医療機関への通院や入退院
- 銀行での預貯金の引き出しや振り込み
- 本人が行かなければならない買い物(補聴器やメガネなど)
このように、通院等乗降介助における介護タクシーを利用できるタイミングは、限られています。
そもそも介護タクシーとは?おもな特徴
そもそも介護タクシーとは、どのような介護サービスなのでしょうか。
ここでは、介護タクシーのおもな特徴を紹介します。
訪問介護サービスのひとつ
介護タクシーとは、介護サービスのひとつである、訪問介護における「通院等乗降介助」を担う、福祉車両です。
一般的なタクシーと異なり、車椅子やストレッチャーのまま乗降車できるように、車両そのものが福祉用に改良されています。
また、介護関連の資格を所持した運転手に、乗降時の介助や通院時のお会計、薬の受け取りなど必要なサポートをしてもらえる点が特徴です。
なお、こちらの記事では介護保険サービスについてくわしく解説しています。
【一覧表あり】介護保険サービスとは?サービス内容や自己負担額について
保険適用と適用外の2つに分けられる
介護保険が適用される介護タクシーと似た移動手段に、福祉タクシーがあります。
介護タクシーと福祉タクシーの違いは、以下の通りです。
介護保険の適用有無 (通院等乗降介助に該当) |
福祉タクシー ※ケアタクシーとも呼ばれる |
|
---|---|---|
対象 |
・要介護1〜5 ・ケアプランに「乗降介助が必要」と記載されている ・ひとりで公共交通機関を利用できない ・日常生活で必要な行為にともなう外出時のみ |
・自立、要支援1〜2、要介護1〜5または障がい者など ・ひとりで公共交通機関を利用できない ・目的問わず利用可能 |
家族の同乗 | 原則として不可 | 可 |
介護保険 | 適用可 | 適用不可 |
料金 | 介助料金にのみ介護保険が適用 | 全額自己負担 |
運転手 | 介護職員初任者研修 | 不要 |
福祉タクシーは介護保険が適用されないものの、自立〜要介護や障がい者など幅広い方が利用できます。
家族や友人の同乗も認められており、外食、食料品の買い物など多様な目的で移動手段として活用可能です。
利用できるサービス
介護保険が適用される介護タクシー(通院等乗降介助)で利用できるサービスは、以下を参考にしてください。
タイミング | 利用できるサービス |
---|---|
乗車時 |
・迎車 ・タクシーまでの移動と乗車の介助 |
移動 | ・自宅〜目的地までの移動 |
到着時 |
・降車の介助 ・目的地までの移動介助 |
通院時 |
・受付までの移動介助 ・お会計 ・薬の受け取り |
帰宅時 |
・降車の介助 ・屋内への移動介助 |
ケアプランに記載されていれば、外出する際の着替えや持ち物などの準備、おむつ交換などもサポートしてもらえます。
介護タクシーの注意点
介護保険が適用される介護タクシーを利用する際の注意点を紹介します。
①単なる移動手段として利用できない
介護タクシーは、一般的なタクシーのような移動手段としての利用ができません。
介護タクシーは、訪問介護における「通院等乗降介助」を担う福祉車両であり、介助と移動がセットになった介護保険サービスだからです。
担当のケアマネージャーに相談をしたうえで、乗降時の介助をふくめたサービスが必要な旨をケアプランに記載してもらう必要があります。
②原則として家族は同乗できない
原則として家族は同乗できない点にも注意しましょう。
通院等乗降介助は、家族が付き添えない状態で外出時の介助を必要としている人のためのサービスだからです。
③運転手に病院内の介助はしてもらえない
介護タクシーの運転手は、病院内の介助ができません。
介護タクシーの運転手は、介護関連の資格を所持しているため、乗降時や目的地までの移動における介助が可能です。
ただし、病院内は基本的に看護師をはじめとする医療機関のスタッフが介助にあたります。
認知機能の低下が見られたり、排泄における介助が必要だったりする場合は、例外として運転手が病院内の介助を担うケースもあります。
介護タクシーを利用するまでの流れ
介護タクシーを利用するまでの流れは、以下を参考にしてください。
- 1. 要介護認定で要介護1〜5と認められる
- 2. 担当のケアマネージャーにケアプランの作成を依頼する
- 3. ケアプランに「通院等乗降介助が必要」と記載してもらう
- 4. 介護タクシー業者を紹介してもらう
まずは自治体や地域包括支援センターで要介護認定の申請をして、要介護1〜5と認められるための手続きを行ってください。
認定後、ケアマネージャーに相談しつつ、通院等乗降介助が必要な旨を記載したケアプランを作成してもらいましょう。
介護タクシーで介護保険が適用されるには条件を満たす必要がある
介護タクシーの利用料金に介護保険を適用するためには、要介護1〜5と認定されていて、ケアプランに通院等乗降介助が必要な旨が記載されていなければなりません。
また、家族の付き添いができず、ひとりで公共交通機関を利用できない場合など、一定の条件を満たす必要があります。
まずは、担当のケアマネージャーに相談し、介護タクシーを利用できるか確認しましょう。
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