親に高齢者施設への入居を勧めたら、「入りたくない」と断られてしまったというケースは決して少なくありません。
できれば本人の意思を尊重してあげたいと思う一方、介護に負担を感じている場合などは、施設への入居を考えざるを得ないということもあるでしょう。
親に施設への入居を承諾してもらうためには、入りたくない理由を把握したうえで説得に当たる必要があります。
今回は「親が施設への入居を拒む理由」や、「説得するときのポイントと注意点」をご紹介します。
親が高齢者施設に入りたくない理由
親が高齢者施設への入居を拒む理由はいろいろありますが、ここではよくある理由を「7つ」ピックアップしてご紹介します。
1. 住み慣れた自宅を離れたくないから
高齢者施設に入居すると、長年住み慣れた家を離れて生活することになります。
高齢になるほど、新しい環境に順応するのは難しくなると言われており、慣れない環境で他人と暮らすことに躊躇する高齢者は多いようです。
2. 他人との生活にストレスを感じるから
高齢者施設に入居した場合、その施設にいるスタッフや、他の入居者と共同生活を送ることになります。
これまで面識のなかった他人に囲まれて暮らすことに、少なからずストレスを感じる方は多いようです。
また、家族以外の他人に身の回りの世話や支援をしてもらうことに抵抗を覚える高齢者もいます。
3. 自由な生活を奪われるから
高齢者施設では集団生活を送るため、食事や入浴、就寝の時間など、生活のスケジュールがある程度決まっています。
自宅にいるときのように、好きなときに食事や入浴、就寝できるとは限らないため、高齢者施設は窮屈と感じる方も少なくないようです。
また、高齢者施設では入居者の安全のため、外出や外泊に一定のルールを設けています。
事前に申請すれば、自由に外出や外泊を行って良いとする施設が多いようです。
しかし、自宅に比べればいくつか制限もあるため、自由を奪われたくないと考える方もいるでしょう。
4. 金銭的な負担が大きいから
高齢者施設に入居すると、「入居一時金」や保証金といった「初期費用」や、賃料・食費・光熱費・介護サービス費といった「月額費用」が発生します。
費用は施設によって差がありますが、サービスや設備が充実している施設や、要介護者の受け入れに対応している施設は費用が割高に設定されている傾向にあります。
高齢者施設の入居費用を、入居する高齢者自身が負担するか、あるいは家族が負担するかは家庭の事情によって異なりますが、いずれの場合も「お金がかかるから入りたくない」と考えて入居を拒む方もいます。
5. 自宅で十分な介護を受けられるから
家族と同居しており、自宅で十分な介護を受けられている場合、わざわざ高齢者施設に入らなくても良いと考える人もいます。
また、介護は身内がやるのが当たり前と思っている場合は、高齢者施設そのものの存在に必要性を感じていないケースもあります。
6. 高齢者施設をよく知らず、不安があるから
高齢者施設についてよく知らない方の中には、漠然とネガティブなイメージを抱いている方もいます。
たとえば、「自由に外出、外泊できない」「好きなものを食べられない」など。
高齢者施設は長期間入居することを前提とした施設なので、内情をよく知らないまま入居することに不安や恐れを感じている可能性もあります。
7. 家族から見放されたように感じるから
高齢者施設への入居を家族から勧められると、「自分の世話をするのが嫌なんだ」「厄介払いをしたいんだ」とネガティブな感情を抱く方もいます。
家族から見放されることを恐れ、高齢者施設への入居を頑なに拒む方も多くいます。
高齢者施設に入りたくない親を説得するときのポイント
高齢者施設への入居を拒む親を説得する際、押さえておきたいポイントを「4つ」ご紹介します。
1. 入りたくない理由を聞く
最も大切なのは、なぜ高齢者施設に入りたくないのか、その理由をきちんと聞くことです。
上記で高齢者施設に入りたくない主な理由をいくつかご紹介しましたが、実際の理由は本人に尋ねてみないとわかりません。
入りたくないと拒むのには必ず理由があるはずですので、まずは根気よく、入所したくない理由を尋ねてみましょう。
その際、「どうして嫌なの?」「理由を言って」などと畳みかけるように質問すると、かえって心を閉ざしてしまう可能性があります。
じっくり時間をかけて、なぜ施設への入居を拒むのか、どんな点に不安や抵抗を感じているのか、少しずつ聞き出していきましょう。
2. 親の幸せを願っていることを伝える
親に高齢者施設への入居を勧める理由は人それぞれですが、何よりもまず、親の幸せを願っていることを率先して伝えるようにしましょう。
「自分のことが邪魔だから」「施設に入れて楽したいから」と思い込まれてしまうと、どんな話にも耳を傾けてもらえなくなります。
頑なな心をほぐすためにも、家族として親の幸せを願っていることや、たとえ離れて生活することになってもその気持ちは変わらないことなどを根気よく伝えていきましょう。
3. 高齢者施設への理解を深めてもらう
高齢者施設について、漠然と不安やネガティブなイメージを抱いているうちは、何を言っても入居を拒まれてしまいがちです。
親の不安や疑問を払拭するためにも、高齢者施設についてよく調べ、どんな施設なのか、どのようなサービスを提供しているのか、など正しい知識を入手しておきましょう。
そのうえで、親に高齢者施設の説明を行えば、ネガティブなイメージが払拭され、入居に前向きになってもらえるかもしれません。
4. 専門家の力を借りる
家族からの話や意見に耳を傾けてもらえない場合は、専門家に間に入ってもらうのも一つの方法です。
たとえば、担当のケアマネジャーなど、介護の専門家に間に入ってもらえば、家族にはなかなか打ち明けられない心情を話す気になるかもしれません。
専門家ならではの説明やアドバイスも提供できるため、家族の説得よりも受け入れてもらいやすいでしょう。
また、経済的な不安から入居を拒んでいる場合も、担当者から入居費用や月額費用の具体的な説明を受ければ、安心してもらえる可能性があります。
高齢者施設に入りたくない親を説得するときの注意点
高齢者施設への入居を拒む親を説得する際、とくに気を付けたいのが「感情的にならないこと」です。
入居を拒む理由をなかなか言わない、説明しようとしても聞いてくれないなどのやり取りが重なると、だんだんストレスが溜まってきて、つい感情的に話してしまいがちです。
場合によっては喧嘩に発展してしまい、親との関係にひびが入ってしまう可能性があります。
そうなるとますます説得が難しくなってしまうので、説得する際は努めて冷静に、落ち着いて話し合うようにしましょう。
感情的になりそうなときは、一旦話を打ち切り、日を改めて説得に当たったほうがよい場合もあります。
【まとめ】高齢者施設への入居を拒む親は、時間をかけて説得しよう
親が高齢者施設への入居を拒む理由はそれぞれで、住み慣れた家を離れたくないと考えている人もいれば、金銭的な理由で躊躇している方もいます。
まずは、なぜ親が施設への入居を嫌がっているのか、その理由をきちんと聞き出すところから始めましょう。
そのうえで、高齢者施設に関する正しい知識や情報を伝え、どんなときでも家族は親のことを想っていることなどをきちんと話し、少しずつ態度を軟化させることが大切です。
高齢者施設の設備やサービス内容は施設によって異なるので、あらかじめ資料を取り寄せるなどして正しい知識を得ておくことをおすすめします。
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