親が高齢になったら、将来の老後生活に備えて、さまざまな準備をする必要があります。介護や入院、葬儀や遺産相続など、やるべきことをリスト化し、早い段階から準備を進めておくことが大切です。親が元気なうちに、少しずつ必要な準備を進めましょう。
本記事では、高齢の親のために準備しておきたいことや、高齢の親とストレスなく付き合うポイントを分かりやすく解説します。
親が高齢になったらさまざまな準備が必要
親が高齢になったら、さまざまな準備が必要です。近年は男女ともに平均寿命が延び、老後生活の期間が長くなりました。内閣府の令和4年高齢社会白書によると、日本人の平均寿命は男性81.56年、女性87.71年であり、2045年には女性の平均寿命が90年を超えるといわれています。[注1]
それにともない、親の長い老後生活を支える子どもの負担が増加しました。将来、親の健康状態が悪化し、要介護または要支援の認定を受けた場合、親の介護についても考えなければなりません。
内閣府によると、65歳以上の高齢者の要介護者等数は増加傾向にあります。特に75歳以上の高齢者の場合、要介護の認定を受ける人の割合が急上昇し、およそ5人に1人が介護が必要な状態です。[注2]
65~74歳 | 75歳以上 | ||
要支援 | 要介護 | 要支援 | 要介護 |
234人 (1.4%) |
493人 (2.9%) |
1,613人 (8.8%) |
4,219人 (23.1%) |
また、親が死亡した場合、親の葬儀や、親が所有する不動産(持ち家など)の整理、遺産相続の手続きなど、子どもがさまざまな手配をしなければなりません。親が亡くなってからではなく、親がまだ元気なうちに準備を進めておくことが大切です。
[注1] 内閣府「令和4年高齢社会白書(第1章 高齢化の状況(第1節 1))」
[注2] 内閣府「令和4年高齢社会白書(第1章 高齢化の状況(第2節 2))」
高齢の親のために準備しておきたい10のこと
高齢の親のため、早い段階から準備しておきたいことは10項目あつあります。
- 親の健康状態を確認する
- 要介護認定の申請をする
- 介護の役割分担を決める
- 介護施設の情報を収集する
- 親の連絡先を整理する
- 看取りの場所を相談する
- お墓や葬儀についての意向を確認する
- 不動産の整理方法を相談する
- 老後資金の準備をする
- 遺産相続の準備をする
お墓や葬儀、遺産相続など、デリケートな問題もあるため、少しずつ必要な手続きを進めることが大切です。
1. 親の健康状態を確認する
まずは親の健康状態をこまめに確認しておくことが大切です。将来、認知症などに罹って意思疎通が難しくなった場合に、既往歴、アレルギーの有無、かかりつけ医の所見などの情報が役に立ちます。また、健康保険証やおくすり手帳など、病院を受診する際に必要なものをまとめて管理しておきましょう。
2. 要介護認定の申請をする
親の健康状態が悪化し、支援や介護が必要な場合、公的介護保険を利用すると介護サービスの費用負担を軽減できます。ただし、公的介護保険を利用するには、あらかじめ市区町村の窓口か、地域包括支援センターにおいて、要介護認定の申請をする必要があります。申請手続きは家族などの代理人が行うこともできるため、早めに申請を済ませましょう。
3. 介護の役割分担を決める
同居している親が要支援または要介護の認定を受けたら、家族で介護を行う必要があります。兄弟姉妹がいる方は、あらかじめ介護の役割分担を話し合っておくとスムーズです。
4. 介護施設の情報を収集する
将来、介護サービスを利用するときに備えて、近隣の介護施設の情報を収集しておきましょう。介護施設には、在宅介護サービスと施設介護サービスの2種類があるため、親の希望も聞きながら、介護の方針を決めておくことが大切です。お住まいの地域の地域包括支援センターに相談すれば、ケアマネジャーから希望にあった介護施設の情報を教えてもらえます。
5. 親の連絡先を整理する
親が高齢になり、健康状態が悪化すると、亡くなった後の葬儀のことを考える必要があります。しかし、葬儀に関することはデリケートな話題のため、なかなか親に切り出しにくいという人もいるかもしれません。その場合は、話し合いやすいことから準備を進めましょう。
親の葬儀を行う場合、親類や知人などの関係者に連絡し、弔問に対応する必要があります。そのため、あらかじめ親の連絡先を整理しておくとスムーズです。また、親の連絡先をまとめておけば、遺産相続の手続きを進めるときにも役立ちます。
6. 看取りの場所を相談する
介護施設についての希望だけでなく、終末期にどんな場所で過ごしたいかについてもヒアリングしましょう。人によって、病院で最期を迎えたいケースもあれば、慣れ親しんだ我が家で最期を迎えたいケースもあります。また、延命治療が必要な状態になったとき、死期を引き伸ばすのではなく、人間らしい尊厳死を望むかどうかも相談しておくとスムーズです。最近は、終末期の過ごし方を考える「終活」が注目を集めています。エンディングノートなど、終活に関するさまざまな情報を整理するツールもあるため、最期の過ごし方について家族で話し合っておくことをおすすめします。
7. お墓や葬儀についての意向を確認する
人によっては、普段から付き合いのある寺社があったり、希望する霊園があったりする場合があります。親が認知症などにかかり、判断能力が低下する前に、お墓や葬儀についての意向を確認しておくことが大切です。また、葬儀の際にどのような人を呼びたいのかについても、親が元気なうちに話し合っておきましょう。
8. 不動産の整理方法を相談する
親が亡くなったら、実家の持ち家などの不動産を整理しなければなりません。持ち家の整理方法は、大きく分けて4つあります。
- 子どもが持ち家を引き継いで、そのまま生活する
- 不動産会社などに売却する
- リフォームやリノベーションを行い、賃貸物件にする
- 更地にして、別の建物や施設を建てる
不動産の整理方法も、親の希望が強く反映される点の一つです。不動産をどのような方法で整理するのか、子どもに引き継ぐ場合は兄弟姉妹の誰が引き継ぐのか、のちのちトラブルに発展する前に話し合っておくことが大切です。
9. 老後資金の準備をする
親が健やかな老後生活を送るため、少しずつ老後資金を準備していく必要があります。まずは親本人の資産を整理し、介護費用などを工面できるほどの蓄えがあるか確認しましょう。
- 十分な現金や預貯金があるか
- 株や不動産などの資産はあるか
- どのような保険に加入しているか
介護が必要になった場合は、介護保険から給付が受けられますが、要介護度や本人の収入によって支給額が変わります。あらかじめ現金や預貯金、その他の資産を確認し、老後資金が足りているか確認することが大切です。
10. 遺産相続の準備をする
親が亡くなったら、遺産相続の手続きをしなければなりません。手続きに必要なものを確認し、親が亡くなる前に相続の準備をしておきましょう。確認が必要なのは、以下の5つの項目です。
- 実印や銀行印、マイナンバーカードの場所
- 保険証、年金手帳、本人確認書類の場所
- 車検証などの場所(自動車の名義変更のため)
- 保険に関する書類一式(保険金の受け取りのため)
- 住宅に関する書類一式(登記変更のため)
高齢の親とストレスなく付き合うポイント
親が高齢になると、介護疲れや生活リズムの違いなど、ストレスがたまる場面も出てくるかもしれません。高齢の親との付き合い方に困ったら、お住まいの地域の地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所に相談してみましょう。地域包括支援センターは、社会福祉士やケアマネジャーが所属し、高齢者の生活に関する助言や指導を行っている機関です。高齢の親との生活について、専門家の立場からアドバイスしてくれます。
また、同居以外の選択肢を準備しておくことも大切です。最近は高齢者向けの見守りサービスや、バリアフリー化されたサービス付き高齢者向け住宅など、高齢者が安心して暮らせる環境が整ってきました。高齢の親とのすれ違いが解消できない場合は、我慢してストレスを溜め込むのではなく、同居以外の道も検討しましょう。
【まとめ】高齢の親はサポートが必要!10の準備で快適な老後生活を
高齢の親は、介護や健康状態の管理など、さまざまなサポートが必要です。また、親が亡くなった場合、葬儀や遺産相続などの問題も考える必要があります。本記事では、親の老後生活に向けて、家族がやっておきたいことを81つ0項目ピックアップしました。親がまだ元気なうちから、少しずつ準備を進めておきましょう。
また、介護施設を探す際には「あなたらしく」を活用してみましょう。自宅のスマートフォンやパソコンから手軽に探すことができ、条件に合った介護施設を探すことができます。