親が高齢になると、将来の介護に向けた準備や役割分担が必要になります。
内閣府の令和4年版高齢社会白書によると、75歳以上で要介護の認定を受けた方の割合は23.1%です。
[注1]65~74歳の前期高齢者の方でも、脳血管疾患、心疾患、認知症、骨折や転倒など、さまざまな原因で介護が必要になることがあります。
本記事では、「高齢者の親の介護が必要になる原因」や「その対策」について、統計データを元に解説します。
高齢者の親に介護が必要になる原因
高齢者の親の介護が必要になる主な原因は、大きく分けて「6つ」あります。[注1]
総数 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
認知症 | 18.1% | 14.4% | 19.9% |
脳血管疾患(脳卒中) | 15.0% | 24.5% | 10.3% |
高齢による衰弱 | 13.3% | 11.3% | 14.3% |
骨折・転倒 | 13.0% | 5.3% | 16.5% |
関節疾患 | 11.0% | 4.6% | 14.2% |
心疾患(心臓病) | 4.7% | 6.3% | 3.9% |
統計データによると、要介護状態になった原因として最も多いのが、「認知症(18.1%)」です。
ここでは、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱(フレイル)、骨折・転倒の4つの原因を取り上げ、高齢の親に及ぼす影響について詳しく説明します。
1. 認知症
認知症は、脳の働きが徐々に低下し、日常生活に支障を来す病気です。
加齢によるもの忘れと違って、もの忘れの自覚そのものがなく、記憶全体が欠落してしまう点に特徴があります。
65歳以上の要介護者と対象とした統計では、認知症は介護が必要になった原因の第1位を占めています。
男女別に見ると、男性の割合は14.4%、女性の割合は19.9%です。
女性の場合、5人に1人が認知症が原因で要介護状態になっていることが分かります。[注1]
2. 脳血管疾患(脳卒中)
脳血管疾患は、要介護状態になる原因の全体第2位を占める病気です。
脳血管疾患とは、いわゆる脳卒中のことで、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つの病気が当てはまります。
いずれも食生活などの生活習慣が発症リスクを高めるといわれており、高血圧や糖尿病などの持病がある方は要注意です。
3. 高齢による衰弱
高齢による衰弱(フレイル)は、加齢に伴う体の衰えのことで、健康な状態と要介護状態の中間的な段階だといわれています。
体重が急激に減少した方や、気力の衰えを感じる方、歩いたり物を握ったりする力が弱くなった方は、フレイルに該当する可能性があります。
フレイルは、適度な食事・運動・コミュニケーションによって、予防したり発症を遅らせたりすることが可能です。
フレイルを放置すると、そのまま要介護状態になってしまう可能性が高いため、親の健康状態を定期的にチェックしましょう。
4. 骨折・転倒
骨折・転倒も、要介護状態になってしまう原因の一つです。
高齢になると認知機能や注意力が低下し、ちょっとしたことで転倒しやすくなってしまいます。
また、高齢者は骨密度が減少しているため、転倒した際に骨折するリスクも高くなります。
高齢の親と同居している場合は、手すりの設置や段差の解消など、バリアフリーリフォームを行うことで骨折・転倒を防止できます。
高齢者の親の介護をするときのポイント
高齢者の親の介護をするときのポイントは「2つ」あります。
- 親の介護の役割分担を決めておく
- 親自身の希望をヒアリングしておく
1. 親の介護の役割分担を決めておく
親の介護が必要になったときに備えて、他の家族と「誰が」「どのくらい」介護を担当するのかを相談しておきましょう。
親が大切でも、家族にはそれぞれ自分の生活があります。
仕事や家庭の事情、居住地などによって、親の介護に従事できない人もいるかもしれません。
親の介護に直接関わることができない場合は、介護費用の一部を負担する方法もあります。
あらかじめ親の介護の役割分担を決めておけば、親が高齢化してもスムーズに支えることが可能です。
2. 親自身の希望をヒアリングしておく
親がまだ元気なうちに、将来の介護についての希望をヒアリングしておくことも大切です。
少なくとも、住み慣れた家で介護を受ける「在宅介護」か、老人ホームなどの高齢者施設に入所する「施設介護」のどちらが良いかを聞いておきましょう。
親が在宅介護を希望する場合は、介護を担う家族の役割分担や、高齢の親が住みやすくするためのバリアフリーリフォームなどの準備が必要です。
また、施設介護を希望する場合も、終の棲家となる老人ホーム探しや、入居費用などの資金準備が必要になります。
親自身の希望をヒアリングしておけば、早い段階から介護の準備を進めることが可能です。
親の介護を自分でするのが難しいときの対策
親が亡くなるまで、介護に終わりはありません。
親の介護を自分でするのが難しい場合は、在宅介護ではなく、「施設介護」を利用することも検討しましょう。
また、親が認知症にかかった場合は、手厚い認知症ケアを受けられる「グループホーム」の利用もおすすめです。
親を自分で介護する以外の選択肢を「2つ」紹介します。
在宅介護から施設介護に切り替える
親の要介護度が上がると、日常生活の介助や24時間の見守りが必要になり、家族の負担も大きくなります。
親の介護を自分でするのが難しくなったら、在宅介護から施設介護に切り替えるのも一つの方法です。
高齢者施設には、要介護5まで受け入れ可能な「介護付き老人ホーム」や、民間施設よりもサービス費が安い「特別養護老人ホーム(特養)」など、さまざまな種類があります。
施設によっては、数カ月から数年の入所待ちが発生するため、なるべく早く申し込み手続きを行いましょう。
認知症が悪化したらグループホームを利用する
親の認知症が悪化した場合は、判断力や記憶力などの認知機能が低下し、介護者とのすれ違いが多くなります。
認知症の親の介護に疲弊してしまった場合は、認知症ケアが充実したグループホームを利用しましょう。
グループホームなら、認知機能を維持するための機能訓練を受けられる他、認知症患者に特有の症状にも対応してもらえます。
【まとめ】高齢の親の介護が必要になる原因を知り、事前に対策を
高齢の親は、「認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患、心疾患」などの原因により、急に介護が必要になる場合があります。
親の介護が必要になる主な原因を知り、事前に対策をしましょう。
また、親の介護を自分でするのが難しい場合は、在宅介護から「施設介護」に切り替えることをおすすめします。
特に親の認知症が悪化した場合は、「グループホーム」などの認知症ケアを受けられる施設の利用がおすすめです。
老人ホーム探しを始めるのなら、「あなたらしく」のご利用がおすすめです。