軽費老人ホームは、生活に課題を抱える高齢者の生活を支えることを目的とした福祉施設の一種です。
軽費老人ホームと一言にいっても、その種類は多岐にわたっており、それぞれ特徴に違いがあります。
そのため、入所を検討する際は種類ごとの特徴を十分理解した上で、利用者のニーズに適したところを選びましょう。
本記事では軽費老人ホームの入所を検討している方向けに、軽費老人ホームの基礎知識や種類別の特徴、受けられるサービスについて解説します。
軽費老人ホームとは?
軽費老人ホームとは、何らかの事情によって自宅で生活することが困難な高齢者を入所させ、無料または低額の料金で日常生活に必要なサービスを提供する施設のことです。
「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」に基づいて運営されており、入所者の意思および人格を尊重し、常に利用者の立場に立ってサービスの提供を行うよう努めることが義務づけられています。
また、軽費老人ホームは地域や家庭との結び付きを重視することも重要とされており、市町村や老人福祉の騒人を目的とした事業者、保健医療サービス事業者、福祉サービス事業者などと密接な連携に努め、適切なサービスの提供を行うことが求められています。
軽費老人ホームへの入所条件
軽費老人ホームの入所条件は、前述した軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準第十三条により、以下「2つの要件」を満たしていることが前提です。
- 1.身体機能の低下などによって自立した日常生活を営むことに不安があると認められる者であり、かつ家族による援助を受けることが困難である者
- 2.60歳以上の者
2については、その人の配偶者や三親等内の親族、その他特別な事情によって、その人と一緒に入所させることが必要と認められる場合は、60歳未満であっても入所が可能です。
上記の要件を満たす場合、利用希望者本人と軽費老人ホームとの間で契約を結ぶことによって入居することができます。
直接申し込む場合は本人またはその家族が希望する施設に問い合わせ、手続きを進めることになります。
一方、自治体や保険者、地域包括支援センター等が必要と判断して入所を打診する場合、これらの団体が軽費老人ホームに照会してくれるため、より柔軟な対応が可能です。
なお、家族から虐待を受けている、あるいは経済的に困窮しているなど特別な理由があって養護が必要と判断される高齢者については、自治体や保険者間にて費用の徴収や支援体制を調整する仕組みになっています。
要介護・認知症への対応
軽費老人ホームの利用者は原則として、要介護度や精神的な症状が比較的軽い高齢者となります。
そのため、要介護度の高い人や、認知症の人の入所は困難です。
ただし、施設の種類によっては要支援・要介護の方や、認知症の方でも入居可能な場合があります。
施設によって対応の範囲は大きく異なるため、要支援や要介護、認知症の方が入所する場合は、事前に施設へ問い合わせを行いましょう。
【種類別】軽費老人ホームの特徴
軽費老人ホームの種類は、大きく分けて「4つ」あります。
- 軽費老人ホームA型
- 軽費老人ホームB型
- ケアハウス(一般型)
- ケアハウス(介護型)
これらは同じ軽費老人ホームに分類されますが、種類によって入所条件や受け入れ体制、提供するサービスなどに大きな違いがあるため注意が必要です。
ここではそれぞれの種類ごとの特徴をまとめました。
軽費老人ホームA型
軽費老人ホームA型とは、高齢等の理由で独立して生活することに不安があると認められる高齢者に、無料または低額な料金で入居してもらい、社会生活上および日常生活上必要な便宜を行う施設のことです。
食事の提供や入浴等の準備、社会生活や日常生活上で生じた悩みの相談および援助、健康管理といったサービスが主で、介護サービスは基本的に提供していません。
そのため、入居者の多くは自立して生活できる方に限られますが、外部の介護サービスを利用することは可能であるため、施設によっては要支援者や要介護者が入居しているケースも見られます。
なお、施設には生活相談員や介護・看護スタッフ、栄養士などを入居者の数に応じて配置することが義務づけられています。
軽費老人ホームA型の入居時にかかる費用の相場は「0~30万円」、月額料金の目安は「6万円~17万円」です。
軽費老人ホームB型
軽費老人ホームB型は、身体機能等の低下などが認められる人や、高齢等のために独立して生活することに不安が認められる人に入所してもらい、社会生活上および日常生活上必要な便宜を提供する施設のことです。
A型と同じく、入浴等の準備や各種相談・援助などのサービスを提供しますが、食事の提供は原則として行われないため、入居者は自炊できることが前提となります。
そのため、生活相談員や介護・看護スタッフ、栄養士といった専門スタッフの配置は義務づけられていません。
外部の介護サービスを利用できるため、要支援者や要介護者でも入居は可能ですが、入居者の大半は要支援・要介護以外の人で占められています。
入居時にかかる費用の相場は「0~30万円」と、ほぼA型と同じですが、食事の提供がないぶん、月額費用の目安は「3万円~5万円」程度と比較的安くなっています。
ケアハウス(一般型)
ケアハウス(一般型)とは、身体機能の低下などによって自立した日常生活を送ることに不安があると認められる人で、かつ家族による援助を受けることが難しい人が入居する施設です。
軽費老人ホームA型・B型に対し、C型と呼ばれることもありますが、ケアハウスという呼称を用いられるのが一般的です。
受けられるサービスはA型と同じですが、家族による援助を期待できないぶん、生活相談員や介護・看護スタッフの配置数はA型よりも多めに設定されています。
そのぶん、利用料金はやや高めに設定されているケースが多く、入居時にかかる費用の相場は「0~30万円」、月額費用の目安は「7万円~16万円」程度です。
ケアハウス(介護型)
ケアハウス(介護型)は、ケアハウスのうち、介護保険法で定められた特定施設入居者生活介護の指定を受けて運営されている施設のことです。
ケアハウス(一般型)で提供されるサービスに加え、入居者に対し、あらかじめ策定したケアプランに基づいた介護サービス(食事や入浴、排泄等の介護)を行うところが特徴です。
その性質上、入居者のほとんどは要支援者・要介護者で占められており、自立した日常生活を送ることが困難な認知症高齢者の受け入れを行っているところも少なくありません。
そのぶん、生活相談員や介護・看護スタッフといった専門スタッフの配置基準も厳しく、特に介護・看護スタッフは入居者3人に対し1人の割合で設置することが義務づけられています。
さらに、他のタイプでは義務化されていない機能訓練指導員や、ケアプランの作成担当者を1人以上置くところも大きな特徴です。
手厚いサービスを受けられるぶん、入居時および月額料金は軽費老人ホームの中で最も高く、入居時にかかる費用が「数十万円~数百万円」に上るケースもある他、月額料金の目安も「6万円~20万円」程度とされています。
軽費老人ホームで受けられるサービス
軽費老人ホームで受けられるサービスは種類や施設によって異なりますが、基本的なサービスには以下のようなものがあります。
- 1.食事の提供
- 2.介護サービス(ケアハウス介護型のみ)
- 3.生活支援サービス
- 4.健康管理サービス
- 5.レクリエーション・アクティビティ
- 6.緊急対応
3の生活支援サービスとは、掃除や洗濯、買い物の代行など、入居者の日常生活をお手伝いするサービスです。
5のレクリエーション・アクティビティは、入居者が施設で楽しい時間を過ごせるよう、軽い運動をしたり、クイズやゲームをしたりする活動のことです。
6の緊急対応は、入居者が急な体調不良を起こした際に応急処置を施したり、救急車を手配したりするサービスを指します。
なお、具体的なサービス内容は施設によって異なるため、サービスにこだわる場合は施設ごとの特徴をしっかり把握し、慎重に比較検討することがおすすめです。
老人ホーム検索サイト「あなたらしく」では、老人ホーム探しのプロが、一人ひとりのニーズをしっかりヒアリングした上で、適切な施設探しをお手伝いします。
サポートサービスは完全無料、地域密着型サービスならではのきめ細かなサービスで効率的な施設探しを実現いたしますので、自分や家族の希望にぴったりの軽費老人ホームをお探しの方は、ぜひ「あなたらしく」のサービスをご利用ください。