介護老人保健施設に悩んだときには、区分に着目して選ぶのがおすすめです。
介護老人保健施設(老健)の中でも、在宅復帰や在宅療養支援機能が高いと認められた施設は超強化型老健と呼ばれます。
超強化型老健を選べば、質の高い介護ケアを受けられたり、在宅復帰が早まったりする可能性があるでしょう。
この記事では、「超強化型老健の特徴」や、「介護老人保健施設の区分」について解説していきます。
超強化型老健とは高水準のケアを提供している施設のこと
老健の区分は、平成30年の介護保険法改正によって細かく定められました。
その中でも高い水準で運営されているのが、超強化型老健と呼ばれる施設です。
超強化型老健に区分される施設は、以下の「5つ」の算定条件を全て一定水準以上で満たしているのが特徴的です。
在宅復帰・在宅療養支援等指標
在宅復帰・在宅療養支援等指標とは、在宅復帰や在宅療養をサポートするために評価の指標です。
高齢者や介護を必要とする方の自宅復帰のためには、さまざまなケアが必要です。
超強化型老健は、以下のような指標を基に、質の高いケアを提供しています。
- 在宅復帰率
- ベッド回転率
- 入所前後訪問指導割合
- 退所前後訪問指導割合
- 居宅サービスの実施数
- リハ専門職の配置割合
- 支援相談員の配置割合
- 要介護4又は5の割合
- 喀痰吸引の実施割合
- 経管栄養の実施割合
上記の10項目、それぞれの実績に応じて点数を算出。
「合計70点以上」であることが、超強化型老健の条件の一つです。
例えば、在宅復帰率が30%以下だと0点、30%超50%未満であれば10点、50%超だと20点です。
その他の項目についても、割合が大きければ大きいほど、点数は高くなります。
つまり、在宅復帰・在宅療養支援等指標点数は、介護やケアの水準の高さを示していると言えるでしょう。
リハビリテーションマネジメント
リハビリテーションマネジメントとは、計画的にリハビリテーションを行い、その評価を続けることを指します。
退去後に自立した日常生活を送るためには、心身機能の維持や回復のための訓練が必須です。
そのため、超強化型老健では、在宅復帰や在宅療養に向けてのリハビリテーションを積極的に提供しています。
作業療法士や理学療法士をはじめとしたプロが適切なリハビリテーションを提供している施設は、「超強化型老健」と見なされます。
対処時指導等
入居者が施設を出る際には、超強化型老健では丁寧な療養上の指導を行います。
また、対処後にも状況確認を行い、問題が起きていないかを記録しなければなりません。
超強化型老健では基本的には、要介護4、5の方の場合は2週間以内、それ以外の場合は30日以内に居宅を訪問します。
加えて、居宅介護支援事業者からの状況提供を受け、在宅での生活が継続する見込みであることを確認するのも、超強化型老健の役割です。
地域貢献活動
超強化型老健は、入居者と地域住民との交流を促し、地域貢献のために活動を実施する役割が求められます。
具体的な活動としては、地域のお祭りなどのイベントへの参加、地域清掃活動の実施などが挙げられます。
また、認知症カフェや健康教室などを開講する施設も少なくありません。
このような活動を積極的に実施していることが、超強化型老健と見なされるための条件となっています。
充実したリハビリテーション
充実したリハビリテーションを提供していることも、超強化型老健の条件の一つです。
具体的には週3回、20分以上の「個別リハビリテーション」が実施されます。
他にもある?超強化型老健以外の介護老人保健施設
厚生労働省は介護老人保健施設の区分を以下の5段階に定めています。
- 超強化型老健
- 強化型老健(在宅強化型老健)
- 加算型老健
- 基準型老健
- その他の老健
ここまでは超強化型老健の特徴や基準について紹介してきました。
ここからは、「超強化型老健以外の老健の特徴」をそれぞれ、詳しくみていきましょう。
強化型老健(在宅強化型老健)
強化型老健(在宅強化型老健)は、超強化型老健よりも1段階低い区分の施設です。
とは言え、在宅復帰・在宅療養支援等指標は60以上と高いため、早急に在宅復帰できる可能性は充分に見込めます。
また、充実したリハビリテーションの提供などの条件も必須となっています。
加算型老健
加算型老健は、在宅復帰・在宅療養支援等指標の点数が40点以上の施設です。
指標点数に加えて、退所時指導やリハビリテーションマネジメント、地域貢献活動なども一定以上提供する必要があります。
基本型老健
基本型老健の在宅復帰・在宅療養支援等指標は20以上に設定されています。
また、退所時指導とリハビリテーションの要件もクリアしている必要があります。
その他の老健
上記の4区分に当てはまらない介護老人保健施設は、「その他」のくくりになります。
指標点数は20点以下となっており、必須要件を満たしている必要もありません。
介護老人保健施設については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
『介護老人保健施設の特徴・費用・入居条件をまとめて解説』
⇒ ご参照ください。
超強化型老健を利用するメリット
介護老人保健施設を選ぶ際には、近隣に超強化型老健がないかをチェックしてみましょう。
超強化型老健を選んで入所することには、以下のような「多くのメリット」が見込めます。
在宅復帰率が高い
超強化型老健を選ぶ大きなメリットは、在宅復帰率が高い点です。
超強化型老健に限らず、全ての老健は終身利用を目的とした施設ではないため、心身の状態が回復したと見なされれば退所が認められます。
しかし、実際にはリハビリテーションがうまく進まず、状況が改善しないまま、施設側から退所を促されることもあるでしょう。
このような状況に陥ると、在宅での生活に支障が生じ、介護するご家族にも大きな負担がかかります。
超強化型老健は手厚いリハビリや治療後のケア、質の高い介護を提供する施設です。
適切なケアを受けられれば、身体機能の回復や向上につながると考えられます。
従って、在宅復帰を目指したいと考えている方にとって、超強化型老健は魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。
費用がリーズナブルで使いやすい
老人ホームの入居に当たっては、まとまった費用が必要です。
民間の老人ホームの中には、初期費用が数百万円以上かかるところもあり、入居者やそのご家族にとっては、費用負担が大きいと感じるかもしれません。
公的施設である超強化型老健を選べば、比較的リーズナブルに入居できます。
老健の費用内訳は介護サービス費や居住費、食費や日用品費となっており、毎月定額で利用できるようになっているケースも多いようです。
ただし、超強化型老健の費用形態は施設によって異なるため、入居前には費用を十分に確認しておきましょう。
質の高いケアを受けられる
超強化型老健と認められるのは、老健の中でも高い基準をクリアしている施設に限られます。
そのため、超強化型老健は介護の質がある程度安定しやすいでしょう。
厳しい基準をクリアしている超強化型老健は、介護報酬も他の施設と比べて高い傾向です。
そのため、超強化型老健は介護職員の給与水準が高く、優秀なスタッフも集まりやすいと考えられます。
ケアの質の高さや、スタッフの配置などを重視したい方は、超強化型老健への入居を検討すると良いでしょう。
介護老人保健施設を近隣でお探しなら、「あなたらしく」をご活用ください。