老人ホームに入居している家族に宛てて、手紙を送りたいと考える方は多いでしょう。
ただ、老人ホームは他の入居者も一緒に過ごしている場所なので、「特定の個人宛に手紙を送ってもいいのかな?」と悩む方は少なくありません。
そこで今回は、老人ホームへ手紙を送ることは可能かどうか、入居者に手紙を送るときのポイントについて解説します。
入居者宛の手紙の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
老人ホームへ手紙を送ることは可能?
老人ホームに入居している家族や知人宛に、手紙やはがきなどを送ることは可能です。
多くの老人ホームでは、施設宛てに届いた手紙を職員が宛名ごとに仕分けし、個別に手渡す仕組みになっています。
そのため、手紙やはがきの表面に施設の名前と宛名を明記すれば、老人ホームに入居している個人に手紙を届けられます。
なお、施設によってはマンションのように、個人用のポストが設置されているところもあるようです。
その場合、手紙やはがきは個人用のポストに直接投函されるため、職員の目に触れず、直接入居者に手紙が届きます。
プライバシーが気になる方は、個人用ポストが設置されている施設を選ぶとよいでしょう。
老人ホームの一般的な設備や共用設備について詳しく知りたい場合は、以下のページを参考にしてください。
『老人ホームにはどんな設備がある?チェックポイントを詳しく紹介』
⇒ ご参照ください。
老人ホームに手紙を転送することは可能?
では、老人ホームに入居したことを知らない友人・知人が自宅宛に手紙を送った場合、施設に転送することは可能なのでしょうか?
結論から言うと、一般的な引っ越しのケースと同じく、自宅から老人ホームへ手紙を転送することは可能です。
転送する際の手続きも引っ越しの場合と同様で、以下「3つ」のうちいずれかの方法で手続きを行えます。
- 1. インターネット上で申請
- 2. 郵便局の窓口で申請
- 3. 転居届をポストに投函
インターネットを利用して申請する場合は、本人確認書類と顔写真の他、郵便局が発行するゆうびんIDが必要です。
なお、2や3の方法なら本人ではなく、代理人が申請することも可能です。
入居者へ手紙を送るときのポイント
老人ホームの入居者に手紙を送る際に押さえておきたいポイントや、注意したい点を「5つ」ご紹介します。
宛名の書き方に注意
老人ホームの入居者に手紙を送るときは、前述の通り、施設名と宛名の両方を記載する必要があります。
具体的には、「◯◯(施設名)内 △△(手紙を送る相手)様」と記載しましょう。
施設名だけを記載すると、施設側への郵便物と誤解されてしまい、職員に開封されてしまうので要注意です。
重要な内容は電話でも伝える
老人ホームに届いた手紙は、速やかに仕分けされて入居者に手渡されますが、介護施設は人手不足が深刻化しているため、時には施設に届いてから個々に仕分けされるまでにタイムラグが発生することもあります。
そのため、「身内が病気で入院した」「予定していた訪問日を変更したい」など重要かつ緊急性の高い連絡は、手紙だけでなく電話でも伝えるようにしましょう。
入居者に喜んでもらえる内容にする
老人ホームに入居している方の多くは、施設の外から届く手紙をとても楽しみにしています。
そのため、読んで嫌な気持ちになる話題や悲しい話などはなるべく避け、入居者が興味・感心を持っている話題や、家族の話題などを綴るようにしましょう。
例えば、差出人本人や家族の近況、最近あったイベント(孫の入学や卒業など)の話題を取り入れれば、施設に入居している方に家族や友人の様子を伝えられます。
手紙に写真を添えたり、はがきにイラストを載せたりしても喜ばれるでしょう。
手紙は定期的に、かつ負担にならないペースで送るのがベスト
入所者への手紙は定期的に送るのが理想ですが、あまり頻繁に手紙を送ると返信に気を遣ってしまい、入所者の負担になってしまう恐れがあります。
手紙をやり取りする適切な頻度は人によって異なりますが、一つの目安として、誕生日や孫の運動会などのイベントがあったときや、年賀状・暑中見舞いを送る時期には忘れずに手紙やはがきを送る習慣を付けるのがおすすめです。
手紙に同封するものに注意
手紙を送るついでに、施設での日常生活に使える現金や商品券などを同封しようかな、と考える方もいるかもしれません。
しかし、日本では郵便法第17条において、現金または郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出す際は、書留の郵便物としなければならないという規定があります。[注1]
手紙に現金や商品券を同封すると郵便法違反となり、同法第84条の規定により、30万円以下の罰金に処される可能性があるので注意しましょう。[注1]
もし手紙と一緒に現金や商品券などを郵送したい場合は、手紙と現金を同封した上で現金書留を利用して送付しましょう。
入居者へ手紙を送るときの例文
入居者に手紙を送りたいけど、どのように書けばいいか分からない……と悩んでいる方向けに、手紙の例文をいくつかご紹介します。
例文1. 子(差出人)から親(入居者)への手紙
拝啓
秋の気配も次第に濃くなり、穏やかな季節となってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、先日、◯◯(差出人の子の名)の幼稚園で運動会が開催されました。
◯◯はかけっこで見事1位になり、手作りのメダルをもらって喜んでいました。
そのときの写真を同封するので、ぜひ見てやってください。
次にそちらへ訪問するときには、「おばあちゃんにメダルを見せてあげる」と言っていました。
楽しみに待っていてくださいね。
秋が深まるにつれ、少しずつ寒さが厳しくなってくるかと思います。
どうかくれぐれもご自愛ください。
敬具
令和◯年◯月◯日 △△(差出人の名前)
例文2. 孫(差出人)から祖父(入居者)への手紙
おじいちゃん、お誕生日おめでとう!
なかなか会いに行けないけど、元気でお過ごしのことと思います。
父や母から、そちらでできたお友達と楽しく暮らしていると聞きました。
おじいちゃんはとても社交的なので、きっとお友達がたくさんいるのでしょうね。
和気あいあいと談笑している姿が目に浮かぶようです。
私は相変わらず、仕事で忙しい日々を送っています。
でも少しずつ慣れてきて、余裕も出てきました。
近々、おじいちゃんのところへ遊びに行こうと思います。
そのときはたくさんお話ししましょうね。
これからもまだまだ元気でいてね!
△△(差出人の名前)
例文3. 友人(差出人)から入居者への年賀状
あけましておめでとうございます
旧年中は大変お世話になりました
本年もよろしくお願いいたします
そちらでの生活はどうでしょうか?
とても評判の良いところだとうかがっています
もし良ければ近々遊びにうかがわせてください
令和◯年元旦
以上、入居者に送る手紙の例文をご紹介しました。
老人ホーム宛ての手紙といっても、特別なルールはなく、宛先や宛名に気を付ければ日常で送る手紙と変わりません。
特にかしこまる必要はないので、入居者の体を気遣ったり、自分たちの近況を伝えたりして、楽しい内容の手紙を送るようにしましょう。
手紙の受け入れはどの老人ホームでも行われていますが、入居者が「プライバシーが気になる」という場合は、前述した通り、個人用のポストを設置している施設を探すというのも有効な手段の一つです。
老人ホーム探しで譲れないポイントやこだわりがある方は、ぜひ「あなたらしく」をご利用ください。