日常的にパソコンを利用している高齢者の中には、「老人ホームに入居した後も、引き続きパソコンを使いたい」と希望する方も多いでしょう。
ほとんどの老人ホームでは私物の持ち込みを認めていますが、はたしてパソコンの持ち込みは許可されているのでしょうか。
今回は、老人ホームにパソコンを持ち込んでも良いかどうか、施設のインターネット環境は整っているのか、など気になるポイントについて解説します。
パソコンを持ち込める老人ホームは増えている
結論から言うと、近年の老人ホームではパソコンの持ち込みを許可しているところが多いようです。
ただし、私物パソコンの持ち込みルールは施設によって異なります。
特に地方自治体などが運営する公的施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)には、持ち込みルールに制限がある場合が多く、中にはパソコンの持ち込みを禁じているところもあります。
逆に、介護付きや住宅型の有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など、民間企業が運営している施設は持ち込みルールが比較的緩い傾向にあり、私物パソコンの持ち込みを許可しているケースが多いようです。
とはいえ、民間施設の全てで持ち込みが許可されているとも限らないので、老人ホームに私物のパソコンを持ち込みたい場合は、あらかじめ施設に問い合わせておきましょう。
パソコンの持ち込みを制限している理由
施設によって私物パソコンの持ち込みを制限している理由は、大きく分けて「2つ」あります。
1つは、コストの問題です。
私物パソコンの利用を許可すると、そのぶん施設の電気代が増え、全体のコストがかさんでしまいます。
特に公的施設は自治体などが税金を使って運営している関係上、できるだけコストを節約すべく、家電の持ち込みは必要最小限としているところが多いようです。
2つ目は、破損や盗難などのリスクです。
老人ホームでは体が不自由な方が入居しているケースが多く、うっかりパソコンを落として壊してしまったという事例も少なくありません。
また、認知症の方を受け入れている老人ホームの場合、本人がパソコンを紛失してしまったり、あるいは他の入居者が勝手に持ち去ってしまったりするリスクが懸念されます。
特に後者の場合、入居者間でトラブルに発展する恐れもあるため、無用なトラブルを避けるために高価なパソコンの持ち込みはNGとしている施設もあるようです。
共用パソコンを設置している施設もある
パソコンの持ち込みが不可の施設でも、共用スペースにパソコンを設置しているケースがあります。
共用パソコンは入居者全員が利用できるので、「インターネットで調べ物をしたい」「ネットニュースを見たい」といったニーズを叶えられます。
ただし、共用パソコンは台数や使用できる時間帯、1回あたりの使用時間などに制限が儲けられているため、いつでも好きなときに好きなだけ使えるわけではありません。
そのため、パソコンを日常的に、頻繁に使用したい場合は、私物パソコンの持ち込みを許可している施設を選んだ方がよいでしょう。
老人ホームのインターネット環境は?未対応のところもあるので注意
パソコンを使ってネットサーフィンやメールの送受信、動画の視聴などを行うには、インターネット環境が必要不可欠です。
老人ホームのインターネット環境は、パソコンの持ち込み同様、施設によって対応が異なります。
インターネット可の施設であれば、有線LANまたはWi-Fi環境が整っているため、自室で自由にインターネットを使うことが可能です。
一方で、パソコンの持ち込みを許可している施設でも、入居者向けのインターネット環境を整えていないところもあります。
その場合、入居者が個別にプロバイダ業者と契約するか、あるいはポケットWi-Fiを使ってインターネット環境を整える必要があります。
その際の費用は毎月の施設利用料とは別に支払わなければならないので、月々のコストが気になる方は、インターネット利用料も含めたトータルでの月額費用で施設を検討するようにしましょう。
なお、施設にインターネット環境が整っており、館内でフリーWi-Fiが利用できる施設では、インターネット利用料があらかじめ上乗せされているケースがほとんどです。
そのぶん、インターネット未対応の施設より月額料金が割高に設定されていることを念頭に置いておきましょう。
老人ホームでパソコンを利用するときの注意点
老人ホームにパソコンを持ち込む際や、パソコンを利用する際は、以下の点に注意しましょう。
追加料金に注意
老人ホームの月額費用には水道光熱費も含まれていますが、私物パソコンを持ち込む場合、別途追加で電気代を徴収されることもあります。
追加料金の有無や具体的な費用については施設によって異なりますが、月々の費用が気になる方は事前に施設に連絡し、私物パソコンを持ち込んだ場合の追加料金について問い合わせておきましょう。
パソコンの使用環境も整える必要がある
老人ホームの多くは、居室に備え付けのベッドや収納などを設けていますが、それ以外の家具は設置されていないケースがほとんどです。
そのため、居室でパソコンを利用したいのなら、自分でパソコンデスクやチェアなどを持ち込む必要があります。
居室の面積は施設によって異なるので、デスクやチェアを持ち込む場合は大きすぎず小さすぎず、適度なサイズのものを選ぶことが大切です。
老人ホームへの家具の持ち込みに関しては、以下のページで詳しく解説しているので参考にしてください。
『老人ホームへ家具を持ち込むときのポイントや注意点をわかりやすく解説』
⇒ ご参照ください。
また、老人ホームの部屋のタイプが多床室の場合、同室の方への配慮も必要です。
具体的には、音漏れ防止のためのイヤホン・ヘッドホンや、静音タイプのマウス・キーボードの準備なども検討する必要があるでしょう。
セキュリティや管理に注意する
老人ホームの居室は、スタッフが頻繁に往き来する関係上、基本的には施錠されません。
高価なパソコンを無防備のまま放置していると、入居者が不在のときに第三者に侵入され、持ち去られてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、私物パソコンを居室に置いたまま不在にする場合は、鍵付きラックに収納するなど、防犯を徹底しましょう。
また、インターネットに対応している施設ではWi-Fi環境が整っているケースが多いですが、入居者全員が利用可能なWi-Fiはセキュリティが甘くなりがちです。
Wi-Fiは特定のIDやパスワードを入力することで利用可能になりますが、これらの情報が第三者に漏れたり、クラッキングによって暗号化されていないデータを傍受されたりすると、大事な個人情報が漏えいしてしまう危険性もあるでしょう。
安全にパソコンやインターネットを利用するためには、パソコンにセキュリティソフトを入れる、IDやパスワードをきちんと管理するなどの対策を講じるのはもちろん、セキュリティがしっかりした施設を選ぶことも重要なポイントです。
パソコンの持ち込み可・インターネット対応など、さまざまな条件を基に老人ホームを探したい方は、ぜひ「あなたらしく」をご利用ください。