グループホームは、認知症を患った方が共同生活を送ることを目的とした施設で、認知症対応型共同生活介護施設とも呼ばれています。
少子高齢化に伴って認知症患者数が増加傾向にある今、グループホームのニーズも高まっていますが、入所するためには一定の条件を満たさなければならないので要注意です。
本記事ではグループホームの入所条件と入所するまでの流れ、入所時に必要なもの、持ち込めないものを解説します。
グループホームへの入所条件
グループホームに入所するための条件は大きく分けて「5つ」あります。
要支援2以上の認定を受けている方
グループホームは介護保険の適用対象となるサービスを提供する施設であるため、要支援2~要介護5のうち、いずれかの認定を受けている必要があります。
要介護認定を受けていない方や、要支援1の方は入所できないので注意が必要です。
ただし、グループホームは能力に応じて自立した日常生活を営めるようにすることを目的とした施設なので、寝たきりで自立が難しい方や認知症の症状が重い方は入所できない場合もあります。
原則として65歳以上であること
グループホームに入所できるのは、原則として65歳以上の方のみです。
ただし、医師から初老期認知症(40~64歳で発症する認知症)と診断された方は、例外として65歳未満でもグループホームに入所することが可能です。
医師から認知症と診断されている方
グループホームに入所するには、医師から正式に認知症であると診断されていなければなりません。
ただ単に「物忘れがひどい」「身の回りのことが以前よりできなくなった」というだけでは認知症とみなされず、入所条件を満たしたとはみなされないので要注意です。
集団生活に支障のない方
グループホームは1ユニット(共同生活住居)につき5人~9人で共同生活を送る施設です。
そのため、他の入所者と問題なく共同生活を送れる方でないと入所することはできません。
具体的には、感染症に罹患していないこと、他害行動を行わないことなどが挙げられます。
なお、集団生活に適応可能であるかどうかの基準は施設によって異なります。
施設のある市区町村に住民票を有している方
グループホームは、要介護者の住み慣れた地域での生活を支えるため、身近な市区町村で提供されることが適当とされる地域密着型サービスの一種です。
地域密着型サービスは、その市区町村に住んでいる住民のみが利用可能なサービスであるため、グループホームに入所するには、その施設と同じ市区町村の住民票を有していなければなりません。
例外として、施設のある市区町村が同意すれば、他の市区町村に住民票を有している方も利用可能となりますが、やや手間が掛かるため、基本的には住民票のある市区町村でグループホームを探すことになるでしょう。
グループホームとその他の施設の違いについて知りたい方は、以下のページもご覧ください。
『グループホームとは?老人ホームとの違いや入居条件を解説』
⇒ ご参照ください。
グループホームへ入所するまでの流れ
グループホームに入所するまでの基本的な流れを説明します。
入所先を探す
まずは、お住まいの市区町村内にあるグループホームの中から、入所の希望先を探しましょう。
入所先で重視するポイントは人によって異なりますが、介護体制や医療体制、施設内の雰囲気、設備の充実度、スタッフの対応の良さなどをチェックするのが基本です。
また、グループホームに入所する際は、入居一時金や月額利用料が発生します。
月額利用料の内訳は賃料や管理費、食費、水道光熱費、生活用品などです。
月額利用料は入所している間、毎月支払わなければならないものなので、予算に合った施設を選ぶことが大切です。
施設を見学する
ある程度候補を絞ったら、実際に施設を見学しに行きましょう。
特に施設の広さや雰囲気、スタッフの対応などは実際に現地で見聞きしないと分かりにくいので、見学は必須です。
施設の見学は随時行っているケースが多いですが、ほとんどのところは事前予約制なので、ホームページから申し込むか、電話で予約を取っておきましょう。
施設では内部を一通り見せてもらい、分からないことや疑問に思うことがあれば、積極的にスタッフに質問することが大切です。
入所申込みをする
見学をして入所希望先を決めたら、入所申込み手続きを行います。
申込み手続きでは、施設ごとに用意されている申込書の他に、以下のような書類の提示・提出と求められます。
- 医療保険証の原本
- 介護保険証の原本
- 認知症の診断書
- 健康診断書
- 看護・介護添書(他院・他施設からの入所の場合)
- 医療連携先への紹介状
施設によっては、この他にも提示・提出を求められる可能性があるので、事前に申込みに必要な書類について確認を取っておきましょう。
面談
申込み手続きを済ませると、施設と入所希望者、その家族で面談を実施します。
面談では、入所希望者本人の個人情報の他、普段利用しているサービス、かかりつけ医や常用している薬、持病や既往症、入所希望者の現在の状態、日常生活での困り事や悩み事などを質問されます。
もちろん、分からないことや疑問に思うことがあれば、施設側に質問してもOKです。
なお、面談の結果、心身の入院加療が必要であると判断された場合や、24時間医療行為を必要とする方、自傷他害の可能性がある方は入所を断られることもあります。
入所契約
面談の結果、入所可と判断された場合、入所契約を締結します。
入所契約では、新たに以下の必要書類を準備します。
- 利用申込書
- 利用確認書
- 介護保険被保険者証の写し
- 年金振込通知書の写し
- 通帳の写し
- 身元引受人の身分証明証の写し
通帳の写しは、年金振込ページと振込最終ページ、表面と裏面(共に見開き)が必要です。
入所
入所時には以下の書類を準備します。
- 診療情報提供書
- 介護保険被保険者証
- 介護保険負担割合証
- 後期高齢者医療被保険者証(75歳以上の方)
- 医療保険被保険者証(持っている方)
- 医師の診断書
2~4は原本を施設に預かってもらうのが一般的です。
上記の書類はあくまで一例なので、何を用意すれば良いのか、施設の方にきちんと確認することをおすすめします。
入所時に施設へ持ち込む品物について、詳しくは後述します。
入所時に必要なもの・持ち込めないもの
グループホームには最低限必要な設備は揃っていますが、生活用品や衣類などは全て持ち込みになります。
持ち込み品はある程度自由が利きますが、中には持ち込みNGのものもあるので注意しましょう。
ここでは入所時に必要なもの、持ち込みできないものをまとめました。
入所時に必要なもの
施設に入所する際は、以下のような持ち物を用意します。
- 衣類(普段着、下着、寝巻き、靴下など)
- 外出用の靴
- 室内用スリッパorシューズ
- 洗面用具
- バスタオル、フェイスタオル
- 寝具(シーツ、枕カバー、敷き布団、掛け布団、枕等)
- 食器(茶碗、お椀、湯呑み、箸、マグカップ等)
- バッグ
- 常用薬
上記のものは必須です。
なお、着替えやタオルは3枚以上、シーツや枕カバーは2枚以上持参しましょう。
他にも、必要に応じてテレビやラジオ、時計、写真など思い出の品は持ち込んでOKです。
なお、居室には介護用ベッドやタンスなどの収納は完備されているケースがほとんどですが、「使い慣れたベッドでないと落ち着かない」などこだわりがある方は持ち込みも可能です。
また、家具についてはテーブルやイスを持ち込んだり、絵画やぬいぐるみなどの飾り物を持参したりする方も少なくありません。
後述する持ち込みNGのものを除けば、持参できるものは意外と多く、入所者の希望に応じた環境を整えられるでしょう。
ただ、施設によってはスペースの関係上、大きなものの持ち込み不可としているところもあります。
家具を持ち込む場合は事前に施設に問い合わせておくと安心です。
持ち込みできないもの
一方で、施設への持ち込みが不可のものもいくつかあります。
まず、お金や貴重品の持ち込みは、トラブルの元になる可能性があるため、原則としてNGです。
施設によっては出先で欲しいものを購入できるよう、少額の現金を施設に預けるというシステムを採用しているところもありますが、入所者の居室に現金や貴重品を置くのは禁止されているケースが多いようです。
また、防犯・防災の観点から、ライターやヒーターなどの火器の持ち込みは禁止されています。
施設によっては仏壇の持ち込みOKのところもありますが、火を灯した線香はあげられないので注意しましょう。
なお、暖房については居室にエアコンが完備されているので、ヒーターを持ち込まなくても寒さに悩まされる心配はないでしょう。
以上、持ち込み品について説明しましたが、入所の条件は施設ごとに異なるので、こだわりがある方はニーズに適した施設を探しましょう。
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