介護老人保健施設を選ぶときのチェックポイントや注意点を紹介

2024年12月27日

一般的なデイケアのサービス内容4種類

介護老人保健施設は、要介護の人の自立や在宅復帰を目標に、専門家によるさまざまなケアを提供する施設のことです。

 

ただ、同じ介護老人保健施設でも、提供されるサービスの内容や特徴は大きく異なります。

 

利用者のニーズや目的に合った施設に入所できるよう、施設の基本的な選び方をチェックしておきましょう。

 

本記事では介護老人保健施設の基本的なサービス内容や、選び方のポイント、利用時の注意点について説明します。

 

 

介護老人保健施設のサービス内容

介護老人保健施設のサービス内容
 

介護老人保健施設で受けられるサービスは、大きく分けて「3つ」あります。

 

医療・看護サービス

 
介護老人保健施設は、利用者100人に対して1人以上の医師と、利用者3人に対して1人以上の看護職員を配置することが義務づけられており、施設内で医療・看護サービスを受けることができます。[注1]

 

主な内容は毎日服用している薬の調整や、発熱・腹痛・風邪などへの対応ですが、施設によっては血糖測定やインスリン注射、胃ろうや腸ろうを含む経管栄養、喀痰吸引、疼痛の管理、認知症に関する専門的なケアなどを行っているところもあります。

 

また、少数ですが酸素療法や静脈内注射、ネブライザーなどの治療に対応している施設もあるようです。

 

施設で治療の設備が整っていない場合でも、外部のクリニックとの連携により、いざというときに適切な治療を受けられる体制を整えている施設もあります。

 

>>[注1]厚生労働省「介護老人保健施設」p3

 

リハビリテーション

 
介護老人保健施設で提供されているリハビリテーションは、生活期のリハビリテーションと、専門職員によるリハビリテーションの2つに分かれています。

 

生活期のリハビリテーションとは、医師やリハビリ専門職による指導の下、入浴や食事、排泄といった生活面の動作を、今よりできるようにするために行う訓練です。

 

できるだけ利用者本人が自立できるよう、職員は必要以上に手を出さず、必要なときだけ手助けを行うのが一般的です。

 

一方、専門職員によるリハビリテーションは、認知症など特定の分野について専門的な知識と技術を有する職員が実施するリハビリのことです。

 

例えば、認知症の方に対して短期集中のリハビリプログラムを実施したり、体の機能を集中的に向上させるためのリハビリを行ったりします。

 

なお、リハビリを開始する際は、入所前に集めた情報などを基に、リハビリ計画策定のためのカンファレンスを行い、一人一人に適したリハビリ方針・方法を共有した上で、多職種が協力してリハビリサービスを提供するのが一般的です。

 

介護サービス

 
介護老人保健施設には、介護職員や介護支援専門員も配置されており、利用者の食事や入浴、排泄、身だしなみなどの介護サービスを提供してくれます。

 

必要に応じて、居室の清掃や洗濯、買い物の付き添いといった生活支援サービスも受けることができるため、日常生活を送るのが困難な方や、不安がある方が安心して生活できる環境が整っています。

 

その他サービス

 
介護老人保健施設では、上記に当てはまらないその他のサービスとして、栄養管理口腔健康管理なども行っています。

 

栄養管理では、管理栄養士が利用者の方の状態に合わせて栄養を管理し、適切な食生活を送れるよう配慮します。

 

一方、口腔健康管理は、歯科衛生士が定期的に利用者の口腔内をチェックし、必要に応じてケアや指導を行うのが一般的です。

 

他にも、支援相談員が利用者の施設利用や介護に関する相談に乗ってくれるサービスなどがあります。

 

介護老人保健施設の特徴については、以下のページも参考にしてください。

 

『介護老人保健施設の特徴・費用・入居条件をまとめて解説』
⇒  ご参照ください。

 

介護老人保健施設を選ぶときのチェックポイント

介護老人保健施設を選ぶときのチェックポイント
 
介護老人保健施設の特徴やサービス内容は施設ごとに異なります。

 

いざ入居してから後悔することのないよう、施設に関してきちんと下調べを行い、利用者のニーズや要望に合った施設を選びましょう。

 

ここでは介護老人保健施設を選ぶ際にチェックしたい「ポイントを7つ」ご紹介します。

 

1. 設備をチェック

 
設備の充実度は施設内での過ごし方の満足度に直結する重要な要素の一つです。

 

居室の広さは十分か、トイレや収納などの設備は整っているか、食堂や浴室などの共用設備の使い勝手はどうかなど、細かくチェックしてみましょう。

 

特にリハビリを行う機能訓練室では、どのような器具・器械が揃っているのかが、リハビリの進行に大きな影響をもたらします。

 

設備が充実しているほど、一人一人に適した機能訓練を行いやすくなるでしょう。

 

設備に関する情報は施設のホームページやパンフレットなどにも掲載されていますが、居室の広さや設備の使いやすさは実際に現地で確かめないと分からない部分も多いので、入所先をある程度絞り込んだら実際に見学してみることをおすすめします。

 

また、万一の場合に備え、ナースコールの仕組みはどうなっているか、災害に対してどのような対策が講じられているか、なども確認しておきましょう。

 

2. 在宅復帰率をチェック

 
介護老人保健施設の目標は、利用者の在宅復帰を促すことです。

 

在宅復帰率の高い施設ほど、リハビリをはじめとするケアが充実しており、在宅復帰の実績が豊富であることがうかがえます。

 

在宅復帰率は施設のホームページに掲載されていることもありますが、分からない場合は施設に直接問い合わせてみるとよいでしょう。

 

3. サービス内容をチェック

 
前述したように、介護老人保健施設で提供されているサービス内容は施設によって異なります。

 

医療・看護サービスの範囲やリハビリの実施内容はもちろん、食事の内容や入浴の状況、レクリエーション活動、生活支援サービスの内容などをチェックし、利用者が希望するサービスをきちんと受けられる体制・環境が整っているかどうかを調べておきましょう

 

ただ、サービスが充実している施設ほど、費用も割高になりがちなので、予算との兼ね合いも考えることが大切です。

 

4. 費用をチェック

 
介護老人保健施設への入所費用や月々の利用料は施設によってまちまちです。

 

利用したサービスによって月々の利用料が変動する場合もありますが、施設に問い合わせておおよその目安を尋ねておくとよいでしょう。

 

介護老人保健施設を利用するときの注意点

介護老人保健施設を利用するときの注意点
 

介護老人保健施設を利用する際は、以下の点に「注意」が必要です。

 

5. 入所条件に制限がある

 
介護老人保健施設は、原則として65歳以上で、かつ要介護度1以上の方が入所対象となります。

 

上記の条件に当てはまらない場合は入所できないので、他の介護施設を検討してみましょう。

 

6. レクリエーションや生活支援の充実度は低い

 
介護老人保健施設はあくまでリハビリなどによる在宅復帰を目指すことを目的とした場所なので、娯楽性の強いレクリエーションや、生活支援サービスなどは他の介護施設に比べるとやや不足している傾向にあります。

 

特に生活支援について不満がある場合、実費で外部業者に頼むなどの対応を行わなければならないので注意しましょう。

 

7. 入所期間が短い

 
介護老人保健施設は、利用者の自立した生活および在宅復帰を目指すという性質上、長期利用を前提としていません。

 

実際の入居期間は明確に定められていませんが、およそ6~10カ月程度が目安のようです。[注2]

 

介護老人福祉施設(平均在所日数3年~4年)などに比べると在所日数がかなり少なく、入ったと思ったらすぐに退所しなければならないこともあります。

 

長期利用や終身利用を検討するのなら、他の施設への入所も考えてみた方がよいでしょう。

 

「あなたらしく」では、利用者の方のニーズや要望を丁寧にうかがった上で、適切な施設探しをお手伝いします。

 

介護老人保健施設はもちろん、その他にも自身にぴったりの施設があれば教えてほしいという場合は、ぜひ「あなたらしく」をご利用ください。

 

>>[注2]厚生労働省「介護老人保健施設」p8

 

>>「あなたらしく」を利用して希望の施設を探す