グループホームとは、認知症の症状を抱えている高齢者が共同生活を送るための施設です。
複数人のグループを作り、スタッフの介助を受けながら過ごすグループホームには、認知症の進行を和らげられるという大きなメリットがあります。
今回の記事では、グループホームで受けられる「サービスの内容」を詳しく紹介します。
また、グループホームの「ユニット型」と「サテライト型」の2種類の違いについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
グループホームで受けられるサービス
グループホームは、「要支援2以上で認知症の高齢者の自立支援を目的」としている施設です。
入居後には、以下のように多彩な種類のサービスを受けられます。
生活支援
生活支援とは、日常生活を送るためのサポートのことです。
ただし、グループホームは身体の状態が比較的良好な人を対象とした施設なので、家事のすべてをスタッフに任せることはできません。
グループホームのスタッフは、入居者ができるだけ自立した生活を送れるようサポートを行います。
食事の配膳や後片付け、洗濯物の片付け、掃除、トイレや入浴といった行動は、自身でできる範囲で行うことになります。
日々の家事を自分で行うことで認知症の進行を遅らせる効果が期待できることから、多くの施設ではできるだけ積極的に家事に関わってもらうよう促しています。
介護ケア
グループホームはあくまで認知症の高齢者の自立支援を促す施設なので、ほかの老人ホームのように手厚い介護ケアを受けられないことがあります。
とはいえ、排泄や入浴などに支障がある場合にはスタッフから必要なサポートを受けられるので心配はありません。
また、立ち上がりや移動のサポート、食事介助、口腔ケアといった介護サポートも必要に応じて受けられます。
体調悪化などの緊急時にもすぐにケアしてもらえるので安心です。
認知症ケア
グループホームの大きな特徴として、認知症ケアに特化しているというポイントが挙げられます。
施設には認知症ケアについて専門的に学んだスタッフが在籍しており、状況に応じて必要なケアを行います。
認知症の症状を抱える人を丁寧に見守りながらサポートをしてくれるのが、グループホームの魅力です。
レクリエーションやイベント
グループホームでは日常的なレクリエーションや季節ごとのイベントなどが実施されています。
老人ホームのレクリエーションには体操やゲーム、音楽や工作などさまざまな種類があります。
中でもグループホームのレクリエーションは、認知症予防の効果が見込めるようなものに特化しています。
手先を動かす作業や園芸療法などを続ければ、認知症の進行が和らぐ可能性も十分期待できるでしょう。
また、季節のイベントや地域の人を招いてのイベントなどを楽しみにしている入居者もいます。
イベントの際には、利用者がスタッフと一緒に簡単な準備や片付けを行うのが特徴です。
その点、楽しみながら認知症ケアができるのが、グループホームの大きな特徴といえるでしょう。
医療ケア、看護ケア
グループホームには、必ず医師や看護師を配置しなければならないという決まりはありません。
グループホームはあくまで、体の状態が安定している人が日常生活を送るための施設と位置付けられています。
そのため、これまでは多くのグループホームが医療行為に対応できませんでした。
しかし、突然の体調悪化などで医療ケアが必要となった場合に困る人もいます。
こういった状況を受けて、最近ではグループホームに看護師が配置されるケースも増えつつあります。
看護師のいるグループホームを選べば、日常的な健康管理や服薬管理、看護ケアを受けることが可能です。
ただし、グループホームで受けられる医療ケアや看護ケアの内容には制限があります。
十分なケアを受けられないと判断された場合には、病院への入院や医療ケアのできる施設への引越しといった対処が必要です。
看取り
これまで、看取りに対応できる老人ホームはそれほど多くありませんでした。
しかし最近では、介護保険法改正で看取り介護加算を受けられるようになったため、看取りサービスを実施するグループホームも増えつつあります。
看取りに対応しているのは、看護師が常勤している施設や医療機関と連携している施設に限られます。
今後の不安を抱えている人は、看取りに対応している老人ホームを探してみるのも良いかもしれません。
グループホームについてさらに詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
「グループホームとは?老人ホームとの違いや入居条件を解説」
⇒ ご参照ください。
ユニット型グループホームの特徴
ユニット型のグループホームとは、ユニットと呼ばれる複数の居室を設けるスタイルです。
グループホームのユニットは「5~9名」ほどで構成されるのが一般的です。
また、厚生労働省はグループホームにおける1つの施設のユニット数を3つまでと定めています。
多くのグループホームは2つのユニットを設け、定員18名程度というコンパクトな規模で運営しています。
ユニット型グループホームの特徴は、それぞれの個室に隣接するように共用スペースを作る点にあります。
ユニットに所属する入居者は同じリビングルームやキッチンを使い、同じスタッフからのケアを受けながら生活します。
ユニット型グループホームには、同じユニットの人との関係性を構築できるという良さがあります。
認知症を抱える人でも、1ユニット数人という小規模のグループホームであれば周囲の人を認識し、無理なくコミュニケーションを取れるでしょう。
住み慣れた家を離れて老人ホームに入る場合でも、ユニット型グループホームであれば寂しい思いをする心配がなくなります。
サテライト型グループホームの特徴
最近では、ユニット型とは異なるサテライト型のグループホームが増加傾向にあります。
サテライトとはもともと、衛星や人工衛星を意味する言葉です。
サテライト型のグループホームは、本拠地となる本体住居を作り、これを起点として周辺地域に複数のサテライト住宅を作るというスタイルになっています。
ユニット型グループホームは複数人が同じ建物で生活するようなスタイルですが、サテライト型の住宅はそれぞれ独立しています。
サテライトと呼ばれる住居はアパートなどの個別住宅となっており、自立度の高い入居者がそれぞれ居住します。
サテライトの住居の位置は、本体住居から交通手段を利用して20分以内の場所でなければなりません。
そして、サテライト型グループホームの本体住居には、入居者のケアを行える職員が常駐しています。
専門職員が24時間365日にわたって支援できる体制になっているので、入居者は安心して生活できます。
サテライト型グループホームで暮らす際には、緊急時に通報できる携帯電話などの通信機器をそれぞれが所有します。
また、本体住居のスタッフは1日1回以上という頻度で入居者の様子を確認しに来てくれます。
本体住居が離れていても、困ったときにはすぐに頼れる仕組みになっているのです。
サテライト型グループホームの良さは、一人暮らしのような感覚で生活できる点にあります。
サテライト型は、単身で生活したいけれど支援がない状態は不安と考える人に多く選ばれています。
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