年齢を重ねるにつれ、体力や筋力の低下、体の痛みなどから、運動を億劫に感じるようになる方も少なくありません。
しかし、健康維持のためには、適度な運動習慣を継続することが重要です。
多くの老人ホームでは、入居者の身体状況や日々の体調に合わせた運動プログラムを提供し、健康的な生活をサポートしています。
この記事では、老人ホームで行われている「運動の種類」や「効果」についてくわしく紹介します。
老人ホームで運動することはある?
老人ホームによって、用意されているレクリエーションやプログラムの内容は異なります。
活発に運動を取り入れている老人ホームもあれば、それほど運動をせずに過ごすような施設もあります。
特に、特別養護老人ホームには要介護度の高い方が入居するため、日常生活では身体介助が重視されることが一般的です。
特別養護老人ホームで実施されるのは、それぞれの入居者の身体の状態に合わせたリハビリや軽い運動などにとどまるでしょう。
一方で、有料老人ホームやデイサービスといった施設では、レクリエーションの一環として運動のメニューが積極的に取り入れられるケースが多いです。
老人ホームで体を動かしたいという方は、どのようなメニューが提供されているかを確認しておくとよいでしょう。
運動はフレイル防止に効果的
近年、高齢者の健康課題としてフレイルという言葉が注目されています。
フレイルとは加齢によって体が衰え、運動機能や認知機能の低下、生活習慣病の発病などが重なってドミノ式に介護状態になってしまうことを指します。
高齢者のフレイルを予防するためには、体を動かすことが欠かせません。
運動をしない状態が続いてしまうと、体力がどんどん低下して体の不調が起きやすくなります。
健康的な状態を維持するためにも、老人ホームへの入居後には積極的に体を動かす習慣をつけることをおすすめします。
一般的な老人ホームで取り入れられている運動
老人ホームでは一般的に、以下のような「運動のメニュー」が提供されています。
無理のない範囲で、楽しみながら運動習慣を身につけることで、健康的な生活を送ることができるでしょう。
体操やストレッチ
体操やストレッチは、老人ホームの入居者が日常的に取り組める、手軽で効果的な運動です。
多くの施設で高齢者向けの体操メニューを用意しており、ラジオ体操や音楽に合わせて体を動かすなど、楽しみながら運動できる環境を提供しています。
手足や肩、腰などをじっくりと伸ばせるストレッチも効果的です。
椅子に座ったままできるストレッチメニューなら、無理なく体をほぐせるでしょう。
さらに、ヨガのような珍しいメニューを提供する施設もあります。
リラックスしながらゆっくりと体を動かせるヨガは、高齢者が健康維持のために行うスポーツとして最適です。
ウォーキング
毎日の生活の中で意識的に歩行を続けることも、健康維持のために重要です。
老人ホームに庭がある場合や近隣に散策路がある場合には、こういった場所に足を運んでじっくりとウォーキングを楽しめます。
自然の風景の中を歩けば、心身をすっきりとリフレッシュできるでしょう。
外に出ることが難しいという場合には、老人ホーム内の廊下を歩くだけでも十分な運動になります。
老人ホームの廊下にウォーキングコースを設け、歩行をサポートしているような施設もあります。
廊下なら暑い夏の日や寒い冬の日、雨の日でも負担なく歩けるでしょう。
簡単な筋トレ
筋トレというときつい運動のイメージがあるかもしれません。
しかし、高齢の方が無理なく筋肉量を増やせるような手軽な筋トレは数多くあります。
例えば椅子に座った状態で、片足の膝を床と並行になるように伸ばしてしばらく止めるような動きだけでも十分な筋トレになります。
椅子に座ったり立ったりする動きを繰り返したり、立ち上がった状態でもも上げをしたりするのもおすすめです。
レクリエーション感覚で筋トレができるようなメニューを用意している老人ホームもあります。
簡単な球技
老人ホームのレクリエーションでは、入居者が楽しみながら運動できる簡単な球技もよく行われています。
例えば風船を使ったテニスやバレーのような遊びは、座ったままでも簡単にプレイできることが魅力的です。
風船はボールよりもゆっくり動くため、高齢の方でも無理なく競技に参加できるでしょう。
ほかに、「ゴルフ」や「ゲートボール」のような競技や、室内でできる「玉入れ」などの球技もあります。
遊び感覚で運動を続けるためにも、体を動かせるレクリエーションには積極的に参加してみることをおすすめします。
リハビリ
体をうまく動かせない場合には、理学療法士や作業療法士とともに「立ち上がり」や「歩行」といったリハビリを実施します。
老人ホームで行われる機能訓練のリハビリも運動の一環と呼べるでしょう。
日々のリハビリを続けると、筋力の低下が起きにくくなります。
また、身体機能が回復すれば、洋服の着脱や移動など日常的な動作もうまくできるようになっていきます。
老人ホームで運動することによる効果
高齢者が運動の習慣をつけることには、数多くのメリットがあります。
ここからは、老人ホームで運動に取り組むことで得られる「効果」についてみていきましょう。
病気やケガのリスクを下げられる
加齢とともに身体機能が低下していくことは、ある程度仕方のないことです。
しかし、運動不足の状態が続くと体が一気に衰え、病気のリスクが跳ね上がってしまいます。
例えば、運動不足で血流が悪化すると、心筋梗塞といった動脈硬化性の病気にかかるリスクが高まります。
また、肥満や糖尿病、高血圧といった症状にも注意が必要です。
身体機能の衰えは思わぬケガの原因になることもあります。
筋力が低下すれば、転倒などによるケガのリスクが高まるほか、腰痛や肩こり、膝痛なども悪化しやすくなるでしょう。
日常的に体を動かすことは、病気やケガのリスクから体を守ることにつながります。
健康を維持するためにも、適度な運動を続けられるとよいでしょう。
ストレス発散につながる
老人ホームに入居後、室内にこもりっきりになり、気分が沈みがちになる方は少なくありません。
体を動かす機会が減り、うつのような状態になってしまうケースもあります。
ふさぎ込んでしまうのを防ぐためにも、定期的に体を動かしてストレスを発散することをおすすめします。
体を動かすことで日常の不安やストレスが吹き飛び、すっきりとした気分になるでしょう。
コミュニケーションを楽しめる
老人ホームでは、ほかの入居者と協力したり対戦したりできる運動メニューも提供されます。
周囲の人とコミュニケーションを取れば、より楽しみながら体を動かせるようになるでしょう。
運動のレクリエーションをきっかけに周囲の人と打ち解けられる方もいます。
老人ホームでの生活をより充実したものにするためにも、ぜひ積極的に運動プログラムに参加してみることをおすすめします。
老人ホームによって、提供している運動メニューはさまざまです。
いろいろな運動プログラムを導入している老人ホームをお探しなら、ぜひ「あなたらしく」をご活用ください。