老人ホームへの入居にあたって、住民票をどうしたらよいかと悩む人もいると思います。
老人ホームへの入居はいわば引越しにあたるため、多くの人が住民票の異動手続きを行います。
しかし、住民票異動は必須ではないため、メリットとデメリットを比較して、よりよい方法を選びましょう。
今回は、老人ホームに入居するときの住民票の扱いについて紹介します。
老人ホームへ住民票を移すべき?
老人ホームに入居する際には、基本的に住民票を移した方がよいでしょう。
老人ホームで暮らすということは、この先、住む場所が変わることになるので、住民票を移して住所変更を済ませておくのが一般的です。
とはいえ老人ホームへの住民票異動は義務ではなく、移さなければ入居できないということも基本的にはありません。
施設を短期間しか利用しないなど、さまざまな事情があり住民票を移さない人もいます。
一方で、入居する施設が地域密着型サービスに該当する場合には、住民票を移すよう求められることもあります。
地域密着型サービスとは、お住まいの地域で生活が継続できるようサポートするサービスのことです。
入居する老人ホームの種類や状況に応じて、住民票を移すべきかどうかを決めていきましょう。
老人ホームへ住民票を移すメリット
老人ホームに住民票を移すか迷ったときには、メリットとデメリットを比較してみましょう。
それぞれメリット、デメリットを「4つ」紹介します。
まずは、住民票異動のメリットを見ていきましょう。
介護保険料が安くなることがある
介護保険料の金額は自治体ごとに異なっています。
住民票を移して別の自治体に転居すると、介護保険料や国民健康保険料が安くなるかもしれません。
また、介護保険サービスの内容も各自治体で異なるため、場合によってはよりよいサービスを受けられる可能性もあります。
老人ホームを選ぶ際には、施設がある自治体の介護保険料をチェックしておくとよいでしょう。
公共サービスの割引を使えることがある
住民票を移せば、転居先にある公共施設の割引サービスを使えるようになります。
公共施設の割引サービスは、高齢者などが住み慣れた場所で快適に生活できるよう提供されています。
サービスは住民票がある地域で受けられるため、住民票を移すことで、よりお得なサービスを受けられるようになることがあります。
郵便物が老人ホームに届く
住民票を移しておけば、本人あての郵便物はすべて老人ホームに届くようになります。
介護保険関連をはじめとした自治体からの郵便物もすべて老人ホームに届くため、本人が確認した上で手続きを行うことが可能となります。
住民票を異動しなかった場合、ご家族が郵便物を保管しておき定期的に届ける手間が発生します。
この状態が続くと郵便物が本人に届くまでのタイムラグが長くなり、重要なお知らせを見逃してしまうおそれもあります。
書類や手紙の見落としや提出遅れを防げるのは、住民票異動の大きなメリットの一つです。
生活を円滑にサポートしてもらえる
住民票の異動は、老人ホーム側にも大きなメリットをもたらします。
老人ホームのスタッフは入居者の生活をトータルサポートしてくれますが、これには介護保険関連の手続きや自治体の各種サービスの手続き代理なども含まれます。
住民票を異動させておけば必要な情報を一元管理できるため、入居者の医療や介護に関する手続きをスムーズに進められるようになります。
入居者本人の生活を円滑にサポートしてもらうためにも、住民票の異動手続きを済ませておくのがよいかもしれません。
老人ホームへ住民票を移すデメリット
老人ホームに住民票を移すことには多くのメリットがあります。
しかし、以下のようなデメリットも考えられるので十分注意しましょう。
介護保険料が高くなることがある
介護保険料の金額は自治体ごとに異なるため、住民票を移すことで金額が上がってしまう可能性があります。
住民票異動によって費用負担が増してしまうのは困りものです。
負担を軽減するためには、介護保険料を実質同額にできる住所地特例制度を活用するのがおすすめです。
入居する施設が、住所地特例制度の対象施設である場合に利用できます。
住所地特例制度を利用すれば、もともと住んでいた市町村に介護保険料を支払い続けることが可能となります。
住んでいたエリアのサービスを使えなくなることがある
住民票を移してしまうと、これまで利用していたサービスが使えなくなることがあります。
介護保険サービスや公共施設の割引サービスは自治体ごとに実施されています。
転居して住民票を移すと、同じサービスを使えなくなり、他のサービスに切り替えるなどの対処を求められることもあるかもしれません。
プライバシーを守れないことがある
住民票を異動すると、郵便物は老人ホームに届くようになります。
すると、誰からどのような郵便が届いたのかが施設スタッフや他の住人の目に触れてしまいます。
金融機関や保険会社からの通知、友人からの手紙など、郵便物の中にはあまり人に見られたくないものもあるかもしれません。
プライバシーを守れない可能性があるのは、住民票を移すデメリットの一つでしょう。
住所変更に手間がかかる
住民票を移せば住所も変わることになるため、ライフラインや保険、マイナンバー、各種サービスの住所変更が必要となります。
また、親戚など手紙のやり取りをする相手にも住所を知らせることになります。
これらの手続きには手間がかかってしまいます。
郵便物は住所変更をしてから1年間は転送してもらえますが、1年を過ぎると差出人に返還されてしまいます。
住民票を異動したことがきっかけで、大切な通知が届かなくなってしまうリスクも考えられるので、気をつけましょう。
老人ホームへ住民票を移すときの流れ
老人ホーム入居にあたっての住民票異動は、一般的な引越しの際の手続きとそれほど変わりません。
まずはもともと住んでいる地域の役所に転出届を出しましょう。
転出届の提出ができるのは、引越し日前後の2週間以内となっています。
続いて、老人ホームがある自治体に転入届を提出します。
住所地特例制度を利用するときには、適用に必要な書類を同時に提出する必要があります。
住民票の異動手続きには、マイナンバーカードまたは本人確認書類が必要となります。
また、国民健康保険証や医療証、介護保険被保険者証なども求められます。
要介護認定を受けているときには、受給資格証明書が必須となるので、準備しておきましょう。
なお、ご家族が代理で住民票を移す際には、委任状や本人確認書類などを持参して手続きを行いましょう。
【まとめ】住民票を異動するかどうかを冷静に判断しよう!
老人ホーム入居にあたっての住民票異動は義務ではありません。
多くの人が住民票を移している一方、住民票異動をせずに老人ホームに入居する人もいます。
住民票を異動すべきか迷ったときには、メリットとデメリットをじっくり比較してみましょう。
また、施設のスタッフやケアマネジャーなどに相談するのもよい方法です。
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