老人ホームの費用相場はどれくらいなのでしょうか。
老人ホームの費用負担は、施設の種類や立地、サービスの種類などによって変わります。
費用相場が気になる場合は、老人ホームの費用負担の仕組みを知ることが大切です。
本記事では、老人ホームの費用相場や、費用負担を知りたいときにチェックすべき「10のポイント」を紹介していきます。
老人ホームの費用相場
老人ホームの費用相場について詳しくみていきましょう。
総務省統計局の調べによると、老人ホームを含む高齢者施設の入居一時金の平均は「約260万円」、毎月の請求額の平均は「約12万円」となっています。
また、施設の利用料金に加えて、入居者が負担する医療費やおむつ代などの個人的支出の平均は約2万円です。
施設からの請求額と個人的支出を足すと、老人ホームの入居者の毎月の費用負担は「約14万円」となります。[注1]
金額 | ||
入居一時金 | 約260万円 | |
月額料金 | 約14万円 | |
内訳
|
施設からの請求額 | 約12万円 |
個人的支出 | 約2万円 |
一般の高齢単身世帯の消費支出の平均は約13.8万円です。
老人ホームの入居者の毎月の費用負担は、入居一時金を除くと、高齢単身世帯の消費支出とほぼ同等の金額に落ち着いています。[注1]
老人ホームの相場を知る10のポイント
老人ホームの利用料金は、施設の種類や立地、サービス内容などの条件で変わります。
- 施設の種類で料金が変わる
- 都道府県や立地で料金が変わる
- 介護保険適用外のサービスは全額自己負担になる
- 入居一時金がない老人ホームもある
- 居住費(賃料)は公的施設の方が安くなる
- 食費は公的施設なら欠食でも請求される
- おむつ代は公的施設なら原則無料になる
- 医師が常勤しない場合は医療費が自己負担になる
- 介護、看護職員が多い場合は上乗せ介護費がかかる
- 料金の支払い方法によって支払い総額が変わる
老人ホームの費用負担に影響する「10のポイント」を知っておくと、老人ホームの相場や費用感をより正確につかむことができます。
施設の種類で料金が変わる
老人ホームの費用負担は、施設の種類によって大きく変わります。
たとえば、公的な介護保険施設である特別養護老人ホーム(特養)は、入居一時金がかからず、費用負担が比較的抑えられます。
施設ごとの費用相場も参考にしながら、入所する老人ホームを決めましょう。
施設の種類 | 入居一時金 | 月額料金 |
特別養護老人ホーム(特養) | 0円 | 5~15万円 |
ケアハウス | 数百万円 | 10~30万円 |
グループホーム | 数十万円 | 15~20万円 |
住居型有料老人ホーム | 数百万円 | 15~30万円 |
介護付き有料老人ホーム | 数百万円 | 15~30万円 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 数十万円 | 10~30万円 |
都道府県や立地で料金が変わる
老人ホームの立地によっても費用負担は変わります。
たとえば、首都圏、京都府や兵庫県などの近畿地方では、他の都道府県よりも入居一時金や月額料金が高い傾向にあります。
一方、石川県や富山県などの北陸地方や、山口県などの中国地方では、地価が安いため居住費(賃料)が低く、費用負担を抑えられます。
介護保険適用外のサービスは全額自己負担になる
老人ホームの費用を知るには、サービス内容を調べる必要があります。
原則として、介護保険適用外のサービスは「全額自己負担」になります。
介護保険が適用されるのは、食事・入浴・排泄の三大介助や、基本的な身の回りのお世話のみです。
理容サービス、買い物の代行、レクリエーション、通院時の付き添いなどのサービスが充実している老人ホームほど、費用総額も高くなります。
また、サービス付き高齢者向け住宅のように、受けたいサービスを自分で選べるタイプの老人ホームもあります。
入居一時金がない老人ホームもある
老人ホームによっては、入居一時金がなく、費用負担を抑えられることがあります。
入居一時金は数十万円から数百万円ほどかかることも多く、相場が安い老人ホームを探す場合はチェックしておきたいポイントとなります。
しかし、必ずしも入居一時金がない老人ホームがよいとは限りません。
- 入居一時金の一部が月額料金から償却されるため、月々の支払いが安くなる場合がある
- 入居一時金がない代わり、月額料金の相場が高い施設もある
- 高額な入居一時金を支払っても、退去時に一部が「返還金」として返ってくる
また、入居一時金が高い施設ほどサービスが充実している傾向にあるため、予算や入居者の希望に合わせて選ぶことが大切です。
居住費(賃料)は公的施設の方が安くなる
老人ホームを利用する際にかかる費用は、以下のような内訳になります。
入居一時金 | |
月額料金
|
施設介護サービス費用 |
居住費(賃料) | |
食費 | |
管理費 | |
サービス加算 | |
上乗せ介護費 | |
日常生活費 | |
医療費 |
この中でも、居住費(賃料)の金額は、公的な高齢者施設か民間の高齢者施設かによって変動します。
特別養護老人ホームやケアハウスなどの公的施設の場合、法令で居住費が決められているため、費用負担は変わりません。
一方、それ以外の民間施設の場合、施設の立地や間取りによって居住費が変動します。
公的施設には、入居者の自己負担限度額も設定されているため、居住費を抑えたい場合は「特別養護老人ホーム」や「ケアハウス」がおすすめです。
食費は公的施設なら欠食でも請求される
また、食費も公的施設と民間施設で扱いが変わります。
公的施設の場合、入居者が1日3回の食事のいずれかを摂らない場合(欠食)でも、原則「3回分の食費」が請求されます。
ただし、長期間食事を摂らないことが前もってわかっている場合は、食費の請求を止めることが可能です。
一方、民間施設の場合は、欠食した分の食費は請求されないケースがほとんどです。
施設によっては食事メニューに力を入れており、食費が比較的高額になることもあります。
おむつ代は公的施設なら原則無料になる
入居者が自己負担するお金のなかにおむつ代があります。
おむつ代は、公的施設なら介護保険の対象となるため、原則無料になります。
一方、民間施設に入居する場合、おむつ代は「全額自己負担」です。
ただし、入浴時の石けんやシャンプー、お菓子やジュースなどの嗜好品を購入する場合は、公的施設でも原則自己負担となります。
このように公的施設と民間施設では、入居者が負担する費用が異なるため、老人ホームを選ぶときに考慮しましょう。
医師が常勤しない場合は医療費が自己負担になる
介護保険の対象とならない費用として、通院費や往診費、薬代、入院代などの医療費があります。
とくに医師が常勤しない老人ホームでは、入居者が他の医療機関を受診する必要があるため、「医療費は全額自己負担」です。
ただし、老人ホームによっては、医療機関への送り迎えや通院の介助を無料で行っていることもあります。
介護・看護職員が多い場合は上乗せ介護費がかかる
老人ホームの月額料金のなかに「上乗せ介護費」という項目があります。
上乗せ介護費とは、入居者に対して介護・看護職員の人数が多い場合、入居者の負担が大きくなる仕組みです。
介護保険法の規定により、入居者3名に対して1名の介護・看護職員を配置することが義務付けられています。
介護・看護職員の比率がこれより多いと、所定の上乗せ介護費がかかるでしょう。[注2]
料金の支払い方法によって支払い総額が変わる
支払い方法によって、利用料金の支払い総額が変わることがあります。
老人ホームの利用料金の支払い方法は、「全額前払い型(一時金型)」、「一部前払い型(一部月払い型)」、「月払い型」の3種類です。
全額前払い型 (一時金型) |
入居前に必要な費用を全額支払う |
一部前払い型 (一部月払い型) |
必要な費用の一部を前払いし、残りを毎月支払う |
月払い型 | 必要な費用の請求を受け、その都度支払う |
一部前払い型の場合、全額前払い型よりも支払い総額が大きくなることがあります。
また、月払い型の場合は、施設が月額料金を引き上げ、費用負担が急増するケースに注意が必要です。
老人ホームの費用を調べるときは、利用料金の支払い方法にも目を向けましょう。
【まとめ】老人ホームの相場や費用の仕組みを知り、予算に合った施設を利用しよう
老人ホームの費用負担は、入居一時金が「平均260万円」程度、施設の請求額や個人的支出の合計が「平均14万円」程度とされています。
しかし、老人ホームの料金は、施設の種類、都道府県や立地、入居一時金の有無、公的施設か民間施設かなどの条件で変わるため、老人ホームの費用の仕組みを知っておくことが大切です。
老人ホームのおおまかな相場や費用感をつかみ、予算に合った施設を利用しましょう。
老人ホームを探すときは、老人ホーム検索サイト「あなたらしく」を利用するのがおすすめです。
「あなたらしく」なら、お住まいの地域に近い老人ホームや、老人ホームのおおまかな費用負担など相談できます。