グループホームと老人ホームは、どちらも民間企業が運営する高齢者施設です。
しかし、グループホームと老人ホームでは、入居条件や居住形態、受けられるサービスが大きく違います。
快適な老後生活を送るためには、入居者に合った施設を選ぶことが大切です。
本記事では、「グループホームの基本」や「主な入居条件」、「老人ホームとの違い」を分かりやすく解説します。
グループホームとは?
グループホームとは、正式な名前を「認知症対応型共同生活介護」といい、「認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流の下、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と機能訓練を行い、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにする」施設を指します。
つまり、認知症の高齢者がひとつの住居に集まり、日常生活の介助や機能訓練を受けたり、互いに交流したりするのがグループホームの特徴です。
入居者は自分の能力に応じて、食事や買い物、掃除などの身の回りの家事を分担し、自立した暮らしを送ります。
グループホームの入居者が暮らす住居は「ユニット」と呼ばれます。
ユニット内の居室は、床面積が7.43平方メートル(和室4.5畳)の原則個室となっており、入居者のプライバシーが十分に配慮されています。
また、1ユニットの定員は「5人以上9人以下」で、比較的少人数です。
そのため、他の高齢者施設と比較して、家庭的な雰囲気の施設が多く見られます。[注1]
2019年の統計によると、グループホームは全国に1万3,674事業所あり、サービスを受けている人は20.7万人に達しています。[注1]
小規模のコミュニティで共同生活を営みたい方や、アットホームな雰囲気の施設で老後生活を送りたい方、日常生活を通じて認知機能を維持したい方に向いている施設です。
[注1]厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」P2
グループホームと老人ホームの違い
グループホームと老人ホームの違いは以下の表のとおりです。[注1]
グループホーム | 老人ホーム | |
---|---|---|
定員 | 1ユニットにつき5人以上9人以下 | 施設により数名~100名 |
運営母体 | 民間企業の他、NPO法人、医療法人、社会福祉法人など | 民間企業 |
入居条件 | 要支援2以上で、認知症の診断を受けた原則65歳以上の方 | 自立~要介護5まで幅広い身体状況の60~65歳の方 |
退去要件 | 長期入院や認知症の症状悪化など | 長期入院や要介護度の上昇、常時医療的ケアが必要なケースなど |
介護体制 | 利用者3人当たり常勤の介護スタッフ1名(看護師の設置義務なし) | 利用者3人当たり常勤の介護スタッフ1名(看護師の設置義務あり) |
医療体制 | バイタルチェックや服薬管理などの基本的な医療サービスを提供 | 常勤の看護師による健康管理や、地域の提携医療機関の訪問医療 |
施設の雰囲気 | 小規模のコミュニティが営まれ、アットホームな雰囲気が多い | ハイクラスな施設の場合、高級ホテルや老舗旅館のような雰囲気 |
待機状況 | 定員が少なく、数カ月の待機期間が発生するケースもある | 施設数が多く、入居難易度が比較的低い |
看取り | 施設により対応が異なる | 介護付き有料老人ホームは対応 |
ここでは、主に「入居者層の違い」、「医療ケアの違い」、「入りやすさの違い」に絞って解説します。
1. 入居者層の違い
グループホームの入居者層は、比較的要介護度が低い方が多く、平均要介護度は「2.74」です。
身体状況の分布は、要支援2~要介護2までの方の割合が合計45.5%、要介護3~要介護5の方が合計54.6%となっています。
一方、有料老人ホームの場合、入居者の年齢や身体状況は施設によって異なります。
身体状況が自立の方から、寝たきりの状態の方まで、さまざまな層の高齢者が入居しています。
2. 医療ケアの違い
グループホームは有料老人ホームと違って、看護師の設置義務がありません。
そのため、施設によっては常勤の看護師がおらず、看護師でない担当員がバイタルチェックや服薬管理を行うケースがあります。
常勤の介護スタッフは、日中は利用者3人につき1人、夜間は1ユニットにつき1人が配置されます。
また、認知症の介護従事経験が3年以上の管理者が必ず常勤専従しており、手厚い認知症ケアを受けることが可能です。
3. 入りやすさの違い
グループホームは、1ユニット当たりの「定員が5人以上9人以下」と少ないのが特徴です。
また、1事業所当たりのユニット数は原則2つまで、特段の事情がある場合は3つまで設置することが認められます。
つまり、グループホーム全体の定員は、多くても「27人」です。
そのため、グループホームは他の老人ホームよりも待機期間が長い傾向にあります。
すぐに入居したい場合は、有料老人ホームの方が定員や施設数が多く、空室が見つかる可能性が高くなります。
グループホームの入居条件
グループホームの入居条件は「3つ」あります。
- 年齢や身体状況が基準を満たしていること
- 認知症の診断を受けていること
- 施設と同じ市区町村に居住していること
1. 年齢や身体状況が基準を満たしていること
グループホームは、介護保険法の指定を受けた高齢者施設です。
そのため、グループホームに入居できるのは、原則として介護保険法の基準を満たした方に限られます。
入居可能な年齢は「原則65歳以上」で、身体状況は要支援2または「要介護1以上」の方です。
ただし、それより若い方でも、初老期認知症や若年性認知症などの特定疾患の診断を受けた場合は、入居を認められるケースがあります。
2. 認知症の診断を受けていること
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」を行う施設です。
そのため、グループホームに入居できるのは、医師に認知症の診断を受けた方に限られます。
ただし、認知症の症状が重い場合や、寝たきりの状態で共同生活を営めない場合、施設の介護体制によっては対応ができず、入居が認められない可能性もあります。
3. 施設と同じ市区町村に居住していること
グループホームは介護保険法における「地域密着型サービス」に分類されます。
そのため、グループホームに入居できるのは、施設の所在地がある市区町村の居住者に限られます。
有料老人ホームの場合、入居前に住民票を移すことで入居を認められますが、グループホームの場合は一定の居住実績がなければ入居が認められないケースがあるため、事前に施設のホームページなどで入居条件を確認してください。
【まとめ】グループホームと老人ホームの違いを知り、自分に合った施設を選ぼう
「グループホーム」は、老人ホームと違って認知症ケアに特化した施設です。
また、施設の定員が1ユニットにつき「5人以上9人以下」と少なく、小規模なコミュニティで共同生活を送る点に特徴があります。
グループホームと老人ホームの違いを知り、自分に合った施設を選ぶことが大切です。
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