シニア世代が気になる骨粗鬆症とは?年齢や治療薬、予防法を解説

2023年10月5日

シニア世代が気になる骨粗鬆症とは?年齢や治療薬、予防法を解説

骨粗鬆症とは、骨密度が低下し少しの衝撃でも骨折しやすくなる病気のことです。

 

直接的に命に関わる病気ではないものの、シニア世代では骨折が介護の要因となるため注意が必要です。

 

とくに、女性では閉経後にリスクが急激に上昇します。

 

本記事では、シニアが気をつけたい骨粗鬆症とは何か、なりやすい年齢や症状、原因、治療薬、予防方法を解説します。

 

 

シニア世代が気になる骨粗鬆症とは?

シニア世代が気になる骨粗鬆症とは?<
 

骨粗鬆症とは、骨の密度が低下した結果、弱くなり骨折しやすくなる病気のことです。

 

進行しても初期段階では痛みなどの自覚症状がなく、気が付かないケースも多くあります。

 

また、心筋梗塞のように、直接命に関わる病気ではないため、見過ごされがちです。

 

しかし、年齢を重ねたシニア世代は骨折がきっかけで介護が必要になるケースが多く、骨粗鬆症は健康な生活を脅かす大きな原因になります。

 

進行が進むと、くしゃみなどのちょっとした衝撃でも骨が折れることもあるため、原因や対処法を確認し、注意を怠らないことが大切です。

 

女性は50代から注意が必要

 
女性は50代から注意が必要
 
なお、骨粗鬆症は女性に多い病気です。

 

60代で「5人に1人」、70代では「3人に1人」が骨粗鬆症といわれています。

 

女性ホルモンの一種、エストロゲンには骨の新陳代謝を活発にする働きがあります。

 

しかし、閉経後は分泌量が一気に減少するため、骨密度も合わせて急激に低下します。

 

女性であれば、早ければ50代から骨粗鬆症の兆候が現れるため、注意が必要です。

 

骨粗鬆症で骨折しやすい部位

 
骨粗鬆症で骨折しやすい部位
 

骨粗鬆症では、以下のように骨折しやすい部位があります。

 

脊椎椎体(背骨)

 
背骨が体の重みで骨折した状態を「圧迫骨折」といいます。

 

腰痛と間違われることも多いものの、背骨が曲がるなど外見的な症状で判断できることもあります。

 

1ヵ所骨折すると連鎖的に骨折する恐れがあるため、早期発見が必要です。

 

大腿骨近位部(脚の付け根の骨)

 
シニアで骨折すると歩行が困難となり、介護になることが多い部位です。

 

転倒で骨折するケースが多いため、バリアフリーにするなどの対処が必要です。

 

橈骨(手首の骨)

 
転倒時に手を付いたときに起こる事が多く、骨折時は激しい痛みや腫れをともないます。

 

こちらも、杖を使用するなど歩行時に気を付ける必要があります。

 

上腕骨(腕の付け根の骨)

 
上腕骨も転倒時の骨折が多い部位です。

 

骨折したときは、ギプスや金属製の材料などにより固定し治療します。

 

年齢は関係する?骨粗鬆症の原因

年齢は関係する?骨粗鬆症の原因
 

骨粗鬆症が発生する理由は骨の新陳代謝の乱れにより、カルシウムが流出することにあります。

 

新陳代謝が乱れる主な原因には、「加齢」や「薬の影響」があります。

 

骨粗鬆症は骨の新陳代謝の乱れにより発症

 
骨粗鬆症は骨の新陳代謝の乱れにより発症
 
骨は骨形成と骨吸収という新陳代謝を繰り返し、常に新しい状態に生まれ変わっています。

 

しかし、骨粗鬆症になると骨形成よりも骨吸収が上回り、バランスが崩れもろくなってしまいます

 

具体的な原因は以下から解説します。

 

栄養不足

 
栄養不足
 
骨粗鬆症の原因のひとつが骨の形成に必要な栄養の不足です。

 

具体的にはカルシウムやマグネシウム、ビタミンD(カルシウムの吸収に必要)などのビタミン類をバランスよく取れていないことが考えられます。

 

なお、骨を形成する思春期に過度なダイエットをしていると、将来の骨密度に影響する恐れもあります。

 

運動不足

 
運動不足
 
骨は一定以上の負荷がかかることで、カルシウムを効率よく活用でき形成が活発化します。

 

日頃から運動をしていないと、骨粗鬆症のリスクが高まります。

 

加齢

 
加齢
 
骨粗鬆症は年代が上がるにつれ有症率も上昇するため、加齢も原因のひとつと考えられています。

 

とくに、女性は閉経によるエストロゲンの分泌量低下が主な原因です。

 

病気・薬の影響

 
病気・薬の影響
 
糖尿病や慢性腎臓病など、特定の病気の中には骨の新陳代謝に影響を与え、骨粗鬆症を発症しやすくするものがあります。

 

また、ステロイド薬の副作用には骨粗鬆症があり、薬が原因のものを「ステロイド性骨粗鬆症」といいます。

 

ステロイド内服後3~6ヵ月以内の進行が多いため、定期的な経過観察が必要です。

 

骨粗鬆症を治療するための薬

骨粗鬆症を治療するための薬
 
骨粗鬆症では、骨吸収を抑制する薬や形成を促進する薬、その他補助薬を使って治療を進めます。

 

代表的な「薬」を紹介します。

 

カルシウム製剤

 
カルシウム製剤
 
骨の主成分であるカルシウムを補う薬です。

 

食事と投薬を合わせて1,000g摂取できることが望ましいです。

 

活性型ビタミンD3製剤

 
活性型ビタミンD3製剤
 
摂取したカルシウムの腸管からの吸収を促す薬で、骨の新陳代謝を調整する役割もあります。

 

古くから骨粗鬆症の治療に使われていた薬です。

 

ビスフォスフォネート製剤

 
ビスフォスフォネート製剤
 
過度な骨吸収を抑制し、骨密度を増やします。

 

投薬・注射どちらもあります。

 

服用間隔は1日1回から、1年に1回まで選べるため、生活状況に合わせて投与できます。

 

SERM

 
SERM
 
骨に対し、骨密度を増加させます。

 

エストロゲンと似た働きをするものの、骨以外の器官に影響を与えない点が特徴です。

 

女性ホルモン製剤

 
女性ホルモン製剤
 
エストロゲンを投与し、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症を治療します。

 

更年期症状にも効果がある点がメリットです。

 

骨粗鬆症の予防方法

骨粗鬆症の予防方法
 

骨粗鬆症を予防するためにも、まずは自分の骨密度がどの程度か、客観的に把握しましょう。

 

そのうえで、栄養バランスの取れた食事や、定期的な運動により予防します。

 

また、移動中は転倒リスクを防ぐことも大切です。

 

骨密度を定期的に測定する

 
骨密度を定期的に測定する
 
骨密度は1年に1回など、定期的に検査し現在の状態を把握しましょう。

 

検査は内科・整形外科・婦人科などで受けられ、以下のサイトからも検索が可能です。[注1]

 

検査を行うことで、急激な骨密度の低下を早期発見できるため、骨折などの症状が現れる前に投薬治療を開始できます。

 

[注1]公益財団法人 骨粗鬆症財団「病医院リスト」

 

栄養バランスの良い食事を摂る

 
栄養バランスの良い食事を摂る
 
骨粗鬆症の予防では栄養バランスの良い食事も大切です。

 

以下のような必要な栄養素が摂れることで、骨や筋力の増強をサポートできます。

 

カルシウム

 
牛乳、大豆、切り干し大根、ひじきなど

 

マグネシウム

 
玄米、そば、きなこ、切り干し大根など

 

タンパク質

 
鶏ささみ、牛もも肉、イワシ丸干し、卵黄など

 

ビタミンD

 
キノコ類、いわし、かつお、鶏卵など

 

屋外で適度な運動をする

 
屋外で適度な運動をする
 
日光浴をすると体内でビタミンDが合成されます。

 

また、適度な運動は骨密度の上昇にも役立ちます。

 

屋外でウォーキングやジョギングをすれば、骨粗鬆症の予防にも役立ちます。

 

また、骨と筋肉は腱でつながっているため、筋力トレーニングも効果的です。

 

転倒リスクを軽減する

 
転倒リスクを軽減する
 
外出時は滑りづらい靴を履く、杖をつくなど、転倒しないように気を付けることも大切です。

 

室内では段差を減らし、手すりを設置するなど、バリアフリーを心がけましょう。

 

また、電気コードは壁に這わせる、カーペットはめくれないようにするなど、僅かな段差も見逃さないように注意します。

 

【まとめ】シニア世代は骨粗鬆症に注意!年齢に負けずに健康な老後を

骨粗鬆症とは、骨の新陳代謝のバランスが崩れもろくなり、骨折しやすくなる病気のことです。

 

シニア世代では介護が必要になる原因のひとつのため、現在の骨密度を把握したうえで予防しましょう。

 

なお、骨折により介護が必要になったときのためにも、事前に老人ホームの費用や相場、入居方法などを確認しておくと、いざというときも安心です。

 

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