シニア世代が認知症になったときの対応方法や接し方のポイントを解説

2023年10月10日

シニア世代が認知症になったときの対応方法や接し方のポイントを解説

「認知症」はシニア世代に多い病気のひとつです。

 

認知症が進むと、脳の記憶力や判断力が低下し、自立した暮らしを送ることができなくなります。

 

内閣府の令和4年版高齢社会白書によると、65歳以上で介護が必要になった人のうち、認知症が主な原因の人は18.1%です。[注1]

 

シニア世代に現れる認知症の兆候を知り、早期発見早期治療を心掛けましょう。

 

また、認知症の人をむやみに叱ったり、現実を突きつけたりせず、本人のペースに合わせて接することが大切です。

 

本記事では、「認知症の人への対応方法」や「接し方のポイント」を解説します。

 

[注1] 内閣府「令和4年版高齢社会白書」

 

 

シニア世代に現れる認知症の兆候

シニア世代に現れる認知症の兆候
 

厚生労働省によると、認知症の主な症状(中核症状)は以下の「4点」です。[注2]

 

  • もの忘れが多くなる(記憶障害)
  • 時間・場所がわからなくなる(見当識障害)
  • 理解力・判断力が低下する
  • 仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる

少しでも心当たりがある場合は、家族が認知症にかかっているかもしれません。

 
シニア世代に現れる認知症の兆候を知り、早期発見早期治療に努めましょう。

 

[注2]厚生労働省「認知症を理解する」

 

もの忘れが多くなる(記憶障害)

 
もの忘れが多くなる(記憶障害)
 
認知症にかかると、急にもの忘れが多くなります。

 

以下は認知症の患者によく見られる兆候の一例です。

 

  • 数分前、数時間前のできごとをすぐ忘れる
  • 同じことを何度もいう・聞くようになる
  • しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている
  • 約束を忘れる
  • 昔から知っている物や人の名前が出てこなくなる
  • 同じものを何個も買ってくる

ただし、シニア世代になると、「加齢によるもの忘れ」も増加します。

 

以下の表を参考に「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いを知っておきましょう。[注2][注3]

 

加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる
(例)朝ご飯のメニュー
すべてを忘れている
(例)朝ご飯を食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけようとする 誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

 

[注3]政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」

 

時間・場所がわからなくなる(見当識障害)

 
時間・場所がわからなくなる(見当識障害)
 
認知症の患者は、自分が今いる時間や場所がわからなくなり、混乱をきたすことがあります。

 

この症状を「見当識障害」と呼びます。

 

たとえば、以下の兆候が見られる場合、見当識障害があるかもしれません。

 

  • 日付や曜日がわからなくなる
  • 慣れた道で迷うことがある
  • できごとの前後関係がわからなくなる

 

理解力・判断力が低下する

 
理解力・判断力が低下する
 
認知症の中核症状のひとつが、「理解力」や「判断力の低下」です。

 

以下の例のとおり、今まで理解できていたことが急にわからなくなったり、日常生活に必要な判断ができなくなったりした場合、認知症の疑いがあります。

 

  • 手続きや貯金の出し入れができなくなる
  • 状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
  • 運転などのミスが多くなる

 

仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる

 
仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
 
認知症が進行すると、仕事や家事などの身の回りのことが自分でできなくなり、自立した暮らしを送れません。

 

以下の兆候のいずれかが見られる場合は、認知症の治療を受けさせるだけでなく、身体介助や生活援助などの介護サービスの利用も検討する必要があります

 

  • 仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる
  • 調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
  • 身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる
  • 食べこぼしが増える
  • 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
  • 失禁が増える

 

シニア世代が認知症になったときの対応方法

シニア世代が認知症になったときの対応方法
 

公益社団法人 認知症の人と家族の会は、「認知症」の人のために家族ができる10カ条を公開しています。[注4]

 

  • 1. 見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン。
  • 2. 早めに受診を。治る認知症もある。
  • 3. 知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。
  • 4. 介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。
  • 5. サービスの質を見分ける目を持とう。
  • 6. 経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を。
  • 7. 今できることを知り、それを大切に。
  • 8. 恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう。
  • 9. 自分も大切に、介護以外の時間を持とう。
  • 10. 往年のその人らしい日々を。

 

認知症の患者と初めて向き合う場合、大きな不安や戸惑いを感じるかもしれません。

 

「認知症」の人のために家族ができる10カ条を踏まえて、以下の2つの対応をしましょう。

 

  • 認知症の兆候を感じたら、すぐに専門医に相談する
  • 認知症向けの介護サービスを利用する

 

[注4]公益社団法人認知症の人と家族の会「「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条」

 

認知症の兆候を感じたら、すぐに専門医に相談する

 
認知症の兆候を感じたら、すぐに専門医に相談する
 
認知症の兆候に気づいたら、すぐに専門医に相談することが大切です。

 

認知症に対応した診療科は、精神科、脳神経外科、脳神経内科(神経内科)、もの忘れ外来(認知症外来)などがあります。

 

また、かかりつけ医がいる場合は、認知症の診療が可能な病院の紹介状を書いてもらいましょう。

 
認知症かどうか迷う場合も、日頃から家族を診ているかかりつけ医の判断が参考になります。

 

認知症向けの介護サービスを利用する

 
認知症向けの介護サービスを利用する
 
家族の認知症が進行しており、一人暮らしをさせるのが難しい場合は、介護サービスの利用を検討しましょう。

 

認知症に対応した介護サービスは「2つ」あります。

 

  • 認知症対応型通所介護(デイサービス)
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

 

認知症対応型通所介護は、日帰りで利用できる介護サービスです。

 

認知症の人向けの専門的なケアを提供しており、一般的なデイサービスと同じ感覚で利用できます。

 

また、グループホームは「5~9人」の利用者が共同生活を送り、自立した暮らしを目指して認知症ケアを受ける施設です。

 

認知症の家族との同居が難しい場合は、入居型の介護サービスであるグループホームを利用しましょう。

 

シニア世代が認知症になったときの接し方

シニア世代が認知症になったときの接し方
 

シニア世代が認知症になったら、どのように接したらよいのでしょうか。

 

認知症の人と接するときは、以下の「2点」を念頭に置くことが大切です。

 

  • 記憶はなくなっても感情は残る
  • 認知症の人も不安や恐怖を抱えている

 

認知症が進行すると、判断力や記憶力が低下します。

 

しかし、感情の働きは残っています。

 

そのため、認知症の人をむやみに叱ったり、怒鳴ったりすると、不安や恐怖、ストレスなどの感情だけが強く残ってしまい、信頼関係を築けません。

 

認知症の人と接するときは、なるべく「本人のペースに合わせる」ことが大切です。

 

認知症の人がおかしな行動をしても、本人にとっては「当たり前」の行動をとっているにすぎません。

 

認知症の人の行動を否定したり、現実を突きつけたりせず、遠くからやんわりと見守ることが大切です。

 

もし認知症が悪化し、これ以上介護をつづけられなくなったら、デイサービスやグループホームなどの利用も検討しましょう。

 

【まとめ】シニア世代に多い認知症への対応や接し方を知ろう

 
シニア世代に多い認知症には、記憶障害見当識障害理解力・判断力生活能力の低下など、さまざまな兆候があります。

 

認知症の兆候を見逃さず、少しでも違和感を覚えたら医療機関を受診しましょう。

 

また、家族の認知症が進行していて自立した暮らしが難しい場合、介護サービスを利用するのもおすすめです。

 

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