介護部屋はどうレイアウトする?ポイントや注意点を紹介

2025年7月2日

介護部屋はどうレイアウトする?ポイントや注意点を紹介

家族に介護が必要となり在宅介護を始める場合、これまでの部屋のレイアウトでは介助のときに動きにくく腰を痛めたり、介護ベッドを入れたことで部屋が窮屈になったりするなどの問題が起こることがあります。

 

介護部屋に必要なポイントを意識してレイアウトを工夫すれば、介護の負担を軽減し、便利で過ごしやすい部屋をつくれるでしょう。

 

今回は、「介護部屋をレイアウトするときのポイントや注意点」、「在宅介護が難しくなったときの対処法」について解説します。

 

 

介護部屋をレイアウトするときのポイント

介護部屋をレイアウトするときのポイント
 
介護部屋をレイアウトする理由は、介護をする方が動きやすく介護しやすい部屋をつくるためです。

 

また、介護が必要になった方は身体機能が低下するため、今までのレイアウトでは動きづらく、転倒してけがをするリスクが高まります。

 

次の「4つのポイント」を意識して、介護をする方とされる方のどちらにとっても安全で、居心地の良い空間をつくりましょう。

 

介護部屋には6畳~8畳の洋室が適している

 
介護部屋には、6畳~8畳の洋室が適しています。

 

部屋が狭過ぎると、介護される方は窮屈に感じて、精神的に疲労しやすくなります。

 

逆に、部屋が広過ぎると移動が大変になり、肉体的に疲れやすくなるでしょう。

 

介護部屋の中で最も大きな家具は、介護ベッドです。

 

ベッドは畳1畳よりやや大きいスペースが必要なため、ベッドを置いた後のスペースを考えると、6畳~8畳が介護部屋の一般的な広さとなります。

 

また、和室よりも、洋室が適しています。

 

和室だとスリッパを脱がなければならず、敷居につまずいて転倒する危険もあります。

 

一方、洋室ならスリッパのまま出入りでき、敷居もないため安全です。

 

さらに、畳は家具などで傷つきやすいデメリットもあります。

 

車椅子も、畳よりフローリングの方が操作がしやすいため、介護部屋には洋室を選ぶと良いでしょう。

 

介護ベッドは壁側に、スペースを空けて設置する

 
介護ベッドは壁側に寄せつつ、壁との間に適度なスペースを空けて設置すると良いでしょう。

 

介護ベッドは部屋のレイアウトの要となり、ベッドを基準に他の福祉用具などの置き場所が決まります。

 

介護ベッドは大きなスペースを取るため、ベッドを壁側に設置することで部屋を広く使えるようになります。

 

ただし、壁にぴったりとつけると、片側からしか介助ができず作業がしづらくなります。

 

そのため、「壁から30cm~45cmほどのスペース」を空け、ベッドの両側から介助ができるようにしましょう。

 

介護される方の体にまひがある場合は、まひのある側に壁が来るようにベッドを配置すると良いでしょう。

 

その方が、動く側の手でベッド柵などにつかまりながら起き上がりやすくなります。

 

なお、要介護度によっては、介護される方はベッド上で過ごす時間が長くなります。

 

その場合は、ベッドの上から窓の外やテレビが見やすいかなども考えて配置しましょう。

 

明るさや風通しを確保する

 
介護部屋では、明るさや風通しを確保するようにしましょう。

 

部屋の日当たりを良くすると昼と夜の区別がつきやすくなり、介護を受ける方の気分や健康に良い影響を与えます。

 

太陽の光を浴びると、生活リズムが整いやすくなるのもメリットです。

 

介護部屋に窓があると、採光や換気に役立ちます。

 

また、夜間の照明は、家の中の各部屋や廊下で、照明の明るさが同じ程度になるように調節しておくのがおすすめです。

 

高齢者は、明るい場所から暗い場所へ移動すると目が暗さに慣れるまで時間がかかり、つまずいたり転倒したりしやすくなります。

 

夜間トイレに行く場合は、介護部屋と廊下の照明を同じ明るさにしておくなど、調節しましょう。

 

介護部屋では、風通しの確保も重要です。

 

介護をしていると、部屋ににおいがこもりやすくなります。

 

また、空気がこもると気分が落ち込んだり、感染症にかかるリスクが高まったりします。

 

風通しを良くすることで、湿気やにおいがこもりにくくなり、ウイルスやハウスダストも充満しにくくなります。

 

窓を開けて風通しを良くする、空気清浄機を使うなどして定期的に換気をしましょう。

 

部屋の色調は部屋を使う方の安全と安心を意識して選ぶ

 
介護部屋の色調は、部屋を使う方の「安全」と「安心」を意識して選びましょう。

 

「安全」のためには、介護部屋に、高齢者が見やすい色を取り入れることが重要です。

 

見えにくい色を使うと、部屋を使う方が物を認識できず、つまずいて転倒する可能性があるためです。

 

高齢になると、目の水晶体の老化で視界が黄色みがかり、黄色・青色・紺色・グレーなどは識別しにくくなります。

 

段差などつまずきやすい場所の手前に、認識しやすい赤色のテープを貼って注意を促すなどが効果的でしょう。

 

「安心」できる空間づくりのためには、リラックス効果のあるアースカラーがおすすめです。

 

アースカラーとは、緑色・茶色・ベージュなどの自然界に存在する色のことで、人はこれらの色に親しみを感じて落ち着きやすいといわれています。

 

長時間過ごす部屋だからこそ、まずは本人の希望を優先し、特に希望がなければアースカラーでまとめると良いでしょう。

 

介護部屋レイアウトに関する注意点

介護部屋レイアウトに関する注意点
 

介護部屋のレイアウトは、「介護をする方とされる方の双方の安全を考えて行う」ことが大切です。

 

つまずきやすい物を部屋の中に置かない

 
介護部屋の中に、人がつまずきやすい物を置かないようにしましょう。

 

カーペットやマットなどの敷物は、足を取られやすく転倒するリスクがあるため、敷かない方が良いでしょう。

 

また、介護ベッドなどの電化製品のコードも、つまずきやすく危険です。

 

なるべくコンセントの近くにベッドが来るように配置しましょう。

 

近くにコンセントがなく、離れている場所から延長コードで電源を利用する場合は、人が歩く範囲にコードが来ないようにする工夫が必要です。

 

介護者が動きやすく介助しやすいようにスペースを設ける

 
介護部屋のレイアウトを考えるときは、介護をする方が動きやすく無理のない姿勢で介助できるように、十分なスペースを設けましょう。

 

もし介護をする方の動線などを考えずにレイアウトしてしまうと、無理な体勢で介助をして体を痛めることもあります。

 

介護部屋には不用品は極力置かないようにし、特にベッド周りは、スムーズに動きやすいようにスペースに余裕を持たせましょう。

 

狭い場所で中腰など無理な体勢を取りながら介助をすれば、腰痛になる可能性があります。

 

介護をする方が楽な姿勢で介助ができる部屋づくりが大切です。

 

在宅介護が難しいときの対処方法

在宅介護が難しいときの対処方法
 
在宅介護は、介護をする方に大きな負担がかかります。

 

無理をして介護を続けていくと心身に悪影響を及ぼしたり、家族関係が悪化したりするリスクもあります。

 

そうならないよう早い段階から介護サービスを使う、老人ホームへの入居を検討するなどの対策を取りましょう。

 

介護サービスを使って介護者の負担を軽くする

 
訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスを利用して、介護をする方の負担を軽くするとともに、息抜きできる時間をつくりましょう。

 

介護をする方が、一時的に介護から離れる時間をつくるために介護サービスを利用することを、レスパイトケアと言います。

 

レスパイトケアで趣味や好きなことを楽しむ、自分の時間を大切にする、友人と会うなどしてリフレッシュするようにしましょう。

 

介護をする方が心身ともに健康でいることが、質の高い介護につながります。

 

老人ホームへの入居を検討する

 
介護サービスを利用していても、要介護度によっては、自宅でできることにも限りがあります。

 

そのときは、老人ホームへの入居を検討しましょう。

 

老人ホームへの入居は介護をする方の負担を大きく軽減できる上、入居者が施設で専門家によるケアを受けられるメリットがあります。

 

老人ホームには、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなどさまざまな施設があります。

 

老人ホームを選ぶときには、入居する方の状態や要介護度、年齢などの条件に合った施設を選びましょう。

 

その他にも、家族が面会しやすいか、入居してから楽しく過ごせるようなレクリエーションを行っているかなども選ぶときの大切なポイントです。

 

老人ホームの選び方のポイントを以下の記事で詳しく紹介しています。

 

ぜひ参考にしてください。

 

『老人ホームの選び方と失敗しないための10のポイント』
⇒ ご参照ください。

 

老人ホームへの入居を検討している方は、「あなたらしく」へご相談ください。

 

>>「あなたらしく」を利用して希望の施設を探す