ホスピスの種類は?状況に合わせた選び方のポイントを紹介

2025年5月26日

ホスピスの種類は?状況に合わせた選び方のポイントを紹介

ホスピスには、主に緩和ケア病棟ホスピス型介護施設在宅ホスピスの「3種類」があります。

 

患者さんやご家族の状況によって適したホスピスは変わるため、各ホスピスの特徴を理解して、患者さんの希望や状況に合った場所を選びましょう。

 

今回はホスピスの種類とそれぞれの特徴、緩和ケアとホスピスの違い、状況に合わせたホスピスの選び方のポイントを紹介します。

 

 

ホスピスの種類別の特徴

ホスピスの種類別の特徴
 

ホスピスとは、がんや難病が進行し、これ以上の治療が困難になった方に、体の痛みや心の不安を緩和するケア(ホスピスケア)を提供する施設です。

 

ホスピスには、ケアを受けられる場所によって、緩和ケア病棟、ホスピス型介護施設、在宅ホスピスの「3種類」があります。

 

緩和ケア病棟

 
緩和ケア病棟は、病院内にあるホスピスで、主にがんやエイズなどの、終末期患者の心身の苦痛を和らげることが目的です。

 

医師や看護師の他、必要に応じて理学療法士やカウンセラー、ソーシャルワーカーなども加わり、チームを組んで患者さんやご家族の身体面・精神面・社会面のケアを行います。

 

病棟内にはキッチンが備え付けられていたり、茶話会や季節のイベントが開催されたりと、患者さんが日常に近い生活を送れるよう配慮がされています。

 

緩和ケア病棟は病院内であるため、医師や看護師がすぐ近くにおり、患者さんの体調が急変したときに、迅速に対応できるのがメリットです。

 

デメリットとしては、入院期間に限度があることが挙げられます。

 

30日以上の入院ができず、退院を促されてしまう場合があります。

 

また、緩和ケア病棟の利用は費用が高い傾向にあるのもデメリットです。

 

緩和ケア病棟では入院費、食費の他、個室代やおむつ代が別途費用としてかかります。

 

病院によっては、個室代が高額になる場合もあるので注意しましょう。

 

ホスピス型介護施設

 
ホスピス型介護施設は、末期がんや難病を抱え、回復が見込めないと医師から診断を受けた患者さんが入居できる、ホスピスケアを提供する介護施設です。

 

医師・看護師・ソーシャルワーカー・カウンセラーなど多職種の専門家がチームを組み、終末期や末期疾患を持つ患者さん本人とそのご家族に対して、専門的なケアとサポートを行います。

 

24時間看護師や介護スタッフが常駐しており、急な症状の変化にも柔軟に対応できる医療体制が整えられているのが特徴です。

 

ホスピス型介護施設には特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの種類があります。

 

ホスピス型介護施設は基本的に入居期間に制限がないため、ずっと住み続けられるのがメリットです。

 

施設内には患者さんが穏やかな時間を過ごせるよう、アットホームな環境が整えられています。

 

レクリエーションなどの楽しみもあり、比較的自由に生活できるのがホスピス型介護施設の特徴です。

 

在宅ホスピス

 
在宅ホスピスは、患者さんが自宅で暮らしたまま受けられるホスピスケアです。

 

家族による介護を中心として、専門の医療チームが自宅を定期的に訪問し、医療面でのサポートや専門のケアを提供します。

 

在宅ホスピスでは、医師や看護師による訪問診療・訪問看護の他に、介護保険を利用した介護サービスを導入し、患者さんをケアします。

 

例えば、訪問介護や訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、福祉用具のレンタルなどの介護サービスが利用可能です。

 

在宅ホスピスのメリットは、住み慣れた自宅で暮らしながらご家族や医療チーム、介護スタッフのサポートを受けて、患者さんが安心して療養生活を送れることです。

 

自宅という安心できる場所で自分のリズムを保ったまま生活できるため、患者さんの精神面の負担を軽減できます。

 

ご家族が近くにいるため、患者さんにとって心の支えになることも大きいでしょう。

 

しかし、在宅ホスピスは、介護するご家族の負担が増加する可能性があります。

 

ホスピスケアを受ける患者さんは寝たきりの方が多くなるため、介護する方が床ずれのケアや食事、排泄の介助などをする必要があるためです。

 

在宅ホスピスでは介護をする方の負担をなるべく軽減できるよう、適切な介護サービスを利用しましょう。

 

緩和ケアとホスピスの違い

緩和ケアとホスピスの違い
 
緩和ケアとホスピスは、患者さんの苦痛を和らげるケアという点では違いはありませんが、ケアを提供する患者さんの病気の進行具合に違いがあります

 

緩和ケアは病気の進行具合にかかわらず、病気の診断がされたときから行われることがあります。

 

特にがんの場合、初期・末期問わず、がんの診断時から緩和ケアが開始されることが一般的です。

 

緩和ケアにより苦痛を和らげ、患者さんの生活の質が低下しないようにすること、またこれからの治療に対して前向きになっていけるようにすることが主な目的です。

 

対して、ホスピスではこれ以上の治療が困難となった末期段階にある方、余命が限られている方に対してケアが提供されます。

 

患者さんが最期まで穏やかに暮らせること、希望通りに生きられることが主な目的です。

 

緩和ケアとホスピスは、治療を目的とせず、患者さんの苦痛を和らげるケアを行う点は共通しています。

 

医師や看護師、多職種の専門家がチームを組み、患者さんとそのご家族に対して身体面・精神面・社会面からケアを行うことが特徴です。

 

身体面のケアには鎮痛剤などによる痛みの緩和、食事や入浴などの生活介助があります。

 

精神面のケアは、心理士などによる患者さんの不安や恐怖を和らげるケア、レクリエーション、リラックスできる環境づくりなどが挙げられます。

 

社会面のケアの内容は、ホスピスの費用支払いの手続き、財産の整理、相続対策などです。

 

状況に合ったホスピスの選び方

状況に合ったホスピスの選び方
 

ホスピスを選ぶ際は、まずは患者さん本人の希望を大切にしましょう。

 

その上で、主治医やケアマネージャーに相談し、患者さんやご家族の状態、状況に合わせてホスピスを選びます。

 

医療依存度が高い場合

 
患者さんの医療依存度が高い場合、または体調が急変する可能性が高い場合には、緩和ケア病棟もしくはホスピス型介護施設を選ぶと良いでしょう。

 

緩和ケア病棟は医師や看護師が常駐しているため、24時間体制で急な症状の変化にも対応してもらえます。

 

ホスピス型介護施設は医師は常駐していないことが多いですが、看護師は常駐しています。

 

看護師が患者さんの痛みや不快感、息切れ、吐き気などの身体的症状を適切に管理しながら、患者さんが快適に過ごせるよう在宅呼吸器、在宅酸素、吸引などの医療的ケアを行います。

 

急な体調変化にも対応可能です。

 

在宅ホスピスの場合、医師や看護師の定期的な訪問はありますが、常に近くにいるわけではないため、患者さんの体調が急変した場合に必要なケアが受けられない恐れがあります。

 

いつ体調が急変するか分からない状態での生活は、患者さんやご家族の不安が増し、精神的な負担となることもあるでしょう。

 

そのため、医療依存度が高い患者さんや、体調が急変する可能性が高い場合には、緩和ケア病棟またはホスピス型施設の利用がおすすめです。

 

日常生活で介護を必要とする場合

 
日常生活で介護を必要とする患者さんの場合には、緩和ケア病棟やホスピス型介護施設を利用すると良いでしょう

 

緩和ケア病棟では床ずれの防止や生活面でのサポート、介護面でのケアを看護の専門家から受けられます。

 

専門家に任せられるので、ご家族の介護負担の軽減ができるのもメリットです。

 

ホスピス型介護施設でも、食事や入浴、排泄の介助などの介護サービスを、介護の専門家から受けられます。

 

日常生活で介護を必要とする患者さんの場合や、ご家族の介護負担が大きい場合には、緩和ケア病棟やホスピス型介護施設の利用がおすすめです。

 

どのようなホスピスを選べば良いか迷ったら、「あなたらしく」をご活用ください。

 

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