ダブルケアとは、子育てや介護など、2つのケアのタイミングが重なった状態を指します。
小さい子供や高齢の親のケアをしながら家事や仕事を続けていくのは、並大抵のことではありません。
ダブルケアの状態が続くと、担い手には大きな負担がかかってしまうので注意が必要です。
今回は「ダブルケアの問題点や解決策」について詳しくご紹介します。
ダブルケアとはどういったもの?
ダブルケアとは、子育てと介護のタイミングが重なってしまうことです。
育児や介護のダブルケアは、2012年頃に横浜国立大学の相馬直子氏と英国ブリストル大学の山下順子氏によって提唱されたとされています。
それ以降ダブルケアは、少子高齢化が進む現代における新たな社会問題として注目されるようになりました。
出産の時期が早い場合、育児の時期と介護の時期がかぶってしまうリスクはそれほどありません。
しかし、最近では女性の社会進出や晩婚化が進んだため、出産の年齢が高くなる方も少なくありません。
40歳前後で出産した方は、育児期と親の介護が重なってしまうおそれがあります。
出産というライフプランの時期はある程度のコントロールが可能ですが、介護は突然やってくるケースがほとんどです。
出産したタイミングで介護が始まり、結果的にダブルケアの状態に悩まされるという方もかなり多いといわれます。
ダブルケアは、育児と親の介護を並行して行うことを指すのが一般的です。
しかし中には、育児と配偶者の介護、親と配偶者の介護といった形のダブルケアに直面する方もいます。
また、両親の介護や配偶者の介護、育児などを同時に行うトリプルケアに陥るケースもあります。
ダブルケアによる問題点
ダブルケアの当事者には、以下のようにさまざまな負担がかかります。
女性に負担がかかりやすい
近年では男女共同参画やジェンダー平等という考え方が浸透しつつありますが、ダブルケアを担う人の多くは女性だといわれています。
本来であれば、育児や介護に性別の垣根はないはずです。
しかし、「育児は母親がするべき」「介護は女性がするべき」「男性は外で仕事をするべき」という価値観はいまだ根強く残っているのが現状です。
一方で女性の社会進出は進んでおり、仕事を持ちながら家事や育児、介護をこなす女性も増えつつあります。
結果として、女性には仕事と家事育児、介護といったさまざまなタスクがのしかかり、大きな負担がかかってしまっています。
仕事を続けることが難しい
育児と介護、そして仕事の3つを両立するのはかなり難しいでしょう。
負担を軽くするためには、保育園や老人ホームなどを利用するのも一つの方法です。
しかし、条件が合わず施設を利用できなかった場合、育児と介護を自宅で続けなければなりません。
フルタイムの仕事を続けられずに離職したり、短時間勤務に切り替えたりした場合、収入減のリスクが高まります。
また、キャリアが途絶えてしまい再就職が難しくなる可能性も考えられるなど、ダブルケアをする人の人生にも大きな影響が及びます。
経済的な負担が大きい
育児にも介護にもまとまったお金がかかります。
ダブルケアを進めていく場合、どちらか一方を行う場合よりも、かかる費用が増加してしまいます。
ダブルケアが原因で仕事を続けられなくなった場合、収入源がなくなり経済的な負担はさらに増してしまうでしょう。
収入が絶たれた状態で、貯金を切り崩しながら育児や介護の費用を捻出するのはかなり困難なことです。
孤立しやすい
最近では各自治体や民間企業などによる育児や介護の相談窓口が増えつつあります。
しかし、ダブルケアに関する相談に対応している窓口はまだまだ少ない場合がほとんどです。
ダブルケアをしている方は相談のための時間をなかなか捻出できなかったり、疲労やストレスを抱え相談する余裕がなくなったりしている方も多いでしょう。
誰にも頼れない状態が続くと、ダブルケアを担う方は次第に追い詰められ、孤立してしまいます。
精神的ストレスを抱えやすい
ダブルケアによって精神的な負担やストレスを抱えてしまう方も少なくありません。
初めての育児や介護は分からないことや慣れないことの連続で、ときにはうまくいかないこともあります。
育児も介護も長期的に続いてしまうため、先が見えないストレスに思い悩むこともあるでしょう。
こういった状態が続くと休息時間を作ったり十分な睡眠を取ったりするのも難しくなり、心身の負担はさらに増してしまいます。
介護についてのお悩みを解消したい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
『親の介護で準備すべきことは?家族の役割分担や活用できる制度について』
⇒ ご参照ください。
ダブルケア問題を解決するには?
ダブルケアの問題をそのままにしていると、当事者の心身には計り知れない負担がかかってしまいます。
育児や介護の負担を和らげるためにも、以下のような「対処」を試してみましょう。
当事者が現状を理解する
ダブルケアの状態に陥っている方は、「自分がやらなければ」という強い義務感や責任感を抱えてしまいがちです。
ダブルケアの負担を当たり前のものとして受け入れてしまうと、視野はどんどん狭まっていきます。
結果として、周囲に助けを求めることができず、孤立したりストレスを抱えたりすることになってしまいます。
まずは、ダブルケアに陥っている現状を把握し、問題点を整理することから始めましょう。
周囲の人に相談したり、インターネットで情報収集したりといった工夫も有効です。
家族間、親族間で話し合いをする
家族や親族のうち誰か1人にダブルケアの負担が集中してしまうケースは少なくありません。
ダブルケアの状態に陥っている場合には、夫婦や兄弟姉妹、親族間などで話し合いの場を設けましょう。
育児や介護の役割分担を変えたり、周囲の人にサポートを求めたりするだけでも、ダブルケアの負担は和らぎやすくなります。
ダブルケアの悩みを相談する
ダブルケアに関する相談窓口はそれほど多くありませんが、育児と介護について個別に相談できる窓口はいくつもあります。
まずは市区町村の役場、地域包括支援センター、かかりつけ医、ケアマネジャーなど、さまざまな人に状況を相談してみましょう。
近年では、育児や介護、ダブルケアなどについて相談できるコミュニティやオンラインミーティングなども増えてきました。
同じような悩みを持つ人に相談すれば、有効な情報を得られるかもしれません。
老人ホームなどの公的サービスを利用する
ダブルケアの負担を和らげるために、公的サービスを利用するのも良い方法です。
育児の負担を和らげる方法といえば保育園の利用も考えられます。
また、必要に応じてシッターやファミリーサポートを利用するのもおすすめです。
介護の負担を和らげたい場合には、デイサービスやショートステイなどをうまく活用してみましょう。
在宅での介護が難しい場合には、老人ホームへの入居を検討するのも1つの方法です。
地域によっては老人ホームの利用希望者が多く、待機期間が発生している可能性も考えられます。
しかし、ダブルケアでお困りの方は優先的に入所できるケースもあるので、状況を詳しく相談してみるのがおすすめです。
ダブルケア対策として老人ホームをお探しなら、「あなたらしく」をご利用ください。