近年、介護する側の負担を解消することを目的とした「レスパイトケア」に注目が集まっています。
レスパイト型デイサービスはレスパイトケアの一種で、介護する側・される側両方がリフレッシュできるサービスとして人気を得ています。
今回は、そんなレスパイト型デイサービスの概要や、受けられるサービス、レスパイト以外のデイサービスの特徴について解説します。
レスパイト型デイサービスとは?概要と目的を紹介
レスパイト型デイサービスとは、介護する側の負担を軽減する目的で行われるデイサービスのことです。
「レスパイト(respite)」とは英語で小休止を意味する言葉で、介護業界では介護する側に休息を与えたり、リフレッシュをもたらしたりするケアサービスをレスパイトケアと呼んでいます。
レスパイト型デイサービスでは、介護者が心と身体のリフレッシュを図れるよう、施設が要介護者を日中預かり、レクリエーションを行ったり、入浴や食事の支援などを行ったりします。
レスパイト型デイサービスのメリット
レスパイト型デイサービスの主なメリットは、介護者の心身をケアできることです。
厚生労働省が実施した平成28年国民生活基礎調査によると、在宅介護を行っている人のうち、日常生活での悩みやストレスが「ある」と回答した人は全体の7割近くに及んでいます。[注1]
そのうち、悩みやストレスの主な原因として「家族の病気や介護」と回答した人は全体の7割を超えており、同居する介護者の世話に負担を感じている人が多い様子がうかがえます。[注1]
レスパイト型デイサービスを利用すれば、日中の数時間に亘って要介護者を施設に預かってもらえるため、介護者は一時的に介護の負担から解放されます。
その間、普段できないことをしたり、体や心を休めたりすれば、介護疲れを軽減できるでしょう。
一方、要介護者にとってもレスパイト型デイサービスを受けることは日常生活に良い影響をもたらします。
自宅にいると、家族以外の人とほとんど接する機会はありませんが、デイサービスに対応している施設を利用すれば、同じような境遇の方との交流が深まり、楽しみや生きがいを見出せるようになるでしょう。
また、デイサービスでは頭や体を動かすレクリエーションなども行われるため、身体機能の維持・向上や認知症予防などにも役立ちます。
このように、介護者・要介護者の両方が心身のリフレッシュを図れるところがレスパイト型デイサービスの魅力です。
>>[注1]厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況 」p6
レスパイト型デイサービスの利用条件
レスパイト型デイサービスの主な利用条件は以下の通りです。
- 要介護1以上の方
- 医療行為を必要としない方
- 送迎範囲内に居住している方
レスパイト型デイサービスは基本的に要介護認定を受けている方が対象です。
ただ、施設によっては要支援1・2の方の受け入れを行っているところもあるので、要支援者で利用を希望する方は施設に問い合わせてみましょう。
また、デイサービスでは医療ケアは行っていないので、日常的に医療ケアが必要な方の利用はできません。
さらに、デイサービスでは施設側が車両で利用者を送り迎えしてくれますが、送迎の範囲には限りがあります。
送迎範囲外に居住している方は利用できないので、レスパイト型デイサービスを利用する場合は、自宅が送迎の範囲内かどうかを事前に確認しておきましょう。
レスパイト型デイサービスで受けられるサービス内容
レスパイト型デイサービスで提供される「主なサービス内容」には以下のようなものがあります。
送迎サービス
施設と利用者の自宅間を車両で送迎してくれるサービスです。
施設が自宅前、あるいは指定の場所まで利用者を送り迎えしてくれるので、自宅に車両がない家庭や、家族による送迎が難しい家庭でもデイサービスを利用できます。
健康チェック
血圧や体温を測定し、利用者の健康状態をチェックするサービスです。
施設で医療ケアは受けられませんが、日々の健康状態をチェックすることで体調不良や異変にいち早く気付けるきっかけになります。
レクリエーション
利用者全員で体を動かしたり、ゲームをしたりする活動のことです。
レクリエーションを行うと、脳機能の活性化や身体機能の維持・向上、コミュニケーションの活発化など、さまざまな効果を期待できます。
レクリエーションの種類はさまざまで、体操をしたり、クイズやしりとりを行ったりする他、折り紙などを使って工作したりすることもあります。
レクリエーションの内容は施設によって異なるので、デイサービスを利用する施設探しに迷ったらレクリエーションの内容を比較して検討するのも一つの方法です。
老人ホームでどのようなレクリエーションが実施されるかについては、以下のページでも詳しく説明しています。
『老人ホームでのレクリエーションの種類や効果を詳しく解説』
⇒ ご参照ください。
食事やおやつの提供
利用者に昼食やおやつを提供するサービスです。
利用者ごとに適した食事が提供される仕組みになっており、例えば咀嚼力や嚥下力が弱くなっている方には柔らかく、飲み込みやすい介護食を提供することも可能です。
食事はケータリングサービスを利用しているところもあれば、施設内に調理場を設けており、できたての食事を提供してくれるところもあります。
入浴サービス
施設にある入浴設備で利用者を入浴させてくれるサービスです。
介護士が介助してくれるので、一人では入浴できない方でも安心です。
デイサービスの入浴設備は、家庭用の浴槽を使った個別浴槽の他、複数の人が一度に入浴できる大浴場、車いすのまま浴槽に入れる機械浴などがあります。
どの設備が導入されているかは施設によって異なるので、お風呂にこだわりがある方は入浴設備を比較してみてもよいでしょう。
その他のタイプのデイサービス
デイサービスにはレスパイト型の他にもさまざまな種類があります。
ここではその他のタイプのデイサービスを「3つ」ご紹介します。
認知症対応型デイサービス
認知症対応型デイサービスは、名前の通り、認知症の方を対象としたデイサービスのことです。
認知症の方ができる限り自立した生活を送れるよう、機能訓練やリハビリを行ったり、レクリエーションを実施したりします。
認知症対応型デイサービスには、定員が12人以下、事業所の管理者が認知症対応型サービス事業管理者研修を修了しているといった定めがあります。
そのぶん、一般的なデイサービスよりも手厚く、かつ専門的な支援を受けられるところが特徴です。
リハビリ特化型デイサービス
リハビリ特化型デイサービスとは、利用者の身体機能の維持を目的としたリハビリに注力しているデイサービスです。
プログラムに理学療法士や作業療法士などの専門家による機能訓練やリハビリが組み込まれており、歩行訓練や筋力トレーニング、ストレッチ、日常生活動作訓練などが実施されます。
利用者の身体機能や状態に応じたリハビリを行うため、一人一人に適した訓練を行えるところが特徴です。
なお、リハビリや機能訓練がメインであるため、食事や入浴の提供は行わない施設も多いようです。
療養型デイサービス
療養型デイサービスとは、がん末期患者や難病等の重度要介護者を利用対象としたデイサービスです。
入浴や排泄、食事等の介護や、日常生活上のお世話、機能訓練などを行い、利用者の身体機能の維持に努めると共に、利用者の家族の心身負担の軽減を図ることを主な目的としています。
療養型デイサービスは定員18人以下と少人数制で、利用者1.5人に対し、看護職員または介護職員が1人以上という充実した環境が整備されているところが特徴です。
このように、同じデイサービスでも種類によって提供されるサービスや特徴が大きく異なるので、デイサービスを利用する場合は利用者のニーズや目的に合ったところを選ぶことが大切です。
利用者のニーズにぴったりのデイサービスを探している方や、施設探しに不安を感じている方は、ぜひ老人ホーム検索サイトをご利用ください。