在宅介護による辛さで心身のバランスを崩してしまう方は少なくありません。
介護の負担は決して小さくはないため、介護を続けるなかでは誰もが辛さを感じるものです。
そこでこの記事では、「介護者がどのようなときに辛さを感じているのか」について紹介します。
また、介護が辛いときの対処法もご紹介しますので、参考にしてみてください。
在宅介護が辛くなる原因
在宅介護は介護者の体に大きな負担を与えます。
起き上がりや体位の介助、衣服の着脱、トイレや入浴の介助など、在宅介護では大人の体を何度も持ち上げなければなりません。
ときには介護がきっかけで怪我をしたり、腰などを悪くしたりすることもあります。
夜間の介護が忙しく睡眠時間が減ってしまうと、疲れがなかなか取れず、身体的な負担はどんどん蓄積してしまいます。
また、頻繁な介助で精神的な負担を感じている方や、認知症の介護で気持ちが疲れてしまう方もいます。
家族の要介護度が上がったり認知症が進行したりしている現実を受け入れられず、いら立ってしまうケースもあるでしょう。
在宅介護には公的介護保険が適用されますが、自己負担も必要となります。
介護が長引くなかで費用面の不安を感じ、そのことが辛さにつながってしまうケースもあります。
介護を理由に離職した場合には収入が減ってしまうため、経済的な負担はさらに増大してしまいます。
介護をする方はこういった辛さを抱え込みがちですが、一人で抱え込むと精神的に追い込まれてしまうおそれもあるので注意が必要です。
自宅での介護が辛くなったときの対処方法
在宅介護が辛いと感じるときには、以下のような「対処法」を試してみましょう。
介護環境を整える
介護をするにあたって体力的な辛さを感じるときには、介護の環境を一新するのが効果的です。
介護ベッドを導入してその周辺にスペースを作れば、介助がしやすくなります。
また、室内に手すりを用意したり、手助けが必要なときのためのコールボタンを導入したりするのも効果的です。
介護しやすい環境を作り上げれば介護の負担が減り、辛さも和らいでいきます。
誰かに相談する
介護の辛さは一人で抱え込まず、周囲の方に相談することが肝心です。
家族や親族、友人や知人に相談すれば、気持ちが整理でき心が軽くなるかもしれません。
また、介護の経験を持つ方に相談し、具体的なアドバイスをもらうのもよい方法です。
介護に関するコミュニティに参加したり、インターネットを通じて誰かに相談したりと工夫してみましょう。
相談窓口を頼る
介護の辛さを相談できる専門的な窓口はいくつもあります。
例えば、市区町村の要介護認定申請窓口では、介護の悩みや疑問に関する相談も可能です。
また、各エリアに設置されている地域包括支援センターでも、介護の辛さを相談できます。
ほかに、医療機関の主治医医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどにサポートを受けるのもおすすめです。
介護サービスの情報を収集する
介護が辛いときには在宅介護のみで乗り切ろうとするのではなく、外部サービスの導入も検討しましょう。
老人ホームの多くは事前の見学に対応しているので、まずは気軽に見学してみるのがおすすめです。
また、デイサービスや訪問介護など、日中の介護の一部をサポートしてくれるサービスもあります。
辛さを感じながら在宅介護を続けるよりも、外部サービスを頼って負担を和らげる方が、家族のよい関係が保てることもあるでしょう。
介護のお悩みに直面した方はこちらの記事も参考にしてみてください。
「介護の悩みはどう解決すべき?よくある悩みや相談先を紹介」
⇒ ご参照ください。
老人ホームへの入所を検討すべきタイミング
在宅介護が辛いときの選択肢として、老人ホームへの入所が考えられます。
しかし、「老人ホームはまだ早いのでは?」と施設探しを先延ばしにしている方もいるかもしれません。
ここからは、「施設入所を検討すべきタイミング」について考えていきましょう。
家族の介護負担が大きいと感じるとき
在宅介護の大きな問題点は、介護する家族に負担がかかりすぎるという点にあります。
介護とプライベートを両立できなくなっていたり、四六時中介護のことが頭から離れなくなったりしたときには、老人ホームへの入居を検討した方がよいでしょう。
施設への入居を先延ばしにしていると、介護うつや介護ノイローゼといった深刻な状態に陥ることがあるため、十分気を付けましょう。
介護者の心身に影響が及んだとき
介護をする方に身体的、精神的な症状があらわれたときには、早めに対策を考えましょう。
介護は長期間続くため、体力が低下していたり睡眠時間が削られたりしていると十分な介護ができなくなります。
また、介護が原因で腰や腕を悪くした場合にも、そのまま無理をし続けるのは避けたいものです。
継続的な介護が難しいと感じられるのなら、施設入居を決断するベターなタイミングなのかもしれません。
老老介護の状態になっているとき
介護する側の年齢が60代以上という場合にも注意が必要です。
特に、65歳以上の方が高齢者の介護をするケースは老老介護と呼ばれ、共倒れのリスクが高いとされています。
老老介護ではときに、共に転倒して怪我をしたり、同時に寝込んでしまったりといった問題が発生します。
また、老老介護が続くと社会から取り残され、介護する側がうつ状態になる可能性も高まります。
こういった場合には無理せずプロに相談したり、公的サービスを利用したりと工夫しましょう。
介護と仕事を両立できなくなったとき
介護と仕事を両立している場合には、両立が難しくなったときが老人ホーム入居のタイミングです。
介護の時間が増えると、その分の勤務時間や勤務日数を減らさなければならなくなります。
仕事をする時間が減って収入が減少すると、介護に経済的不安を感じるようになってしまいます。
そのままの状態が続くと介護離職を選択せざるを得なくなることもあるので、早めに対策を立てましょう。
認知症の症状がみられるとき
認知症の症状がみられるようになったら、早めに老人ホームに関する情報の収集を始めましょう。
認知症が進行すると、本人は自宅での生活に不安を感じやすくなります。
また、家族は四六時中目が離せなくなり、精神的な負担が大きくなってしまいます。
認知症の症状が進行すると判断力や理解力が低下するため、ときには大きな事故が起きるかもしれません。
認知症をきっかけに自宅での生活が難しくなってきたときには、無理せず施設入所などの対策を考えましょう。
要介護度が上がったとき
要介護度が上がると、在宅での介護が難しくなります。
要介護1や2の状態であれば、食事や排泄、入浴などの日常的な動作を行うことも十分可能です。
しかし、要介護度が上がるとこれらの動作に支障が出やすくなり、家族の手を借りるシーンが増えるでしょう。
さらに体力が衰えると寝たきりの状態になってしまい、家族は24時間体制での介護をすることになります。
要介護度が上がり家族の負担が増えたと感じるときには、老人ホームへの入居を検討したいものです。
老人ホーム探しをスタートさせようとお考えなら、「あなたらしく」をご活用ください。