寝たきり高齢者を在宅介護する方法は?ポイントを詳しく解説

2024年7月9日

寝たきり高齢者を在宅介護する方法は?ポイントを詳しく解説

在宅介護の中でも介護する方に特に負担がかかりやすいのが、寝たきりの高齢者の介護です。

 

寝たきりの人がいる場合には病院や老人ホームを頼るという選択肢もありますが、介護される側が「住み慣れた自宅で暮らしたい」と思っているときや、介護する側が「病院や施設に入れるのはかわいそう」と思っているときには、在宅での介護の必要性が生じます。

 

そこで今回の記事では、寝たきり高齢者を在宅介護するときのポイントについて解説します。

 

 

寝たきり高齢者の特徴とは

寝たきり高齢者の特徴とは
 
寝たきり高齢者とは、自力での生活が難しく基本的に横になったまま生活する人のことを指します。

 

自身での着替えや歩行ができないのはもちろんのこと、食事や入浴、排泄などの際にも常に介助が必要となります。

 

また、病気やケガをきっかけとして横になって過ごしている方も寝たきりと定義されます。

 

生活の中心がベッドや布団となっているのが、寝たきり高齢者の大きな特徴です。

 

一般的に、寝たきりの方の要介護度は最も重い「5」か、その手前の「4」と認定されます。

 

要介護度が高い人を介護するにあたっては心身の負担がかなり大きくなるため、負担を軽減する対策が必須となります。

 

寝たきり高齢者を在宅で介護するときのポイント

寝たきり高齢者を在宅で介護するときのポイント
 
寝たきりの高齢者は日常生活の介助が24時間必要となるため、施設への入居や入院を勧められるケースも多いものです。

 

しかし、寝たきりの人を自宅で介護するのも不可能なことではありません。

 

ここからは、寝たきり高齢者を在宅介護するときの「ポイント」についてご紹介します。

 

食事介助では誤嚥(ごえん)に注意する

 
寝たきり高齢者に食事を食べさせるときには、誤嚥が起きないよう十分注意しましょう。

 

高齢の人や体が弱っている人は飲み込む力が衰えており、食道を通るべきものが気管に入ってしまうことがあります。

 

誤嚥が原因で起きる誤嚥性肺炎は命にかかわるため、正しい姿勢で食事を摂らせるよう心がけましょう。

 

寝たきりの人に食事をさせるときには必ず起き上がらせ、椅子に座れるようであれば深く腰掛けさせるようにします。

 

リクライニングのベッドで食事を摂らせるときには、座る体勢に近い形になるよう角度を上げましょう。

 

食事は食べやすい形状のものを用意し、一口ずつしっかり飲み込んだかを確認しながら、相手のペースに合わせて進めていくことが大切です。

 

床ずれ防止のために体位変換をする

 
寝たきりの方の介助では床ずれが起きないよう注意することも肝心です。

 

「床ずれ」とは、寝たきりの状態が続いたために背中など体の一部が長時間圧迫され、循環障害による壊死が起きてしまうことをいいます。

 

床ずれが悪化すると菌が入って菌血症などの病が引き起こされることもあるので注意しましょう。

 

寝たきり高齢者は自分で体勢を変えることができないため、ときに深刻な床ずれが起きてしまいます。

 

床ずれ防止のためには、「約2時間に1回程度」の頻度で体位変換をするのが望ましいといわれます。

 

枕やクッションを入れるようにして体位を変えたり、床ずれ防止マットレスを使ったりすれば、負担なく体位変換ができます。

 

廃用症候群が起きないよう注意する

 
寝たきり高齢者の介護では廃用症候群(生活不活発病)にも気をつけたいものです。

 

「廃用症候群」とは寝たきり生活によって体の機能が衰えてしまう症状です。

 

廃用症候群が原因で運動機能障害や呼吸器障害が起こるケースもあるため、意識的な対策を心がけましょう。

 

室内の短い距離を歩かせるようにしたり、関節をゆっくり動かしたりしたりするだけでも、廃用症候群は防ぎやすくなります。

 

排泄ケアの方法を決めておく

 
寝たきり高齢者の介護では排泄ケアも欠かせません。

 

しかし、排泄ケアをされる側は恥ずかしさや申し訳なさを感じてしまうことがあるため、自尊心を傷つけないよう十分な配慮が必要です。

 

まずは本人と話し合い、トイレまで歩くのか、ポータブルトイレを使うのか、それともおむつを使うのかを決めていきましょう。

 

介護する人の負担を軽減する

 
寝たきり高齢者の在宅介護はかなり負担が大きいものなので、介護する人に負担がかからないよう十分気をつけましょう。

 

特に、たった一人で寝たきり高齢者を介護する必要がある場合、心身には想定以上の負担がかかってしまいます。

 

介護負担が続くと介護うつのような状態になってしまうことがあるため、早急な対策が必要です。

 

また、共倒れの可能性も高まってしまうため、介護を分担するなど適切な対処を行いたいものです。

 

自宅での介護に限界を感じたときの対応

自宅での介護に限界を感じたときの対応
 
寝たきり高齢者の在宅介護には大きな負担が伴うため、「すべての介護を自身で行おう」と抱え込むのは避けたほうが良いかもしれません。

 

介護の限界を迎えてしまうのを避けるためにも、以下のような対応を検討してみましょう。

 

ほかの家族の手を借りる

 
家族の在宅介護をする人は「自分がすべてサポートしよう」と抱え込んでしまいがちです。

 

しかし、寝たきり高齢者の介護を24時間365日、たった一人で担うのは限界があります。

 

一人で無理しながら介護を続けると共倒れのリスクが高まりますし、介護うつに陥る可能性も考えられます。

 

限界を感じる前に、ほかの家族や親族の手を借りたり援助をしてもらったりと工夫しましょう。

 

家族や親族の手を借りれば介護の負担を大きく軽減できますし、気持ちも楽になります。

 

在宅介護に大きな負担を感じている方は以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

 

「在宅介護に限界を感じたら?無理なく続けるコツや対処法を紹介」
⇒  ご参照ください。

 

居宅サービスを活用する

 
寝たきり高齢者を在宅介護するときには、介護保険による居宅サービスをうまく利用してみましょう。

 

「居宅サービス」とは、介護保険の要介護認定を受けることで利用できるサービスです。

 

特におすすめなのは、ヘルパーが自宅を訪問して食事や排泄、入浴などの介助をしてくれる「訪問介護」です。

 

在宅介護で特に難しいのは入浴の介助ですが、訪問入浴の介護サービスを受ければプロに入浴を任せられるので負担が大きく和らぎます。

 

また、医療ケアが必要な方は訪問看護を、リハビリが必要な方は訪問リハビリを利用するのも良さそうです。

 

老人ホームの利用を検討する

 
在宅介護には共倒れの危険性もあるため、限界を感じたときには「老人ホーム」の利用も検討しましょう。

 

寝たきりの人であれば要介護4や5と認定されるケースが多いため、介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった施設を選んで入居できます。

 

十分な知識や経験をもつプロに介護を任せられるのが、老人ホーム利用のメリットです。

 

老人ホームでは入居者が自立した生活を送れるようサポートすることを重視しているため、生活の質も高まりやすくなります。

 

24時間365日の在宅介護で疲弊している介護者にとって、老人ホームの利用は寝たきり高齢者と適度な距離を取るいい機会になります。

 

距離を取ることで気持ちが楽になり、相手とうまく付き合えるようになるかもしれません。

 

寝たきり高齢者の介護に難しさを感じているときには、自宅での生活にこだわりすぎず、老人ホームの利用を柔軟に検討してみてはいかがでしょうか。

 

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